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ウクライナ支援F-16戦闘機第一陣到着,戦闘機のiphoneというべき傑作機の可能性と西側戦闘機受入の課題

2024-08-03 07:00:19 | 国際・政治
■F-16到着
 F-2戦闘機はF-16を原型に思い切った新技術を動員して素晴らしい戦闘機としましたが次々と改良型が出される中で特にF-16Vと比較すると優位を誇れなくなっている、これがF-16の強み。

 7月31日、ウクライナへアメリカ製F-16戦闘機の供与機第一陣が到着しました。アメリカ政府は7月中に供与すると発表していた為、ぎりぎりではあるが約束は守った構図です。到着したF-16の数は限られていますが、今後増強されるという。ウクライナ政府は2022年以来長らくF-16戦闘機供与を切望し続けてきましたので、ようやく実現した事となる。

 MiG-29戦闘機など開戦の時点で配備されていた戦闘機のかなりの数が破壊されるなか、ウクライナへF-16供与決定は2023年に為されたのですが、MiG-29ほか旧ソ連製戦闘機とは根本から運用思想が異なり、また操縦システムも操縦士に求められる能力も異なる事から、機種転換訓練に長い時間を要したのですが、ある意味でこれは転換点の端緒となり得る。

 F-16戦闘機はiphoneのような戦闘機と云えるのかもしれません、それは戦闘機そのものは平凡な性能ですがアプリのように各種センサーと各種ミサイルや改良型レーダーを搭載する事で、性能面と云いますか可能となる任務遂行能力が第五世代戦闘機のF-35戦闘機に迫る水準まで強化されるのです。いや、F-16を生んだ国だからiphoneがうまれたのかもしれません。

 Block72、F-16戦闘機はblockとして段階近代化改修が踏まれているのですが、block72や80となりますと搭載レーダーの性能からロシアのSu-57や中国のJ-20といった第五世代戦闘機でも厳しい戦いを強いられるのかもしれません、そして日本の三菱F-2ですが、F-16block32ならば圧倒的に優位ですがblock52では性能が迫り、block62以降となると。

 F-16block62からはF-2のAPG-1と同じAESA方式のAPG-80レーダーが搭載され、能力が圧倒的に向上しました。すると、ウクライナへ供与されたF-16戦闘機がどの程度能力向上された型式であるのかが大きな関心事となります。供与されるF-16はNATO諸国でF-35戦闘機を導入した際に退役した機体なのですが、しかし相応に能力向上は為されています。

 ただ、忘れてはならないのはF-16は西側の戦闘機でありNATOをはじめとした空軍作戦体系への適合を念頭に設計されています。航空阻止や近接航空支援に防空制圧と制空戦闘、そこで留意しなければならないのは、MiG-29の穴埋めに単純いF-16を当てはめる場合、能力を発揮出来ない可能性があり、作戦体系そのものを転換させる必要がでてくるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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