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【京都幕間旅情】光明寺,法然さん忘れる事無き浄土門根元地は浄土宗の専修念仏まで比叡山を降りてから20年

2023-09-27 20:01:11 | 写真
■法然さんの浄土門根元地
 新緑も厳しい夏の熱さを超えれば少々紅葉の気配を帯びてくるのは木々の疲れというところでしょうか。

 光明寺は長岡京市の、実は京都市内からは阪急特急が京都市内の桂市内からもう一つ先に行きましたやや洛中からは距離を隔てた一角に御堂を広めています。その歴史的背景には天台宗の国家宗教としての仏教に限界を感じ比叡山を降りた法然さんの道地があった。

 本尊は法然上人像、法然さんの張子の御影を御影堂に奉じています。法然さんは長承2年から建暦2年、西暦では1133年から1175年の時代を歩んだ、法然さん自身は一つも寺を開いたことはないのですが専修念仏という、日本の哲学に大きな変革を加えたひと。

 無用庵隠居修行、時代劇“無用庵隠居修行”の撮影舞台を巡るという、今風の理由で敢えて長岡京市まで阪急電車で臨んだわけですが、実のところ一つの関心事、現代における信仰と宗教と社会の位置づけというものを、結論はどうでもいい、考える機会が欲しかった。

 専修念仏というのは、要するに仏を熱心に祈るだけで救われる、という。もう十年以上前の話ですが、法学を学ぶものの大学は仏教系であった親友が仏教について、真面目にやるとこれから社会人になる人間には社会生活をすべて捨てさせる教義、といっていました。

 天台宗にしても真言宗にしても、教義通りに成仏できる生活を送ろうとすると、全員が僧侶になって妻帯を断つほかなく、それでは国家というものは成り立たないし社会も経済も成り立たない、全員が僧侶になるとそもそも寄進してくれる人もいなくなるから、と。

 法然さんの専修念仏は、祈るだけで救われるという概念であり、要するに大衆全員が救われる道を示して、此処でようやく仏教は国家宗教として天から天守をのみ見つめるだけではなく、大衆と向き合ったことを示しています。だた、この結論に至るのも簡単ではない。

 延暦寺と醍醐寺を経て、やはり南都六宗の視座も必要という事で法相宗、三論宗、華厳宗、この学僧たちと談義と法話を経て、しかしその最中に東大寺大勧進職という地位を進められるも辞退し、最後に大原問答という、日本哲学史に記される大会合を経ている。

 顕真、明遍、証真、貞慶、智海、重源、大原問答には当時の日本を代表する天台宗や真言宗は法相宗の高僧が文治2年こと西暦1186年、大原勝林院において法然と議論し、大衆は救われる有り方や仏教と民衆の向き合い方を議論、専修念仏という方向性が導かれた。

 浄土宗の専修念仏まで、比叡山を降りてから20年という研鑽と研究を経ていますが、その最初、比叡山を降り仏教教義の研究へ奈良へ向かう途上に立ち寄った当地での一晩の宿を借りました高橋茂右衛門宅において信仰を熱く語った事が現在の寺院へとつながる。

 浄土門根元地、寺院はいまこう呼ばれていまして、それは法然さんが20年を経て浄土宗を開いた際、あの始まりの一晩というべき高橋茂右衛門宅での茂右衛門夫妻との語らいを記憶していて、念仏を唱える重要性を広く問うた最初の地がここ、という所縁ゆえ。

 法然さんにとり、もちろん最初の庵を開いた知恩院の地吉水も、比叡山を降りて最初に腰かけた金戒光明寺も、すべてが思い出の地であり所縁と由緒を結んだ地であるのでしょうけれども、当地は特別であったと思われ、法然さんは没後ここで荼毘に付されました。

 法然上人の遺廟として。ただその歴史もへいたんであったわけではなく、そもそも荼毘に付すまえには法然さんはそのまま高野山の空海さんのように旅立たれたのちもご本人は安置されていたのですが、嘉禄の法難という嘉禄3年こと西暦1227年の出来事があった。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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