平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

(2)ウランとプルトニウム

2006年02月23日 | エネルギー問題
六ヶ所村(2)

E=mc2というアインシュタインの相対性理論が示しているように、質量とエネルギーは相互転換可能です。原子核が分裂する際に、質量の一部がエネルギーに転化します。原子力発電は、ウランやプルトニウムの核分裂を利用します。

ウランには、ウラン235とウラン238という2種類の同位体があります。このうち、核分裂を起こすのは、ウラン235です。しかし、自然界にはウラン235は0.7%しか存在せず、残りの99.3%は核分裂を起こさないウラン238です。

「軽水型」と呼ばれる原子炉では、ウラン235が多く含まれる「濃縮ウラン」が燃料として使用されます。これは、ウラン235の比率を3~4%まで高めたものです。濃縮作業の過程で、ウラン235の比率が自然界の0.7%より低いウラン部分が副産物として発生しますが、これを「劣化ウラン」といいます。砲弾に用いると貫通力が強いので、対戦車砲弾などに使われます。湾岸戦争や最近のイラク戦争では劣化ウラン弾が大量に使われました。

ウラン235が核分裂する際に中性子が放出され、その中性子がウラン235に当たると、そのウラン235も核分裂を起こし、中性子を発生します。次々と起こる核分裂を連鎖反応といいます。それが一気に進むと原爆ですが、中性子をコントロールして徐々に核分裂を起こさせるのが原子炉です。

原爆の場合は、ウラン235の純度を100%近くに高めてあります。原爆と原子力発電では、ウラン235の純度がまったく違います。

核分裂を起こさないウラン238に中性子が当たると、何段階かの変化をへて、プルトニウムという物質ができますが、これは核分裂を起こします。これも原爆や原子力発電の原料になります。

自然界にはウラン235は少なく、ウラン238のほうが圧倒的に多いので、ウラン235だけを使っていては、ウラン資源がすぐに枯渇します。そこで、ウラン238から生まれたプルトニウムも原子力発電に利用することが考えられました。ちなみに、現在、世界に存在する核兵器の大部分は、プルトニウムが利用されています。

再処理の目的は、いったん使用した核燃料の中から、燃え残りのプルトニウムを抽出し、それを核燃料として再利用することです。プルトニウムを核燃料として利用するためには、現在の技術では、それをウラン235に混ぜてMOXという材料にし、それを「燃やし」ます。これを「プルサーマル」といいます。


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