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COVID-19緊急事態宣言下で罹患者5500名超,第一波を乗越えた日本の使命は最後の希望

2020-04-10 20:00:32 | 国際・政治
■世界恐慌以来の大不況に突入
 世界で152万0869名が感染し世界経済は停滞、国際通貨基金IMFは現在のコロナ危機下の世界を1930年代世界恐慌以来の大不況と表現しました。

 緊急事態宣言が発令、戦後初の国家緊急事態宣言が発令され、最初の週末を迎えようとしています。緊急事態宣言は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県に発令されています。しかし感染拡大が進む愛知県は本日、大村知事が独自の緊急事態宣言を発令し、また京都府でも西脇知事が感染拡大を前に京都府追加を政府へ要請しました。

 東京では本日新たに189名の感染者が確認、9日までの日本国内累計感染者数は5548名となり、4月2日の感染者数2776名から一週間で倍増した事となります。緊急事態宣言が発令されたのは3日前です。しかしこの緊急事態宣言の効力が大きくなるのは14日後の4月21日まで、指数関数的な増大が続く事となります。21日まで数万の規模に達するという。

 アンソニーファウチ米国立アレルギー感染症研究所長によれば、COVID-19は飛沫だけでなく呼気にウィルスが含まれ通常の会話だけで感染するという。ファウチ所長はレーガン政権時代からのホワイトハウスにおける疾病対策の権威です。COVID-19新型コロナウィルスは発症まで3日から14日間という極めて長い潜伏期間が在り、非常に懸念されます。

 武器が不足している。新型コロナウィルス肺炎を国連のグテーレス事務総長は第二次世界大戦以来の危機としていますが、この戦いに本来正攻法という肺炎抗生物質がありません。免疫力でウィルスに打ち勝つまでの支持療法が基本となり、為に、呼吸補助装置、人工呼吸器、体外人工肺装置、この三つの医療用精密機器を世界は一つでも多く欲しています。

 防護装備が不足している。N95防護マスクは勿論のこと布製マスクまで世界では数千億枚単位で必要となっていますし、医療用ガウンや防護服、可能であれば陽圧式防護服も一着でも多く必要だ。ウィルスの接近を見破るレーダーやソナーというべき検査装置が不足している、PCR検査装置に簡易検査装置と補助用にCTスキャン装置など、全く足りません。

 特需を目指す攻めの防疫対策が必要ではないか。猛烈な批判は覚悟していますが、日本は感染第一波を耐え凌いだ例外的な先進国です。日本には生産力が残っています、緊急事態宣言が発令されましたが、停止している産業力の要因は要員が斃れた為ではなく部品不足と需要不足故、すると、コロナウィルスと戦う為の兵器工場としての責務は無いのか、と。

 緊急事態宣言。欧州諸国やアメリカと比較し罰則がなく、またその行使も遅い我が国の施策には不支持の声も少なくありません、が、実際には中国武漢からの第一波を凌いだ我が国が欧州からの帰国者等から拡大した第二波に曝されているのが実情であり、そして日本には第一波を乗越えたからこその、使命、世界最後の生産拠点としての希望を担う責務があるのではないか。

 総力戦故に産業を総動員して鎮圧すべきです、そしてこれは遣り様によっては特需となる、やらずに守勢に廻れば恐慌を呼ぶ。そして雇用流動性といいますか、労働力の管制不十分といういますか、実は今こそ戦機、いや商機と呼ぶべき業界が逆に活躍の場を閉ざされており、熟練百戦錬磨の戦力が自宅で失業危機に曝されている状況なのが、不思議に思う。

 仕事はある、が、雇用流動性と商品品質管理が平時のまま、戦時体制に移行していない、故に仕事ができる高度な人材がそのまま自宅で無為に過ごしている、これでは勝てない。補助金で倒産を避けるという発想ではなく、大量の財政出動を行うのだから、人類がコロナ肺炎と戦う為の必要な装備品、そして政府が買い上げる、特需を目指すべきでしょう。

 失業なんて冗談ではない、感染拡大の第一波を凌いだ数少ない先進国である日本には、仕事はあるのです。例えば観光ホテル業、タクシー業、観光バス業、醸造業、自動車産業、精密機器工業、飲食業、アパレル系、航空会社、陸運業、通信サービス、公務員、ざっと思い浮かぶこれだけの業界に、政府が発注し人類がウィルスに打ち勝つ使命と能力がある。

