ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

背後には、いつも、「マネー」あり。

2010-09-05 19:30:21 | 政治
リビアの最高指導者、カダフィ大佐がイタリアを訪問。その言動が、物議を醸しています。8月30日のル・モンド(電子版)を参考にご紹介します。

まず、滞在しているのが、ローマにある駐伊リビア大使館の庭に設置したベドウィン風のテント。ベドウィンの誇りなのかどうか、どこに行っても、滞在するのはこのテントですね。また、市内を散歩した際には、300ユーロのいかにも安っぽい指輪を納入したとか。でも、32,000円。国家を代表する人の買う装飾品としては、あまりに安っぽいということなのでしょうね。

そして、最も耳目を集めているのが、夜のレッスン。モデル事務所に集めてもらった若く、きれいで、口の堅い女性500人・・・といっても、変なレッスンではなくて、イスラムの教えについてのレッスンです、誤解なきように。そのレッスンで語った内容とは・・・ヨーロッパはイスラムに改宗すべきだ! イスラムが全ヨーロッパの宗教になるべきだ!

口の堅い女性を集めたはずですが、さっそく内容がメディアを通して流れてしまっています。参加した女性たちには、一人80ユーロ支給されたそうですが、8,000円ちょっとじゃ、言われた通りに黙ってなんかいられないわ、ということなのでしょうか。それに、なにしろ、口の堅いイタリア人というものが存在するのかどうか・・・

カダフィ大佐がイタリアを訪問したのは、2008年8月30日に締結された「友好条約」の2周年を祝うため。この「友好条約」は、第二次大戦前のイタリアによるリビアの植民地支配を清算するためのもので、イタリアから50億ドルの投資が予定されています。その計画の中には、リビアの海岸線沿い1,700㎞に亘って敷設される自動車道建設も含まれています。一方のリビアも、イタリアから兵器を購入したり、金融機関へ投資し、その存在感を高めています。

そして、もちろん、今回のイタリア訪問中にも、いろいろなビジネス上の契約をまとめたいそうです。何しろ、相手は、ベルルスコーニ首相。メディア・グループの総帥であり、ACミランのオーナー。政治家なのか、ビジネスマンなのか。しかも、若い女性とのアバンチュールは枚挙に遑がない。両者、気が合うのか、非常に「友好」的な関係を築いているそうです。

ベルルスコーニ首相は800人のゲストを集めての歓迎夕食会を開くそうですし、その前には、カダフィ大佐が純血のベルベル種30頭とその騎手を特別にリビアから呼び寄せ、ローマ市内でパレードを行うそうです。また、写真展のテープカットにもそろって出席するとか。どこかで、個人的にも、ウィン・ウィンの関係ができているのではと、思えてしまいますね。

しかし、キリスト教関係者や人権団体は、冒頭にご紹介したカダフィ大佐の発言に、カンカン。ヨーロッパのイスラム化という危険な意図は見逃せない。絨毯売りの意見には注意しなくてはいけない。

この時とばかり、カダフィ体制への非難も噴出。リビアに送還された不法移民たちがどうなったのか、心配だ。リビアでは重大な人権侵害が行われていることを、会談の席でベルルスコーニ大統領から喚起してほしい。リビアにおいて信仰の自由が保障されるべきだ。

いろいろな意見が出ているようですが、カダフィ大佐の発言の意図を次のように解釈している人もいます。カダフィ大佐が言いたかったのは、西洋には威厳、品位というものがなく、ヨーロッパが信じているのはお金だけだ・・・

金融万能主義。儲かりさえすれば、手段は選ばない。金銭的に成功したものが、人生の勝者。カダフィ発言、意図が上記のようなら、確かに、一理ありますね。自由主義経済体制の国々に住む人たちの間でも、今のままでいいのか、と思っている人も多いのではないでしょうか。それとも、人生の敗者だけがそう思っているのだ、無視すればいい、ということなのでしょうか。人生の意義、人生の価値・・・みなさんはどう考えますか。