難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

聴覚障害者の就職のためのワークショップ

2010年07月03日 11時50分42秒 | 就労
聴覚障害者が就職をしようとする時、最初のネックが求人票の見方がわからない、履歴書の書き方を間違える、面接の対応が出来ないなどの問題があるということで、ワークショップを開くことになった。

面接の会場が勤務先と思ったり、日給、月給の違い、契約社員とパートの違い、履歴書のふりがなをかな/カタカナのどちらで書くか間違えたり、面接で家族のことをママやかみさんと言ったり、いろいろ学ばなくてはならない、

事務系、製造、清掃系と用意された求人票をグループごとに相談しながら対応法方を学ぶ。

主催;東京聴覚障害者労働対策委員会
日時;2010年7月25日(日)午後13時から16時
会場;中野駅周辺(未定)
問い合わせ先;東京聴覚障害者労働対策委員会
(社)東京都聴覚障害者連盟内


ラビット 記

聴覚障害者公務員の雇用等に関する実態調査の公表について

2010年06月17日 00時38分27秒 | 就労
東京都聴覚障害者連盟と東京都中途失聴・難聴者協会は、聴覚に障
害を持つ職員の雇用等に関するアンケートの結果を公表した。


ラビット 記
(以下は、社団法人東京都聴覚障害者連盟のHPより)
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聴覚障害者公務員の雇用等に関する実態調査の公表について

社団法人東京都聴覚障害者連盟
理事長 宮本 一郎
特定非営利活動法人東京都中途失聴・難聴者協会
理事長 高岡  正

 平成19年に聴覚障害のある職員の雇用等に関するアンケート調査を、社団法人東京都聴覚障害者連盟及び特定非営利活動法人東京都中途失聴・難聴者 協会合同で都内23区26市を対象に実施いたしました。集計結果に遺漏がないよう再度の問い合わせを行ったことや、集計に思いの外時間がかかったこと、公 開範囲を慎重に審議したことなどで公表が遅くなりましたが、ようやく集計結果と分析がまとまりましたので、ここに公表いたします。

 私たちは、聴覚障害のある人の採用試験、面接にあたっては、手話通訳、要約筆記の配置や採用後の研修等を、配属の現場においては、障害のない人と 同等に働ける環境の実現を求めています。
現在、国連障害者権利条約の批准を目指して、内閣府において障がい者制度改革推進本部が設けられ、障がい者制度改革推進会議で、障害者の就労に関わる権利 を含めてすべての分野で活発な議論が進められております。
こうした中で、本調査の結果を公表することにより、各区、市において、聴覚障害のある人が差別なく採用試験、面接が受けられること、また採用後の情報保障 等の合理的配慮についても、改善がなされることを期待するとともに、これらの改善が広く社会に反映されることを願っております。

 今後とも、障害のある職員、市民が安心して働ける、生活出来る社会を作るためにご理解とご協力をお願いします。
敬具

聴覚障害者公務員の雇用等に関する実態調査

(分析結果)

(区のデータ)
(市のデータ)

デフレスパイラルと難聴者

2009年11月21日 14時08分34秒 | 就労
政府は緩やかなデフレにあると報告した。

通年就労しても200万円以下の労働者が1千万人以上もいる。次男も大学入試に失敗するとフリーターを余儀なくされた。
これでは購買力をもたない国民の消費が増えるはずもなく、デフレから脱却できない。

問題は難聴者も含めた障害者もこの波に巻き込まれていることだ。
非正規労働者の中には正規労働者から難聴を理由にした辞職も解雇も少なくないだろう。
競争的条件に置かれたら、社会的認知の遅れた難聴者は持ちこたえられないからだ。
補聴器を必要とする難聴者は高齢者を中心として数百万人いるが、年金で生活している高齢者は片耳十数万円する補聴器は購入できない。
補聴器購入補助が障害者自立支援法の地域生活支援事業で実施されているが難聴者にとって使いやすい制度とは言えない。生活に支障が出るのが聴力損失レベルが40dBからと考えると両耳とも70dB以上というのは非常にハードルが高い。
かといって、高齢者に補聴器や補聴支援機器の購入補助制度はない。