 観光ホテル業。観光客激減で倒産危機にあります。しかし臨時病院施設として有償接収するならば逆にホテルが足りなくなるほど。また医療関係者や保健所職員家族が多忙で帰宅できない際の家族受入先、疎開先として行政が借り上げて運用する一種の戦力回復センターとして用いる事で、実は観光ホテル業界はこのコロナ禍を乗り切る分岐点と成り得ます。

 飲食業。いちばんの苦境が伝えられますが、給食能力をコンピュータで整理し、個人事業者含め弁食一食500円程度で政府が大量購入、苦境が続く医療施設や産業関係者自宅家族へ供する事で実は尤も多忙であるべき分野です。美味しく温かい食事は重要な兵站の一つ。集配は集配業者が飽和状態である為、この集配支援にはタクシー業界の動員も望みたい。

 タクシー業。夜間歓楽業自粛と外出自粛で倒産危機にある。しかし勿体ない、保健所職員や医療施設要員輸送として行政が大量にチャーターすべき、過剰勤務で自宅と勤務先の往復だけでも危殆すべき疲労に消耗させている彼らを優遇しなければ、このコロナ危機は乗り切れません、送迎に、新聞記者が深夜の朝刊締切の後の帰宅のように活用すべきです。

 観光バス業。外国人観光客激減で倒産危機にあります。しかし、軽症患者輸送にチャーターする事で用途は広い。感染の危険がありますが、例えば運転席と乗降口を隔壁等で物理隔離し、軽症患者は非常口を乗降用として利用する事で物理接触や同じ空間に乗車する事を避ける事が出来ます、観光バスは多数、現状の全く動かさない状況は余りに勿体ない。

 醸造業。酒類需要低下で経営悪化、という現状です。しかし、朝鮮戦争時代に醸造業メーカーが国連軍用のペニシリン増産に寄与したように醸造施設では様々な薬品や消毒液を量産し得ます。現行法では酒税法を特措法で切替える必要がありますが、醸造施設を特例法制定で消毒アルコール量産にて、不足する消毒用アルコールの一大供給拠点と成り得ます。

 自動車産業。現状は自動車製造網の部品停滞と需要低下で経営悪化している。しかしエンジン用のターボチャージャーやコンプレッサー技術は人工呼吸器の製造と共通しており、実際自動車メーカーの得意分野といえる、こうした応急人工呼吸器を製造し全て政府が買い上げる事で、日本の得意分野である自動車産業は再び、救国の一大生産拠点へ返り咲く。

 精密機器工業。医療機器メーカーが飽和状態となっていますが、PCR検査装置に体外人工肺や人工呼吸器製造、医療機器メーカー以外でも増産が必要です、12か月間は全て製品を政府が買い上げるという特措法を制定し、製造力を動員すべきだ。問題は海外製部品の枯渇ですが、代用部品を3Dプリンター製部品で代用し量産できれば、特需となりえます。

 アパレル系。大規模商業施設閉鎖等で販路が途絶えていますが、防護服にマスク、製造力があります。出来れば化学素材を用いた簡易陽圧服等を生産する事で、外出自粛要請下でも安全に買い物に出かける事が可能です。そもそも簡易防護服やマスク等を生産できるアパレル業界は、本来はコロナとの戦いの主戦場に尤も装備を供給できる主役の筈なのです。

 航空会社。国内線国際線ともに利用者激減で事実上倒産危機にある。しかし、上記の通り国内で生産できる様々な製品があり、航空貨物の需要は産業冴えまわすならば政府チャーター機としてコロナウィルスとの戦いで物凄く大きな戦力と成り得ます。国際線も例えば大量生産した医療機器を航空貨物で世界に供給する需要で、極めて需要な地位を有します。

 陸運業。日本経済と社会を回す動脈であり静脈であり毛細血管は、そもそも輸送需要増大で人員不足、労力に見合うボーナスを協力金として公費で補填し、派遣切りや内定取り消しで潤沢否労働力を一挙に集約し拡充を図るべきでしょう。問題は相次ぐ効率化要求により低賃金化した事です、しかし、今こそ労力に見合った料金体系に再編する好機でもある。

