前回の「金閣寺」に続き、安部公房の、砂の女、を読み返しました。 こちらも、記憶にないほどの昔にかいつまんだ程度。 安部氏も三島由紀夫同様に、海外で高い評価を得ている作家です。 あと数年ご存命だったなら、ノーベル文学賞を受賞していたであろうことは想像に難くありません。 砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められた男を巡ってのドラマが展開してゆきます。 前衛的と申しましょうか、純・純文学的とでも語りましょうか、単純な作品背景とは裏腹に、作者の真意をくみ取るのは非常に難解だと思います。 村社会へのアイロニーなのか、ニヒリズムを描いたのか、不条理が全般を覆っているのか、などと考えるのですが、 単に、天才が産み落とした推理小説であるのかもしれません。