平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

湯川博士の霊界通信(4)

2005年10月26日 | 最近読んだ本や雑誌から
(前回からのつづき)

湯川スミさんの著書『苦楽の園』の一節「アインシュタイン博士との会見」

 「アインシュタイン博士から私たち二人に会いたいと電話がかかったから、午後僕の部屋へ来なさい」との秀樹の言葉に従って、研究所へ出かけた。窓から外を眺めていると、広場の向こうから体格の立派な白髪の老人が、しっかりした足取りで、護衛らしき若者二人を左右に従えてやって来る。勉強机に向かっている秀樹に言うと、「そうだ、あれがアインシュタイン博士だ」という。アインシュタイン博士は私たちの顔を見るなり、二人の手をご自分の両手で強く強く握りしめて、「罪もない日本人を原爆で殺傷して申し訳ない」と涙をボロボロと流されて詫びられた。博士はユダヤ人だから、戦争中にヒットラーに虐殺されかけて、首に高い賞金をかけられて探しまわられ、命からがらアメリカへ逃げてきた。その後もヒットラーのあまりの残忍な行為を心配して、何とかしなければ大変だと強く感じ、「原子の力を爆弾に利用することも出来るだろう」と一寸もらしたのが、当時の大統領ルーズベルトの耳に入り、世界中の実験物理学者の頭脳の結果によって、あの原子爆弾が出来た。ところが、出来上がったものは、学者達の想像以上の大きな威力を持つ爆弾になり、その上、結果としては、ヒットラーでなく日本人が犠牲になった。博士は言葉を続けて、「ご存知のように、学者というものは、一つのものを考え出したら、それをもっと深く、もっと広く研究して行くものである。広島や長崎に落とされた原爆でさえ、一個で即死20万人、後遺症による原爆病の人、数しれずという。その上に、研究を重ねて段々大きい爆弾を作るようになったら、地球の人類は全滅してしまうだろう。そんなことにならぬうちに、この地球上を戦争の起こらない仕組みにしなければならない。それには世界を連邦にする以外に道はない。これを実現さすのに何かよい考えはないものか」と熱心に話された。世界連邦の考えは昔から欧米でも日本でも言われてきたことである。それぞれの国の政治はその国の政府に任せるが、人類共通のことは、世界連邦政府や世界連邦議会に責任を持ってもらい、世界の平和と安全を守るための世界警察をつくり、国と国との争いは、最終的には世界法による世界裁判所で裁いてもらうようにしようというのである。一つの国が連邦制になっている例は沢山ある。

(つづく)