 通信サービス。4G通信網の強化によりテレワークと遠隔教育の増強を今すぐにでも強化すべきです。問題は関連機器の不足であり、その為に国内通信機器メーカーにも一大増産を呼び掛ける、森内閣時代のIT革命以来の通信網整備が求められると共に、上記の需要と供給を調整する部品サプライ網のデジタル化等、正に今こそ大増員求められる業種でしょう。

 公務員。特に保健所を中心に人員不足がPCR検査体制の遅れや入院患者受け入れ調整の遅滞を招いています。思い切って増員すべきです、OJT方式で臨時採用から始めても良い、勿論専門教育が必要な検査技師増員は時間がない故に難しいですが、例えば補助にあたる事務職を即座にも増員する事で、現場の崩壊を防ぐ要諦となり、増員は喫緊の課題です。

 戦時の特需が兵器であり全て国が兵器を買い上げる事で特需景気は醸成されるのです、医療機器は様々な規格が在り、製品も多種多様であると共に、人との戦いは国の軍隊が展開しますがコロナウィルスとの戦いは民間の病院が主役、故に医療機器や衛生用品、一部薬品やマスクを買い上げる以外は国が買い上げる制度がありません、ここで財政出動すべき。

 108兆円の財政出動、ならば安易に休業を保障して引きこもり助成金とするのではなく、製造できる医療機器や衛生用品をオールジャパンで量産し、国が買い上げて病院に貸与すればよい、有償供与でもよい。余ったらどうするか、海外へ無償でも有償でも提供すればよい。第一波を凌いだ日本、ここで特需を醸成、結果的に景気活性化を目指すべきでしょう。

 世界の現状を視ますと、懸念すべき状況が続いています。死者9万3000名を越えた、AFP通信が10日0536時パリ発の記事に報じました、10日0400時時点のAFP集計数値です。アメリカでの死者は1973名増えて1万4695名、AFP通信9日1027時ワシントンDC発。ジョンズホプキンス大学の集計を報じました。峠越えの見解もありますが予断を許さぬ。

 イタリアは危機を脱したか、全土での都市封鎖に踏切った3月9日の時点で死者数は460名となっていましたが、既に死者数は1万7000名を越え、しかし死者数が一日700名規模まで下がり漸く峠を越したと評価される一方、GDPの三分の一を占める北部工業地帯の都市封鎖が続き、取り返しのつかない経済危機の懸念から封鎖解除を求める声が強まります。

 第三次世界大戦への懸念さえ生じている。ロイター通信は9日にWHOのテドロス事務局長が台湾外交当局から誹謗中傷を受けたとし、中国当局が台湾当局を批判する新たな動きを10日1636時に報じました。中国はこの混乱に乗じ西沙諸島においてヴェトナム船への衝突行為を行ている、ロイター通信7日0944時ワシントンDC発として報じられました。

 中国の南沙諸島や西沙諸島での動静は、見様によっては太平洋を遊弋中であったアメリカ海軍原子力空母エイブラハムリンカーンのコロナウィルス蔓延によるグアム緊急入港等、太平洋正面でのアメリカ軍即応体制低下に乗じての緊張増大という懸念でもあり、またNHK報道に在るように九州沖縄周辺の中国船動向にも領海侵犯等緊張の徴候があります。

 北朝鮮の動静について。CNNは9日1745時報道にて、感染者ゼロを主張するが709回の検査を経て509名が隔離されているというWHO現地当局者の発言を報じ、また在韓米軍エイブラムス司令官の発言として2月から3月にかけ北朝鮮軍の活動が止まり中朝国境の国境管理へ移動したと報じました。朝鮮人民軍はその八割が南北国境付近に展開している。

 朝鮮人民軍の中朝国境への移動は、警戒解除と共に人民軍100万の再度の南北国境地帯への復帰が伴うのですが、膨大な地上戦力の移動という部分で緊張を誘発するものと成り得ます。コロナウィルスの問題ではないのですが、1919年スペイン風邪流行以来の巨大な世界的流行禍パンデミー故に巨大な社会不安が醸成されています。一日も早い鎮静化を望むのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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