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ウクライナ情勢-旧イギリス海軍サンダウン級掃海艇のウクライナ海軍チェルニヒウ、チェルカースイ再就役

2023-06-21 07:00:53 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシア海軍は5月31日にウクライナ海軍最後の艦艇ユーリオレフィレンコを破壊したと発表しましたが、それは正しくはありません。かつての海上警備隊の様に掃海艇から復活する。

 ウクライナ海軍はイギリスより供与を受けたサンダウン級掃海艇の訓練をほぼ完了させたとのこと。サンダウン級掃海艇は1989年に1番艇が竣工したイギリス海軍の主力掃海艇で満載杯資料は600t、15隻が建造されましたが中古艇エストニア海軍やルーマニア海軍への売却が行われておりイギリス海軍は2022年に退役した2隻をウクライナへ供与します。

 サンダウン級掃海艇のグリムズビーとショアハムが2022年に退役し、ウクライナ海軍はグリムズビーをチェルニヒウ、ショアハムをチェルカースイとして再就役させています。イギリス海軍はサンダウン級掃海艇をまだ3隻現役運用していますがこれらも、2025年までに全廃し、有人掃海艇そのものを廃止し新しい無人掃海システムへ置き換える方針です。

 ウクライナ海軍は現在壊滅状態で、黒海を任務海域とするウクライナ海軍はオデッサなどで温存されているものの出航できないままロシア海軍のミサイル攻撃に曝され、当面ウクライナは水上戦闘艦艇を運用しての反撃を想定していない為、都市防空などに防空部隊を集中しています。ここで、サンダウン級は貴重なウクライナ海軍の新戦力となるでしょう。
■サンダウン級掃海艇
 掃海艇をどのように回航するのかは重要な視点です。

 ウクライナ海軍がイギリスから受領したサンダウン級掃海艇について。その任務の重要性と共にウクライナへ回航できるのかという問題があるようです。現在トルコはロシアが戦争を開始した場合には黒海から外海である地中海へ至る唯一の海峡であるボスポラスダータネルス海峡のロシア及び交戦国であるウクライナの艦艇を航行禁止としています。

 掃海艇のウクライナ海軍配備について、ウクライナ海軍は今後主力産業である穀物輸出を再開する為には黒海にロシア軍が大量に敷設した機雷との戦いが待っています。掃海艇はこの為に不可欠であると同時に海洋法執行をも担うイギリス海軍、30mm機関砲を備えたサンダウン級は哨戒艇としての用途があり、将来の停戦後にはその任務も期待されます。

 ボスポラスダータネルス海峡の封鎖はローザンヌ条約とモントルー条約に基づくものであり、イギリス近海で訓練を受けている旧サンダウン級掃海艇チェルニヒウ、チェルカースイについてもその適用が想定されます。海峡は最狭部で800m、ただ、黒海に入ればロシア巡航ミサイルの標的となる懸念が有り、今後の旧サンダウン級運用に関心は尽きません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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