「矛盾の総和が人生だ」と語っているのは、小津安二郎監督の「彼岸花」で、佐分利信が、妻・田中絹代と言い争った時の言葉。
この映画、三度見ているが、今日は、この言葉が引っかかった。
映画の詳細は、ここを参照:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%BC%E5%B2%B8%E8%8A%B1_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
最後に、山本富士子との会話:
山本富士子:「結婚は、金かと思っていたら、真鍮だったと言っていたわ」
佐分利信:「でもね、真鍮を金にするんだ、それが、本当の夫婦なんだ。」
含蓄ある言葉でした。
閑話:
この映画は、小津安二郎監督の初のカラー映画。
アグファのフィルムを使って、発色の良い赤を見せている。
座卓の上の赤い薔薇、自宅の真っ赤なやかん、テーブルクロスの赤い柄、テーブルの上の果物篭の赤いリンゴ、赤い口紅、赤い風呂敷、妹が手に持った赤いバッグ、妹の赤いブラウス、着物の赤い帯、赤黒のデザインのラジオ?、バーのカウンターに置かれた真っ赤な電話、ママの赤い帯、ドアの赤い桟(さん)、旅館の配膳の赤い漆塗りのお椀 等。
前回見た時は、画面に映る赤色に目が行っていた。
追記-1:
浪速千栄子さんが、トイレに行く時、箒が反対になって立てかけてあるのを見つけて、フックに掛け直していた。
京都では、箒が逆に立っている時は、「お客様、御帰り下さい」と言う合図。
そういう背景があるのを、何気なく、分かる人向けに映像を入れ込んでいた。
追記-2:
最後の映像は、京都から広島に向かっている列車が、淀川を渡る鉄橋のシーン。
映像に映る右手の(上り)の橋は、トラス構造で、今でも現存しております。