ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

孤立していく“Yen”、そして・・・

2010-09-16 19:47:42 | 政治
フランスで、民主党代表に菅氏が再選されたことよりも大きく報道されたのが、政府・日銀による市場介入。相変わらず、政治小国、経済大国なんですね。しかし、その経済も、今や先行き不透明・・・

15日のル・モンド(電子版)が、「円高に歯止めをかけるべく、日本が市場介入」(Le Japon intervient pour freiner l'envolée du yen)と伝えています。

それまで、日本政府関係者の発言に対し、市場は「口先介入」と半信半疑だったが、15日10時半、日本は円高阻止のために市場介入を行った。2004年3月以来の市場介入で、菅代表再選の翌日だった。

14日には15年来の高値1ドル82.87円を付けたが、政府・日銀による介入後、一気に円安に動いた。85円台をつけた後、84.85円前後に。野田財務大臣は、日本単独による介入であることを明かすとともに、引き続き市場の動向を注意深く見守り、必要な場合には介入も含め断固たる措置を取ると表明。

介入の背景にあるのは円高で、円がこれ以上伸長すれば、立ち直りかけている経済に悪影響があり、また15年来悩まされているデフレを一層悪化させるのではないかと心配されるからだ。円高はGDPの15%を占める輸出に悪影響を与えると、産業界からも警鐘が鳴らされていた。

しかし、介入の効果については、10年ほど前ならいざしらず、今日ではあまり期待できないという懐疑論が多く出ている。それは、外国為替の市場規模が大きくなってしまい、一国だけの介入では大きな効果が期待できないからだ。1日の取引高は、2001年には1兆5,050億ドルだったものが、今日では4兆ドルに膨らんでいる。

政府・日銀は、アメリカとヨーロッパの中央銀行に協調介入を求めたが、反応はなかった。世界的な経済減速に直面し、競争力低下をもたらす自国通貨高には各国とも神経質になっている。円安は他の国々にとって、良い知らせとはならない。

日本の今回の市場介入に対し、アメリカは歯ぎしりをしている。アメリカにとってプライオリティの高いのは、円を安くすることではなく、人民元を高くすることだからだ。6月中旬、中国はドルにほぼ固定していた人民元の変動幅を大きくすることで、為替介入による人民元安に対する各国からの非難を抑えつけたが、3カ月たち、あまり変わっていないことが明らかになっている。ドルに対して1.3%上昇しただけだ。

アメリカは日本からも中国へ圧力をかけてほしかったに違いない。日本サイドも、第1四半期だけで70億ドルに上る中国による日本の国債購入が円高要因の一つになっているだけに、中国に慎重な対応を求めていた。

しかし、日本政府・日銀による今回の市場介入により、為替介入をしているのは中国だけではない、というエクスキューズを中国政府に与えてしまい、外為市場における戦いを悪化させてしまう恐れがある・・・

というわけで、欧米各国からは、歓迎されざる市場介入になってしまったようです。しかし、どうして円の独歩高になっているのでしょうね。門外漢には不思議でなりません。アメリカ経済の先行きに不透明感があり、ヨーロッパは財政問題を抱え、消去法的に円が買われている、というのが良く聞く理由なのですが、はたして、日本の経済と財政は安心できるレベルにあるのでしょうか。外国に依存していないから大丈夫だとは言うものの、巨額な財政赤字。経済にしても、OECDが「世界経済は減速してはいるものの、先進国は二番底に陥る心配はない、日本を除いては」と述べています。10年以上にわたるデフレとの出口の見えない戦い、円高による輸出競争力の低下、政治の不安定によるFTAなど各国との交渉の停滞・・・どう見ても、円が買われる状況にあるとは見えないのですが・・・

それでも、円が買われる。それも、ドルやユーロに対してだけではなく、韓国・ウォン、中国・人民元に対しても。アメリカは金融立国から産業を振興し輸出による経済立て直しへと方向転換し、ヨーロッパもドイツを中心に輸出中心の経済回復を望んでおり、韓国・中国も輸出により自国産業の発展を狙っている。実際、サムソン、現代、ハイアールなど、海外でのシェアを伸ばしています。こうした国々にとっては、自国の通過が安い方がいい。

それは、日本も同じ。いや日本こそ輸出のためには円安が望ましい。しかし、円高が続く・・・どうしてなのでしょう。門外漢の思い付きですが、G8やG20において、いろいろと秘密会談も行われているのでしょう。しかし、毎回参加者が替わる日本は、挨拶だけで終わり、その輪に加われない。日本のいないところで、円高誘導により日本企業の競争力を弱め、そのすきに各国の輸出力を高めようという相談がなされていたとしたら・・・先進国クラブから除け者にされてしまった日本。政治の不安定、外交音痴。不満がたまると、最後にはついに暴発・・・いつか来た道。素人の思い付きが、大きな間違いであることを願っています。