百休庵便り

市井の民にて畏れ多くも百休と称せし者ここにありて稀に浮びくる些細浮薄なる思ひ浅学非才不届千万支離滅裂顧みず吐露するもの也

旧約聖書『コヘレトの言葉』の新訳に最大敬意を表します ~ これはもう まるで『般若心経』or『方丈記』の世界です

2020-05-02 19:51:20 | 日記

 4日前 (4.28) の写真で恐 縮ですが、当庵前のハナミズキ、今年は 多く 咲いてくれました。

 
 もう これに いっぺんに引きつけられました。『般若心経』はたまた『方丈記』の一節 ?。3/4 世紀 生きてきたっちゅうに、今までオイラが生きてきた世間って 何じゃったんじゃろう・・・皆さん ご存知っちゅうに、知らんかったやなんてぇーー『コヘレトの言葉』ーー


弁解させていただくならば、、、
明治以来 幾度も翻訳を改めてきた聖書ですが、昭和62年(1987)、画期的な出来事が起こったそうな。

これが その事件を報じた新聞ですが、初めて カトリックとプロテスタントが共同で翻訳した『新共同訳聖書』が刊行されたのだと。

で、この時から 31年経った 平成30年(2018)、

「礼拝にふさわしい美しい日本語へ」を 基本コンセプトにした、
  
              全く新しい『聖書協会共同訳聖書』が、出版されたのだと。
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今回、左側から右側の訳になったのですが、以前の ちっとも気を引かない 血の気のない ひ弱な文章が、それがです、日本人にとって馴染みある めちゃめちゃ魅力的な、インパクトを伴った まったく別物と言ってもいいくらいの 、生き生きとしたものへ大変身を遂げ、まだ 2年ほどしか経ってないのですから・・・・

さらに新らしい翻訳例をお示しします。


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なんかもう うっとりさせられっぱなしの詞章が並んでいますが、ココロを打たれるのは、美しいはもとより、何よりも、この世の真実が述べられているからだと思います。

これらを紹介して下さったのは、R2.4.25 NHK-Eテレ『こころの時代 宗教・人生』『それでも生きる~旧約聖書「コヘレトの言葉」』。
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素晴らしい番組でした。小友聡(おともさとし)さんは、神学校の卒論で、ご自身が最も分からなかった、指導教官さんからも「解らない」とされた『コヘレトの言葉』に挑み、以来 35年もの間、途中のドイツ留学時代を含め  研究を続けてきておられるのだと。

今回の『新共同訳聖書』編集作業に於いては、ヘブライ語で書かれている原文 ひとつひとつに zeroベースで向き合い、取り組まれたとのことですが、その中で キーとなったのは『ヘベル』という言葉の訳だったそうで、今回、全体的な趣意を総合的に鑑み、1987年以前に用いられていた『空』を復活させたとのこと。


ここで番組で説明あった『旧約聖書』、およびその中に於ける『コヘレトの言葉』の位置付けについて、簡単に記します。

上は、古代イスラエルの歴史をですが、旧約聖書は、ソロモン王の時代 BC965年以降『出エジプト記』あたりから書き始められたのではないかと。

そして、BC200年以降、『コヘレトの言葉』が 最後に書かれたのではないかと。で その
『コヘレト』とは、ヘブライ語で『集める人』という意味ですから、おそらくは ユダヤ教の教会に人を集め、ソロモン王の名を借り『知恵』を語っていた イスラエルの知者ではないだろうか、と 小友聡先生は推察されてられます。


全39巻、歴史書・文学書・預言書 で構成される『旧約聖書』は、「全てを失った イスラエルの民の嘆きと祈りの書」であって、その文学書の一つ『コヘレトの言葉』は、「人生は束の間。これを どう生きるか教えてくれている書」でありますと。なお 内村鑑三さんは、

                         このように お語しなさっていたと。

番組は、詩的芸術的感性 知性 学識はもとより、企画・構成力 展開力 表現力 エンタメ力 等々、番組を番組たらしめる能力やセンスに、卓越した才能を持ってられる 若松さんが、おそらくは この分野における トップの学識をお持ちの方でしょう 小友さんに、その知見をお話いただくというスタンスで展開されてまして、たいへん好かったですが、惜しむらくは、 小友さんの 数限りなく発せられる「・・・ですね」が 無かったならば、それはもう 完璧だったのでは と思いました。

影絵を用いた印象的な演出も、詩にぴったりマッチして 好かったです。特筆すべきは、井上二郎アナウンサーさんの "語り" です。言葉の持つ 詩情性 意味合い 説得力 が最高レベルまで 高められてまして、もう絶品 !!! 。本当に素晴らしかったです。

オイラがイチバン読みたいと思う小説は、叶うべくもない 山本周五郎さんの『おごそかな渇き』の続編でありますが、ひょっとしてこの小説は『コヘレトの言葉』をテーマに、筋立てを考えてらっしゃったのではないだろうかと思えてきました。雰囲気が とても似通ってると感じられるのです。そういった意味でも、全6回シリーズ、次回予定は まだ立ってないようですが、たいへん楽しみであります。

なお 本稿掲載の写真は すべて、NHK-Eテレさんの当該番組 および NHK出版さん発行の当該テキストから いただいてまして、このこと、謹んで 御礼申し上げます。ありがとうございます。











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