政府は難聴者支援施策を充実させることで、就労できる難聴者が増え、就労している難聴者は能力を発揮できる、高齢者も生き生きと生活できるようになり、介護や医療等にかかるコストが低減できる。


ラビット 記
隣駅のモールがリニューアルした。

聴覚障害者の就労と雇用の合理的配慮について

2009年11月09日 01時32分39秒 | 就労
08/08/07 第4回労働・雇用分野における障害者権利条約への対応に関する研究会議事録
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/08/txt/s0807-1.txt
第4回労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会議事録
1.日時  平成20年8月7日(木)14:00~16:00
2.場所  厚生労働省共用第7会議室(合同庁舎5号館5階)
3.議題   障害者関係団体からのヒアリング
    特定非営利活動法人全国精神保健福祉会連合会 理事長 川崎洋子氏
    社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 理事長 高岡正氏
    社会福祉法人日本盲人会連合 副会長 時任基清氏
    財団法人全日本ろうあ連盟 理事 松本 正志氏
    社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 常務理事 森祐司氏
    社会福祉法人全国盲ろう者協会 理事 福島智氏

難聴者は犬ではないです!

2009年08月06日 19時18分55秒 | 就労
090804-212947.jpg仕事で、未確定情報を他者に伝えたというので上司に「決まってから伝えればいいんだ、それはやっちゃダメ、ダメ!いい?ダメ!」と言われた。
まるで犬に言うような言い方だ。それも伝えた人が聞きに来てその面前で言う。何でそんな言い方をするのだろうか。

上司は業務のストレスが原因なのか、私に対して感情の起伏が激しい。そういう言い方をした割には、けろっとしている(ようにみえる)。
難聴者の部下にスムーズに話が伝わらない、コミュニケーションが出来ないのが彼の精神衛生上不快なのだろうか。私のコミュニケーションの努力が足りないのだろうか。

福祉に係わるボランティアも含めて、難聴者と接する人の「ケア」が必要ということは聞いている。

難聴者も、コミュニケーション不全による不満足感に加えて、中・壮年期に入れば、仕事の環境が変わったり、将来の生活設計の見通しが立たないとか、加齢による健康上の不安が増したり、家庭の変化など心身に大きな影響を受けやすくなる。
自分で自分がどうなっているのか分からないというのは、「更年期」みたいだ。

河井隼雄の「カウンセリングの実際問題」(1970)をbookoffで入手した。カウンセリングの基本が「話を聞くことにある」とある。クライアントが話すことがだんだんなくなってきて、深層心理に潜む問題も話すようになり、そのことで本人が問題の所在とそのことを従来と違った見方をするようになると言う。

カウンセリングはなかなか受ける機会がない。カウンセリングで話す代わりに、気の置けない友人に話すことでも、「心の旅」はできるのだろうか。


ラビット 記




難聴者、中途失聴者の雇用、就労の要望と政府の検討

2009年04月19日 03時37分34秒 | 就労
090330-084919チューリップあ.jpg090410-132408チューリップ.jpg難聴者、中途失聴者の労働、雇用分野における障害者権利条約の対応についての議事録が公開されている。

08/08/07 第4回労働・雇用分野における障害者権利条約への対応に関する研究会議事録
第4回労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会議事録
1.日時  平成20年8月7日(木)14:00~16:00
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/08/txt/s0807-1.txt

その後も、各障害者団体のヒアリングが続き、多くの代表が意見を述べている。
2009年1月14日には、労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究会(第8回)が開かれ、それらの意見を論点整理として、公開されている。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/01/dl/s0114-9a.pdf

第4回から第7回までの、委員・障害者関係団体からの主な意見は資料2にある。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/01/dl/s0114-9b.pdf


