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巨大災害,次の有事への備え 08:南海トラフ地震、四国京阪神中京東海の被災地をどう支えるか

2016-09-15 21:15:06 | 防災・災害派遣
■南海トラフの広大すぎる範囲
 四国京阪神中京東海の被災地をどう支えるか、初動72時間を支える一大輸送任務について。

 我が国では大規模災害に際しても秩序が維持され略奪行為が発生しない事は、東日本大震災、新潟中越地震、阪神大震災で世界に大きく報じられ先日の熊本地震に際しても秩序は守られました。窃盗事件や震災に乗じた空き巣事案などは確かに発生している事は警察庁資料等からも読み取れるため、民心安定への省庁間協力や自治体と住民の協力体制も構築されるのですが、暴動のような状況は発生しません。

 しかし、なぜ日本では暴動や略奪が発生せず、しかし海外の、米本土地域や南米、アフリカやアジア地域での災害現場において発生する蚊ですが、必要な物資が被災者全体に対して不足している、というものも一つの要因でしょう。こうした根拠あっての民心安定ですが今後の巨大地震では現時点で想定外の被害があったばあいに維持し得るのでしょうか。巨大災害、この中でも想定される南海トラフ連動地震が最大規模で発生した場合もこの秩序はどこまで守られるのでしょうか。

 四国京阪神中京東海地方、被災者の総数が文字通り桁違いの規模となります。第一に東名高速道路と東海道本線及び東海道新幹線が静岡県内において津波被害が直撃、津波は名古屋駅付近や大阪駅付近まで到達するものとの想定ですので、津波被害を受ける都市は、政令指定都市だけで静岡市、浜松市、名古屋市、大阪市、神戸市、此処には多くの需要港湾が含まれますので海上輸送にも影響が生じ、特定重要港湾でも太平洋側に面した港湾施設は復旧まで艀などを用いて応急的に使用するほか、荷役施設を使用する事が出来ません。

 大規模地震に際しては主要高速道路を災害復旧車両専用道として指定する事が現行法で明示されていますが、その道路そのものが普通となった場合、迅速に復旧するまで通行不能です。東日本大震災では非常措置として、通常の手続きを無視した協力企業の支援により迅速に復旧しましたが、この手続きに競争入札を実施しなかった為に随意契約として不正が指摘され検挙者が出ています。

 こうした反省から非常事態でも熊本地震では適正に実施され、結果的に最も納税者に負担が掛からない道路復旧が為されたものの、非常事態でも時間をかけ道路復旧したため、被災地の納税者は復旧しない道路のため、物資輸送の遅滞により被害を被りました、しかし明確な反省すべき要素がありながら、現在もこの当たりの非常条項を明示していません。

 物流の最小限度の維持を明確に達成する事により民心安定が維持されます。民心安定が維持され、治安が確保されてこその復旧基盤が構築され、この復旧の順路に沿って被災地は復興への端緒につくわけです。この為には、自衛隊の輸送力では被災者の数が多すぎどうにもなりません、補完的に活用した上で、平時の手続きを越えて、道路復旧と鉄道港湾補修、巨大な日本の民間物流機構を回復させる必要がある。

 例えば武力攻撃事態法に基づく指定協力企業をそのまま徴用のかたちで有償動員するならば、少なくともこの種の競争入札による遅滞という問題は生じないでしょう、がこうした施策は現在まだ行われていません。一方、東日本大震災では東北本線及び常磐本線が津波被害と原子力災害により不通となった為、日本海縦貫線へ迂回する鉄道貨物輸送が展開されました、この方式ですが南海トラフ巨大地震にはどの程度適用されるのでしょうか。

 実際のところ非常に厳しいのではないか、と考えます。これは日本海縦貫線が北陸新幹線開通により第三セクター化されJRから経営分離してしまったためです。有事の際には通行したいところですが、熊本地震において同じく第三セクター化されていた旧鹿児島本線を直通した鉄道貨物輸送が実施されませんでした。

 結局延々と九州新幹線復旧まで人員輸送を断念し、鹿児島本線JR部分で最も被害の大きかった熊本県内路線が復旧するまでの期間は貨物輸送が停滞しました。南海トラフ巨大地震でも必要な法的措置が為されない場合、為されても政府が運行基盤の補助を行わない限り、被災地、京阪神中京東海地区全域が物資不足に悩まされるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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