ひのっき

あったかくてぐっすりでごはんがおいしくてよかったねうれしいねなんて小さなしあわせ探し雑記

とんかつと戦争

2018年04月13日 | 絵日記

美味しいですねぇ。
とんかつ。
分厚い豚肉に衣をまぶし、大量の油でカラリと揚げる。
揚げたて極上の美味を味わう度に、日本にー!生まれてー!よかったー!なんて歓喜の絶叫が心を満たします。

さてさてとんかつの起源は、フランス料理のコートレット(cotellete)です。仔牛肉に薄く衣をまぶし、少量のバターで揚げ焼きにする。つまり牛肉のソテーといった料理でした。
日本に入ってほどなく、東京で豚肉を使ったポークカツレツがメニュー化されます。しかし調理法は変わらず、一枚づつフライパンでソテーして出していました。
しかし日本の存亡を揺るがす一大事が、ポークカツレツの形を大きく変えます。
日露戦争です。
日露戦争では多くの若者が徴用され大陸に渡りました。コック見習いも例外ではなく、洋食店では人手不足に悩まされます。
豚肉を一枚一枚ソテーして出していたのではとても注文をさばききれない。そこで天ぷらのように大量の油で揚げることを思いつきます。
また付け合わせで出していた温野菜のソテーも、手間を省くためなんと生で出すことにしました。そう、キャベツの千切りです。
大量の油で揚げることによりカラリとした食感を獲得したポークカツレツは爆発的な人気を博し、いつしかその略語が日本語化します。「とんかつ」の誕生です。
窮余の策のキャベツの千切りもさっぱりとした口当たりが好評し、100年後の今でもなくてはならない付け合わせとなっています。
国家興廃をかけた戦争が、西洋料理の一メニューでしかなかったポークカツレツを、国民食「とんかつ」に昇華させた。
平和な社会で美味しいとんかつを味わえる幸せに、しみじみ感謝のランチタイムでした!


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