ラビット 記





職場で難聴者として悔しい思いをしたこと

2009年04月16日 00時47分59秒 | 就労
090415-084310.jpg今日は、職場で難聴者として悔しい思いを2回も味わった。

上司が脳性マヒのある同僚のことを、「甘えている」、「その仕事はできっこない、出来るわけがない」と頭から否定する。どんな仕事をさせられるか頭が痛いという。
どういう仕事が出来るかではなく、この仕事をしてもらうためにはどう環境を整備するのかどう仕事のやり方を変えれば良いのかを考えて欲しいと言っても無理と言う。

確かに体幹に関わる大手術をして退院して、手足の筋力が弱っているからというのはある。
4月から出社して、ただ一日座っているだけで時間が過ぎていく。もう少し積極的に動いて欲しいと思う。

しかし、手指が自由に動かない、椅子から立つのもやっとだ。それでも仕事は出来るのだ。難聴の私が、聞こえないから仕事ができない、仕事を与えられないと言われているのと同じだ。
同僚の帰り際、そんなことを言われて悔しくないのか、自分は悔しいと言ってしまった。

帰り際に、若い後輩から、課の女性が業務委託先の男性社員に、きつい言葉で仕事を教えているのはちょっと驚きますねと聞いた。身近にいる女性がそんな口調で言っているとは思わなかった。
2年前にも、別の女性が派遣社員のをいじめと同じことを言っているのが聞こえていなくて、それを防げなかった。日頃から障害者の人権だ、権利擁護だと言っている自分がどうして目の前の人の人権を守れなかったのかと悔しい思いをしたのだ。また同じことが起きてしまった。
目の前にいる会話が聞こえていないとこうしたことが起こる。

難聴の自分が情けないやら、悔しい思いがいっぱいになった。


ラビット 記




聴覚障害者も新しいスタート、会社も制度も。

2009年04月06日 22時03分21秒 | 就労
090406-083144.jpg勤務先では先週異動があり引継も終わり、新人も含めて皆今日から新しい部署での仕事が始まった。

昨年のことか、耳に補聴器をしてリクルートスーツを来て就職試験の本を見ていた若い女性に電車の中で声もかけられず、心でガンバレヨーガンバレヨーと声援を送っていたことを思い出した。彼女は無事に就職できたのだろうか。
http://blogs.dion.ne.jp/rabit/archives/6824923.html

今、企業の入社研修で要約筆記者はフル回転だ。企業が要約筆記の費用を負担する派遣だが、研修が終わって職場に配置されてからも引き続き派遣が受けられるのだろうか。
会社の業務は知識と経験の積み重ねで、それはコミュニケーションで得られたり、促進されるものだ。そのため聴覚障害者が仕事に就いたとき、コミュニケーション支援は最初からかつ継続して必要になる。
働く場所では、同僚の個人の配慮で行われるコミュニケーションもおなじように欠かせない。

聴覚障害者は初めて仕事に就くときはどのような会議やコミュニケーションが行われるか知らない。雇用されたばかりで、試用期間中という弱い立場でもある。

どうやって、問題を解決するか。
本人が状況に応じて必要な配慮やコミュニケーション支援を求めたり、選択できるようになるまでは、雇用先が最大限の配慮をしなければならない。聴覚障害者が真に戦力となるように、雇用側も聴覚障害者本人も助言や指導が受けられるような仕組みが必要だ。
聴覚障害者問題に精通したジョブ・コーチを養成したり、制度の活用を国や公的機関が推進すべきだろう。

また、本人が差別や不十分な処遇を受けた場合に、雇用企業内や労働委員会など公的機関に訴えることの仕組みが必要だ。

手話研修センターの就労支援事業は4月12日に開所する。どういう事業をするのだろうか。


ラビット 記




永年勤続30年の難聴者の思い(3)

2009年04月04日 09時28分58秒 | 就労
090403-131608.jpg090403-131638.jpg3年前に異動になったのを機に、会社の会議に要約筆記を付けてもらうように要望した。これまでも何度か要望していたが担当者と日常的なコミュニケーションをしなければならなくなったので「決死」だった。認められなければ社長と差し違える覚悟だった。

