難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

宴会の要約筆記の代わりに筆談

2008年09月09日 20時17分26秒 | 就労
080829-195832.jpg080906-筆談165304.jpg勤務先の本社で「○○を検討する会」として、夜召集がかかったので、要約筆記を依頼しようとしたが、上司から宴席なので止めて下さい、自分がフォローするからと言われた。

気持ちはありがたいが実際には無理な話なので、筆談ボードと人工内耳の機能を使って対応することにした。

遅れて席に着くなり、専務に歳を聞かれた。若いと言われるが定年後のコース選択を来年には答えなくてはならない歳だ。苦労が足りないものでと話す。

隣の課長と何について話をするか考えたが、健康、子育て、天気、酒という定番の話題から、そう言えば課長の子供も幾つになったのかと子育てについて聞いたところ、兄弟二人の性格が全く正反対と言う。これは筆談ではなく、読話と人工内耳のビーム機能で、「子供」、「性格」、「大変」と言っているのが分かったので、それは我が家も同じだと相づちを打つことが出来た。こうした話題はどこの家でも同じなのだ。

部屋に入るって着席する前に、管理部長に皆に聞こえるように「明日の災害帰宅訓練は本当に歩くの?」と、話題を振った。本社から工場まで20キロを帰宅訓練として歩くのだが6時間近くかかる。この企画の立案者が管理部長で、翌日予定されていた。
格好の話題提供となったようで、ひとしきりその話に花が咲いた。自分から話題を出せば、てんでに話されてもそうずれない(「た」を修正)話が出来る。もっともその場をとりなすだけで、皆の談笑に入れないのは悲しい。

いつもバッグに入れてある筆談ボードを使って、専務に話しかける。上司がいかに派遣社員に親しまれているか、ボードに書く。上司と自分と部下の日頃の仕事の状況をイラストにして表す。専務が笑って何か言っているが分からないのでこちらも笑って誤魔化すしかない。部下と上司が話して合わせている。その間は、目の前のほとんどないものを箸でつついて、酒を飲み続けるしかない。

仕事がらみでちょっと提案ぽいことを話したが、相手の言うことが分からないので会話がリレーにならない。仕事の話も出来ず、心に空洞が広がる。

お開きになって、外へ出ると雨だった。皆の傘に入っても聞こえないので声もかけなかった。しばらく待っていると店員が傘を貸してくれた。
サラリーマンは企業の中でコミュニケーションが大切だ。聞こえなくてもノミュニケーションも楽しみたい。要約筆記者の派遣が受けられないなら、自費でもと思ったりしたが。

この宴席の要約筆記のことで、ずーっと心に重石が乗っている。


ラビット 記




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