細越麟太郎 MOVIE DIARY

最新の映画情報や批評を掲載します。

●『マッドマックス/怒りのデスロード』は、新たな映像破壊体験への挑戦状。

2015年06月16日 | Weblog

6月9日(火)13-00 内幸町<ワーナー・ブラザース試写室>

M-069『マッドマックス/怒りのデス・ロード』" Nad Max Fury Road " ( 2015 ) Warner brothers / Village road show 

監督・ジョージ・ミラー 主演・トム・ハーディ 3D<120分> 配給・ワーナー・ブラザース映画

ご存知メル・ギブソンのオーストラリア・デヴュ作で、30年前に一部マニアの間でブームになったシリーズの原点「マッドマックス」、その元祖ジョージ・ミラー監督の完全復帰版だ。

もともと近未来世紀末で、水と石油資源のなくなった地上でのサバイバル・バトル映画で、当時はあまりにもコミックなヴァイオレンス発想のせいか、一部のマニア向け活劇だった。

それでも3作ほどのシリーズは人気となり、メル・ギブソンはハリウッドのトップ・スターになったが、監督のジョージはその後のハリウッドで、どうも企画に恵まれなかった。

「ハッピーフィート」や「ベイブ」のような、いくつかのファミリー向けのファンタジー作品は作っていたが、彼のクレイジーな本領は、タランティーノやダニー・ボイルのクラス。

もう、あの破天荒なクレイジー・ムービーを撮る年齢じゃないのかな、と、「マッドシティ」で案じて、実はこの久しぶりの「マッドマックス」リベンジは心配が多かった。

しかしジョージ・ミラーには、その危惧はまったく無用だった。いや、大変失礼しました。おぬし、なかなか、やるじゃん。・・・・。

いきなり不毛の荒野に立つマックスの後ろ姿。「俺は気の触れたマッド・マックスだ」というなり、足下のトカゲを踏みつぶし、重量級のヘビー・バイクに股がると崖を走り去る。

ま、クリント・イーストウッドが見たら、「俺のマカロニ・ウェスターンと同じじゃないか」と苦笑するだろうが、このマックスは、それからの2時間、走りまくるのだ。

強烈なハードロックの音と、凄まじい砂塵を撒き散らして、悪の手に支配されている水源を求めて、マッドの荒野の激走は止まらない。まさに無謀な映像暴力。

オスカー女優のシャーリーズ・セロンも、坊主刈りに片腕というダークなルックスで、この極限の狂気<マッドマックス>のリベンジに参戦して、さすが大女優の意地を見せつけるのだ。

ストーリーは特にない。そのデス・ロードの激走を邪魔する軍団との、壮絶な走行バトルがノンストップで繰り返され、想定外の改造戦車による激闘が止まらない。

これはもう、見ているこちらにも、その映像と音響のチャレンジに対抗できる体力がなくては、とても味気ない2時間になるだろうし、その気がない人は絶対に見ない方が身のためだ。

3Dによる加速映像の連続と、ハードロックの轟音は、もう映画の娯楽性を超えて、むしろアミューズメントの体感バトルの戦場に投げ出されたような痛みを快感できる。

だから、これは、まさに<マッドマックス(極限の狂気)>なのである。

 

■初球を右中間に豪打して、一気に駆け抜けてエラーを誘い生還。 ★★★★

●6月20日より、全国ロードショー