毎週の課のミーティングに要約筆記が付くようになって、仕事の中身も流れも理解できるようになっていった。会議の内容が分かると普段の業務もコミュニケーションが楽になった。
人工内耳を付けて、ほぼ1年。職場には花粉症のマスクをした人が多いが、言っていることが分かるようになった。昨日も電車に乗り合わせた後輩の子育ての話が出来た。
上司の言い方にかちんと来るのも声で機嫌が悪いことが分かるようになって、ああ何かストレスがたまっているな、何かすぐ支援しようと思えるようになった。


このことから二つのことを学んだ。一つは聴覚でも文字でも、手話でも、普段の言語活動により人は思考し、成長する。だからコミュニケーション支援や聴覚補償は重要ということ。
もう一つは、難聴者が社会の中で生きていくためには、より高い自己実現を目指すには、難聴であることに自信を持つ必要がある。そのための考え方や必要なコミュニケーション技術や生活技術を学ぶ必要があること。
(続く)


ラビット 記






永年勤続30年の難聴者の思い(2)

2009年04月04日 01時06分41秒 | 就労
090402-125648.jpg090403-084029.jpg4月1日の表彰の時に、難聴の自分へのコミュニケーションの配慮を受けたことのお礼と農業・自然の恵みに連なる仕事をしている誇りを持てたことを御礼の挨拶で述べた。話す時間が短いのでこれで精一杯だった。

しかし、協会の会報にこのことを書こうとして、いろいろ考えてみると、仕事に関わる記憶が薄いことに気が付いた。
会社の20年史には、皆営業で顧客の開拓に苦労したとか、制度が変わって大変だったとか、誰々と朝まで飲み交わしたというようなことが書いてある。
しかし、同僚や上司との会話が全く記憶にない。会社の仕事の幾つかは覚えていても、体系的な知識がほとんどない。人脈や人柄、噂という情報が全くない。
これでは、透明人間だ。存在しなかったのと同じではないか。

入社する少し前に難聴者団体に入会したので、難聴者運動との関わりも30年になる。こちらの方は、聞こえの補償とコミュニケーション保障をしていて、誰がいつこういうことを言ったということを覚えている、何年にこういうことをしたということを覚えている。この違いは何か。
(続く)


ラビット 記




永年勤続30年の難聴者の思い

2009年04月03日 08時28分34秒 | 就労
090402-130715.jpg090402-130729.jpg一昨日の4月1日、勤務先で永年勤続の表彰を受けた。

皆の前でどう挨拶をしようか考えていたが、なかなかスタンスが決まらなかった。

30年前入社してから、社名は3度変わった。配属先は3回だけ変わったが一番長いのは工場勤務だった。23年間は工場で、3年前からが今の職場になる。
入社の時から、難聴であることはずーっとついて回った。就職試験、面接の時から、補聴器をどうするか、難聴であることをどう説明するか、悩んだ。会社には行った頃は今よりも聞こえていたが、それでも立ち話でも分からないことが多かった。

まだ工場勤務時代、仕事が終わって、上司に昏々と飲み屋で「諭され」たことがあり、同席していた夫人から「もう良いじゃない」と言われて解放されたが、何を言われたのかいまだに分からないままだ。

会議で聞こえないので手話通訳を何度も依頼したが、「今は会社の経営が厳しい」との一言で断られた。一回は障害のある子供を持つ上司の時、もう1回は会社役員の説得に抗して退職する際に残った有給休暇を消化した反骨な上司の時だった。そうした上司であっても、難聴者の会議に参加するための費用の支出を経営陣に説得するには至らなかったということだ。
それでも、ようやく手話通訳が付いたが異動でまた会議に通訳がいなくなってしまった。

仕事に関する情報は会議や日常の会話から入るが、会社が取引停止になる事故を起こした際も何が起きたのか分からずに数ヶ月が過ぎた。あとで分かってもショックも感じないくらいだった。

3年前、機会やコンピュータが相手ではないスタッフと仕事をする立場になって、「決死」の思いで要約筆記の派遣を求めた。
幸い理解のある上司のおかげで、要約筆記が毎週の会議に付くことになった。ももなく3年になるが会議の内容が分かることで仕事への意欲も責任が出てきた。

30年の勤務のうち最後の3年間が本当の勤務のような思いだ。
(続く)


ラビット 記







聴覚障害者の労働問題学習会って?

