平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

(4)プルサーマル

2006年02月25日 | エネルギー問題
六ヶ所村(4)

プルサーマルについて、原子力安全白書は、次のように説明しています。

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 軽水炉におけるプルトニウム利用(プルサーマル)に係る安全技術については、原子炉内の全燃料に対するMOX燃料の割合が1/3程度までは、既に述べたように、これまでのウラン燃料に係る安全技術をベースとして科学的、技術的知見が蓄積されてきており、その技術的基盤は十分に整っていると考えられます。また、改良型沸騰水型原子炉では、全燃料をMOX燃料とした場合にも、現在の安全設計・評価手法を使って原子炉における安全を確保することができるという検討結果が得られています。
 プルトニウムを軽水炉内で利用することは新しいことではなく、現在稼働中の軽水炉で得られるエネルギーのおよそ3分の1は、実は、プルトニウムからのものです。ウラン燃料が原子炉の中で核分裂を起こしエネルギーを生産するとともに、その一部がプルトニウムに変換され、変換されたプルトニウムがまた核分裂を起こしてエネルギーを生産しているからです。プルトニウムを初めから軽水炉の燃料として使うものがプルサーマルですが、プルサーマルと現在のウラン燃料利用との違いは、従って、最初からプルトニウムを燃料の中に入れてあることと、プルサーマルの方がプルトニウムの混合割合が高いことです。
 このプルサーマル技術には長年にわたる国際的な経験があります。そのような経験にも示されていますが、プルトニウムとウランの原子炉燃料としての特性に違いはあるものの、決定的な違いではありません。
 しかしながら、実際の設計に当たっては、燃料中心温度や制御棒の原子炉停止余裕等について、計算値の不確かさを見込みつつ安全余裕をとることが必要になります。具体的には、設計値・運転制限値・管理値の設定が規制値を満足する上で十分な余裕があることや、海外での実績や実験結果を活用するなどにより、設計における計算方法の信頼性等を事前に確認することが必要です。また、より一層の安全確保のため、引き続きMOX燃料の利用についてデータ収集を図ることが有効と考えています。
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http://www.nsc.go.jp/hakusyo/hakusyo13/15.htm

「このプルサーマル技術には長年にわたる国際的な経験があります」とあるように、ヨーロッパでは1960年代からすでにプルサーマルが行なわれています。プルサーマルを行なっている原子炉が重大な事故を起こしたという話は聞いていません。プルサーマルは高速増殖炉ほどの技術的困難さはないと考えられます。

しかし、日本では、プルサーマルに対する反対が根強い状況です。そもそも原発そのものに対する不安がある中で、MOXという今までとは異なった燃料が使われるのですから、その不安がよけいに高まるのは自然です。日本の原発ではたびたびトラブルが起こる上に、その情報公開が不十分です。不十分というよりも、情報隠しさえ行なわれたことがあります。これでは、地元住民がプルサーマルを受けいれがたいのも当然だと思われます。


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