百休庵便り

市井の民にて畏れ多くも百休と称せし者ここにありて稀に浮びくる些細浮薄なる思ひ浅学非才不届千万支離滅裂顧みず吐露するもの也

百休推奨名言綴り(17)【【中西龍】さん伝説の【高校野球鹿児島県予選実況中継】】

2012-04-19 22:29:24 | 日記
 南国の陽がさんさんと降りそそぐ、ここ鹿児島市鴻池球場。錦江湾は真夏の入道雲がどっしりと居座り、桜島の噴煙と溶けあっております。キラキラと陽光を まぶしく反射しているこの大海を、幕末の時代、西郷隆盛、大久保利通ら維新の立役者たちも大きな志を抱いて眺めたことでしょう。球場の周囲の樹々では、朝から蝉が盛んに鳴いております。夏休みでございますから、虫とりの網を持った子供さんたちが、お父さんと一緒に大樹を見上げている風景も散見することができます。なにぶん陽射しが強烈な毎日ですので、お子さんたちが表で遊ぶ際は必ず帽子を着用するよう、親御さんがたにはご注意をお願いしたいものでございます。

 さて、そうこう申しているうちに先攻の鹿児島水産高校は早くもふたり目のバッター安藤君の打順。カウントはノーストライク、ワンボール。トップバッターの金子君はいつの間にやら早くも一塁上におります。鹿児島水産ノーアウト一塁、盛りあがる応援席! バッターボックスに立つ安藤悠太君は二年生。お父さんの源太さんはカツオ漁船の船長として一家を支えておりましたが、昨年船が転覆事故に遭いまして、享年47、いまだ春秋に富んだ年齢で惜しくも他界しました。将来の夢はたくましい漁船の船長になっておとうさんをしのぐ漁獲高を上げることという安藤君。せがれよ、がんばれ・・・大空から、亡き父上も熱い声援を送っていることでしょう。三塁側応援席では、亡き父の源太さんに代わり、枕崎港で働きながら一家を細腕で支えているお母さんのフミさんが懸命に声援を送っております。安藤君の得意な科目は地理だそうでありまして、とにかくいまは勉強と野球にひたすら精進するのが親孝行ですとのこと。しかしながら、安藤君はつい先ほどセカンドゴロでダブルプレイとなり、鹿児島水産初回の攻撃はツーアウト。塁上にランナーはいなくなり、夏の浜風が砂を巻き上げるばかりでございます。

 三番バッターは加治玉男君。おうちは枕崎市内で銭湯を営んでいるそうですが、小学校4年のときから風呂を沸かすための薪割りを手伝っていたという孝行息子であります。その薪割りが筋肉と体力をはぐくみ、いまでは名うての強打者。その加治君がいま、三塁付近をかろやかに走っております。ホームランのようです。銭湯の薪割りが見事に実を結びました。おめでとう! 応援席のご両親もさぞかしお喜びでしょう。大歓声を浴びながら、加治君ホームイン。

   ↑は ↓この角川書店発行【三田 完】さん著【当マイクロフォン】P90,91の抜粋です
         

 どうですか、皆さん。新人時代 このような実況中継をなさったアナウンサーがおられたのです。平成10年10月29日 70歳で旅立たれました NHK の名物アナウンサー【中西龍】さん。オイラぐらいの年回りの方なら、多分 NHKのラジオ放送で ♪ 夕焼け小焼けの赤とんぼ・・・♪ のメロディとともに耳にされたことがあるかと思うのですが、
         唄に思い出が寄り添い、
         思い出に唄は語りかけ、
         そのようにして
         歳月はしずかに流れていきます。
色気があって よく響く声、絶品ともいえるナレーションで、ファンレターの数で較べたとしたら、おそらくは 他を断然 引き離しての 歴代ナンバーワン、絶大なる人気を誇った名物アナウンサー。NHKの入社式には、芸者上がりの奥さん同伴 白の羽織袴で臨まれたという、粋で鯔背(いなせ)。お堅い NHKの中にあって、地方局流転人生を 已むなくされても、視聴者への愛情一筋、己の美学を貫き通した【中西龍】さん。

背は高くとも こじんまりした、声がみんなオンナジで やさしそうな感じで 面白味がない 特色ない人ばっかしといった感じの 現 NHK アナウンサー。どうでもいい 本質的でない 些細なことにもチェックの入る コウルサイ社会、国を守ることも、善良なる一人の人間として最低限の やらなくちゃならないコトも ほったらかし、偽善とエゴ 権利のみ主張の まかり通る、何とも オカシナ クルッタ ムツカシイ時代だから、悲しいことではありますが、イタシカタナイ ことかもしれません。

これこそ 昭和という時代だからこそ あり得た話なのかもしれません。龍(りょう)さんの 人間味ある激情の人生。この本で ぜひ 味わっていただきたいと思っています。それにしましても 上述のアナウンス、もし聞けたとしましたら 選手は、どんなに嬉しかったことでしょう。オイラは 本当に素晴らしい実況中継だったと、まさに 名アナウンスではなかっただろうか と思っております。否定なさる方、どうぞ ここまでしゃべろうと思ったとき、どれほどの取材・構成の準備時間、と申し上げるよりは、どれほどの実況中継への熱意、放送対象への愛情を要しただろうか、ぜひ考えてみてください。甲子園に向けた夏の高校野球 県予選、もうしばらくしたら始まります。そして 新人アナの挑戦も始まります。


NHK 岡山放送局に昨年 配属された【和久田麻由子】さんとおっしゃる 女性アナウンサーがおられます。同局に新人が配属されるのは、柴田祐規子さん 伊東敏恵さん 塚原愛さんに続き、11年振り4人目とのことでありますが
              
ご覧のように、誠に見目麗しい方でありまして、この方は そう遠くない時期 NHKの看板アナとなられるに違いないと思っておりますもので、それで、ぜひとも そのように育っていただきたいとの思いから、アナウンサーさんにも こんな素晴らしい役者さんがおられたのですよ ということを、もちろん マユコさんは よく御存じでありましょうから、皆様方にお伝えしたくて、キータッチした次第であります。   

   







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