2009年03月07日 12時30分05秒 | 就労
090226-223420.jpg朝から、聴覚障害者の就労問題を考える集まりに出ていた。

5月に開く労働問題学習会の名称を議論した。労働って固くないか、他に適当な言葉がないか、「就労」、「ワーキング」、「しごと」、「働くこと」などいろいろな言葉が出されてイメージを合わせていった。
議論の末、「聴覚障害者にとって、『働く』とは?学習会」に落ち着いた。

ろう学校が働いている聴覚障害者の実態や支援の実際を知りたいということもあり、内容をどうするか、様々な意見が交換された。

聴覚障害者の労働問題には、いろいろな立場の人が関わっている。ハローワークで就労支援にあたっている聴覚障害者職員、聴覚障害者対象のジョブコーチや支度訓練を計画している自立支援センター、ハローワークで仕事をしている手話通訳者、実際に企業等に働いているろう者、企業の採用担当者等に加えて、ろう学校の先生、親、生徒など幅広い。

学習会では現状や課題を話し合うが問題の整理が必要だ。討議の中で、午前中、就労前の問題、午後から就労後の問題に分けて話し合うことになりそうだ。
予算等は次回の会議になった。

障害者ジョブコーチは知的障害者がメインだが、東京しごと財団の東京聴覚障害者自立支援センターの職員二人が研修を受講して、聴覚障害者対象のジョブコーチの資格を取っている。全国でも少ない。

聴覚障害者からも企業からも「ジョブコーチ」を希望することが出来る。聴覚障害者本人が希望する場合はどういうことかというと、企業側が聞こえないのに補聴器の装用を強要された場合に企業に「コーチ」(説明)をするというようなケースだ。なるほどと思った。
案外聴覚障害者本人の希望者が多いかも知れない。もちろん、難聴者も対応する。


ラビット 記





企業にいる難聴者と職場への支援プログラム

2008年09月21日 00時45分45秒 | 就労
080920-支援センター115853.jpg今日は、聴覚障害者就労対策委員会だった。

聴覚障害者の就労問題を具体的に解決しようと、ろう団体、難聴者団体、手話通訳、要約筆記者団体、その他の関係団体も加えて、公開セミナーや学習会を開催してきた。
聴覚障害者自立支援センターでは、聴覚障害者相談支援事業を各区市から委託を受けようと説明に回っているが、そうした取り組みから聴覚障害者を雇用している企業から研修のニーズがあることが分かってきた。

これは、厚生労働省やハローワークなどが行う企業の障害者雇用人事担当者向けの研修ではなく、聴覚障害者と聴覚障害者の配属されている職場の管理者や同僚向けの研修だ。

企業から見ると、ろう者、難聴者にどう接して良いか分からない、なぜ言ったことが伝わらないのか、どうしたら聞こえないことを乗り越えて仕事をしてもらえるか悩む日々だ。
逆に、ろう者、難聴者から見ると、どうして言われたとおりにやったのに怒られるのか、手話を使ってくれるのはありがたいが会議の通訳は無理、どうして通訳を付けてくれないのか、どうしたらスキルを身につけることが出来るのか、皆が話していることが分からず不安、寂しいという不満を抱えている。

080920-商和稲荷120807.jpgこれらは相互理解が不十分なことに起因するが双方にばかり攻められない。聴覚障害は障害者自身が周囲に分かるように説明できない障害だからだ。

