◆シャルが佐世保にやってきた!
ボノムリシャール、佐世保配備、実は少々気づくのが遅れていたのですが、先日5月28日撮影の写真と共に佐世保基地へ前方展開となった新しい強襲揚陸艦を紹介です。
4月23日、佐世保基地へサンディエゴ基地から強襲揚陸艦ボノムリシャールが前方展開として配備されました。これにより2000年7月から佐世保を事実上の母港として展開し親しまれた強襲揚陸艦エセックスは日本を去ることとなったのです。ボノムリシャールは2月14日にサンディエゴ基地を出港、パールハーバー基地とグアム基地を経由し、4月9日に佐世保へ入港、ボノムリシャールはエセックスと同じワスプ級強襲揚陸艦で、ハルスワップ作業として乗員の入れ替えを行い、23日にエセックスとの交代行事を行いました。
ボノムリシャールはワスプ級強襲揚陸艦の1998年就役の六番艦で、交代したエセックスは1992年就役の二番艦にあたります。現在ワスプ級強襲揚陸艦は八隻が就役しており、これを拡大改良させ航空機運用に重点を置いた新型であるアメリカ級強襲揚陸艦の一番艦が先日進水式を迎えています。米海軍にはこのほかタラワ級強襲揚陸艦が就役中で、三隻のうち一隻が現役です。米海軍には強襲揚陸艦のほか、揚陸艇を搭載し重装備を上陸させるドック型揚陸艦を21隻運用しており、その渡洋揚陸能力は世界でも抜きん出ています。
ワスプ級強襲揚陸艦は三番艦以降と八番艦で仕様が若干異なりますが、ボノムリシャールは満載排水量40358t、全長258.2m、幅42.7m、喫水8.1m。蒸気タービン二基を搭載し出力は70000馬力、最高速力は22ノットです。揚陸艦として40000tを超える巨体は文字通り空前の規模で、写真では海上自衛隊有数、世界でも最も大きな水上戦闘艦に数えられる満載排水量10000tのイージス艦、護衛艦あたご型あしがら、が非常に小さく見えるほどです。
強襲揚陸艦とか、それはヘリコプターによる空中機動を重視し立体的な上陸作戦を行う母艦にあたります。標準搭載機はヘリコプター42機、VSTOL機6~8機で、ヘリコプターにはCH-46やCH-53といった大型ヘリコプターや多用途ヘリコプターとしてUH-1,それに攻撃ヘリコプターとしてAH-1Wを搭載可能、人員だけを空輸した場合最大1000名前後の兵員を同時展開可能で、これに先んじてVSTOL機、即ちAV-8攻撃機が航空打撃を実施、上陸部隊が大きな抵抗に遭った際には近接航空支援を迅速に実施し、その打撃力は強大そのもの。
こうした立体強襲上陸を行う観点から、ヘリコプターの運用を重視し、一見航空母艦のような艦容となっているのですが、乗員1123名、揚陸部隊1687名を収容しています。航空燃料は1232tを搭載、このほか艦内にドックを有していて、装甲車や火砲であれば空輸するのですが、エアクッション揚陸艇LCACを3隻収容可能、戦車を迅速に展開させることが可能。自衛用にシースパロー短SAM八連装発射器二基、RAM近接防御SAM21連装発射器二基、このほか20mmCIWSや25mm単装機関砲などを搭載しています。
艦載機として来月にも最新型のティルトローター機MV-22が日本へ前方展開します。普天間基地のCH-46ヘリコプターを代替し24機が配備されることとなっており、これによりCH-46は優秀なヘリコプターですが初飛行が1962年と旧式化が進み近い将来安全性に影響する程度の老朽化が指摘されていますので、ようやく近代化され、戦闘行動半径などは大きく向上、このボノムリシャールでも運用されることになります。米海軍のワスプ級に続く新型強襲揚陸艦アメリカ級は満載排水量44850tとさらに大きくなり、米海軍の渡洋作戦能力は見通せるかなり将来まで、世界最大の規模を維持し続けることでしょう。
北大路機関:はるな
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