権威ある海事専門誌、世界の艦船2005.11の今月号特集は、海上自衛隊の次世代護衛艦に関するものであった。
1982年より護衛艦隊の主力艦として12隻が建造された“はつゆき”型(4000t)は、ガスタービン推進・対水上対空対潜誘導弾装備・対潜ヘリコプター常備という現行汎用護衛艦の基礎を固めた艦艇であるが、同時に一番艦が間もなく就役24年を迎えるに当たりいよいよ代艦の必要性が痛感される時期となってきた。
はつゆき型の拡大改良型である、あさぎり型8隻の建造以降、ジェーン年鑑でいうところのミニイージスといわれる、むらさめ型(6200t)9隻、たかなみ型(6300t)5隻の建造に移行しているが、シースパローSAMの後継たる、完全撃ち放し式のESSMが運用可能な艦艇として、従来のDDGの一部を肩代わりする程度の性能を有し、加えて、むらさめ型も順次ESSMの換装工事を実施中である。
しかし、次期護衛艦は、更に一歩進み、イージス艦の任務一部をも代替しうるものとされている。
ミサイル防衛にイージス艦が中核的任務を担う為、今後はミサイル防衛に主体的に携わるイージス艦の防衛も更に重視されると考えられる中で、艦隊防空も分担する必要が生じ、艦隊防衛に各艦艇が参加する、こうした構想が成立したものと考えられる。
こうした構想は、1995年より試験艦あすか、によって運用実験されている次期射撃指揮装置FCS-3の艦艇搭載によって充分実現可能である。FCS-3とは、ミニイージスといわれる多目標同時対処能力を有する画期的装置で、現行の、たかなみ型も当初はFCS-3の搭載を想定しており、次期護衛艦にFCS-3の改良型を搭載し、艦隊防衛に当てる事は充分現実的といえよう。
世界の艦船誌では、次期護衛艦をイージス艦と従来型汎用護衛艦の中間を担うものと定義しているが、新戦車・新哨戒機・次期戦闘機・次期輸送機の調達開始時期と重なる次期護衛艦は、これまでのように大型化は許されないという視点には共感がもてるが、新防衛大綱の47隻水準を維持しつつ、対テロ派遣や島嶼部防衛というように多様化する任務に如何にして対応するかは、未知数であり、護衛隊群編成廃止より始まる護衛艦隊改革など、現行の様々な改編案と如何に適合させるかについて、興味は尽きないといえよう。
HARUNA



ミサイル防衛にイージス艦が中核的任務を担う為、今後はミサイル防衛に主体的に携わるイージス艦の防衛も更に重視されると考えられる中で、艦隊防空も分担する必要が生じ、艦隊防衛に各艦艇が参加する、こうした構想が成立したものと考えられる。


HARUNA
当初、FCS-3は16DDHではなく、たかなみ型に搭載される予定だったのが、開発遅延と費用の増大から断念され、一時は途中でFCSを換装するというような話もあったようですが、それも今では聞こえなくなりました。
そして、10年も運用試験を行って16DDHに搭載されるFCS-3改の予想図は、何と、ESSMのイルミネータが別になっているではないか・・・。
さすがにこれには呆れました。
空自のAAM-4もAIM-120とは違い、別途専用の送信装置を追加しないと使用できないというのと全く同じではないか。(AIM-120はFCSのレーダーが兼務する)
どうせFCS-3「改」なのだから、フェーズド・アレイ・レーダーを少し大型化して、ESSMなどのSAMのイルミネータ機能を付加しても良かったはずなのに。
大き過ぎて従来の発射管を使用できない97式(短)魚雷といい、いまだに一部の護衛艦で使用されている互換性の無い旧式のシースパロー(RIM-7E/F)といい、海自の武器体系は分からないところだらけです。