委員会では、聴覚障害者の配属されている上司や同僚に対する研修と聴覚障害者に対する研修をそれぞれのプログラムで行う必要がある、自立支援センターで企業向けの研修事業として、採算もとれるようにしよう、テキストは助成をもらって作ろうということになった。

研修の名称は「聴覚障害者との協働研修」を提案した。聴覚障害者を雇用している企業にたいして、配属されている職場の人たちと聴覚障害者が対象者だ。


ラビット 記
東京聴覚障害者自立支援センター玄関
とセンター近くの商和稲荷神社








宴会の要約筆記の代わりに筆談

2008年09月09日 20時17分26秒 | 就労
080829-195832.jpg080906-筆談165304.jpg勤務先の本社で「○○を検討する会」として、夜召集がかかったので、要約筆記を依頼しようとしたが、上司から宴席なので止めて下さい、自分がフォローするからと言われた。

気持ちはありがたいが実際には無理な話なので、筆談ボードと人工内耳の機能を使って対応することにした。

遅れて席に着くなり、専務に歳を聞かれた。若いと言われるが定年後のコース選択を来年には答えなくてはならない歳だ。苦労が足りないものでと話す。

隣の課長と何について話をするか考えたが、健康、子育て、天気、酒という定番の話題から、そう言えば課長の子供も幾つになったのかと子育てについて聞いたところ、兄弟二人の性格が全く正反対と言う。これは筆談ではなく、読話と人工内耳のビーム機能で、「子供」、「性格」、「大変」と言っているのが分かったので、それは我が家も同じだと相づちを打つことが出来た。こうした話題はどこの家でも同じなのだ。

部屋に入るって着席する前に、管理部長に皆に聞こえるように「明日の災害帰宅訓練は本当に歩くの?」と、話題を振った。本社から工場まで20キロを帰宅訓練として歩くのだが6時間近くかかる。この企画の立案者が管理部長で、翌日予定されていた。
格好の話題提供となったようで、ひとしきりその話に花が咲いた。自分から話題を出せば、てんでに話されてもそうずれない(「た」を修正)話が出来る。もっともその場をとりなすだけで、皆の談笑に入れないのは悲しい。

いつもバッグに入れてある筆談ボードを使って、専務に話しかける。上司がいかに派遣社員に親しまれているか、ボードに書く。上司と自分と部下の日頃の仕事の状況をイラストにして表す。専務が笑って何か言っているが分からないのでこちらも笑って誤魔化すしかない。部下と上司が話して合わせている。その間は、目の前のほとんどないものを箸でつついて、酒を飲み続けるしかない。

仕事がらみでちょっと提案ぽいことを話したが、相手の言うことが分からないので会話がリレーにならない。仕事の話も出来ず、心に空洞が広がる。

お開きになって、外へ出ると雨だった。皆の傘に入っても聞こえないので声もかけなかった。しばらく待っていると店員が傘を貸してくれた。
サラリーマンは企業の中でコミュニケーションが大切だ。聞こえなくてもノミュニケーションも楽しみたい。要約筆記者の派遣が受けられないなら、自費でもと思ったりしたが。

この宴席の要約筆記のことで、ずーっと心に重石が乗っている。


ラビット 記




難聴者の就労問題が国際会議で

2008年08月22日 08時46分39秒 | 就労
080822-082239.jpg080822-082251.jpg本日2008年8月22日付けの読売新聞17面に、「生き生き働ける環境ぜひ」として、難聴記者が国際難聴者会議で自身の体験を通じて、難聴者の就労問題を訴えたことが紹介されている。

記事では、難聴であることの理解不足から企業への要約筆56記者の派遣が進まないこと待遇や昇格に差があることが指摘されている。
全難聴が策定した中途失聴・難聴者の職場改善就労マニュアルの普及を通じて、「法制度の改善、企業の支援、同僚の理解」が進むことを提起している。

この会議の報告は各国の大きな反響を呼んだ。いかに難聴という障害が厳しいかをだけではなく、国際的な取り組みをも必要としていることを示している。


ラビット 記