■大統領発言,国際公序根幹破綻
アメリカ大統領の言葉は重い、トランプ前大統領は幾分軽くしましたがバイデン大統領の放言と云える発言と失策の影響は2030年代まで響く。

アフガニスタンからのアメリカ撤退開始による三日間でのアフガニスタン政府崩壊、アメリカのバイデン大統領はこの21世紀一杯に渡る大きな失策と云わざるを得ず、表面的な失策以上に数十年単位でアメリカの世界における地位を危機的水準に後退させたのみならず、ブッシュ大統領からオバマ大統領、トランプ大統領が築いた大切なものを打ち崩した。

陸上自衛隊をアフガニスタンへ派遣しなくて正解でした、第一次安倍政権時代にアメリカはアフガニスタンへ陸上自衛隊のCH-47輸送ヘリコプター部隊派遣を要請し続けていました、当時海上自衛隊がアラビア海において対テロ海上阻止行動給油支援を実施していましたが、陸上自衛隊も出してほしいという発言、当時最大野党である民主党でも支持の声が。

日本ではアフガニスタンのガニ政権がアメリカ撤退前に崩壊してしまった報道よりも、新型コロナウィルスCOVID-19により数万の感染者と数十の死者が出ている報道が優先されています、これは日本がアフガニスタンにおいて自衛隊を派遣せず、結果に国策としてのアフガニスタン支援の失敗が痛手と成らなかった為でしょう、しかし欧州はそうはいかぬ。

バグラム空軍基地だけでも維持しておけば、ガニ政権は崩壊しなかった可能性がある、いや、先週金曜日から日曜日に掛けて緊急展開した4000名規模の兵力を、元々引き抜かずに駐留させておけばタリバーンの攻勢さえ抑え込めた、アフガン撤退の公約を守ったと主張するバイデン大統領、恰も脱原発で当選した政治家が就任翌日に原発を爆破する様なもの。

駐留米軍規模はトランプ政権終盤の2020年12月時点で4500名規模でした、言い換えれば4500名の米軍がアフガニスタン軍を支える事でタリバーンの攻勢を充分抑えられていたのですね、アフガニスタン国軍から考えればトランプ政権時代では、苦戦しても直ぐにアメリカ陸軍のAH-64Eアパッチガーディアンが駆け付けた、それが無くなったわけです。

大統領とは気楽な商売だ、と思わずにいられないのは、バイデン大統領は先週末に入り急遽4000名の米軍を緊急展開させカブール国際空港の防備を固めています、更に5000名規模の部隊増派も示唆しています、そして19日のABCニュースインタビューで、アフガニスタン国内にアメリカ市民が残る為、米軍撤退後もアフガンに米軍は残ると発言しました。

中国にアメリカは勝てないのかは未知数ですが、習近平主席にバイデン大統領は勝てないことが明白となりました、それは米中対立が二国間の国力の対立ではなく、国と社会の理念が国際公序として世界に受け入れられるかという、軍事衝突以前と以後にある国力以前の対立において、基盤となるものをバイデン大統領は見事に打ち崩した為に他なりません。

大統領発言、バイデン大統領は、アフガニスタン撤退を正当化する為に、アメリカをテロから守るための戦いは終了した、として自己正当化しました。しかし、これでは民主主義と公正を国際公序とする理念の為に欧州NATOの、そして豪州はじめ同盟国、なによりアメリカ兵の盾となり散った数万のアフガニスタン国軍兵士の犠牲を、唾棄する発言となったわけです。

アメリカの為の戦争であったと強調するならば、最初からアフガニスタン国軍兵士はもちろん、欧州NATO諸国と有志連合組まず行えばよかった、アフガニスタン派遣は治安作戦へ膨大な歩兵装備の更新がNATO各国装備体系を軽装甲車や歩兵主体のものへ転換を強い、これが逆にクリミア危機後のロシアとの対立を前にNATOの戦車等重戦力不足に響いた。

NATO各国は“アメリカをテロから防衛するアメリカの為のアフガン作戦”へISAF国際治安支援部隊を派遣、これにより例えばイギリスなどは派遣開始当時のランドローバーディフェンダー軽装甲型などでは全く防御力が不足し、数百輌単位でMRAP耐爆車両を取得し、ほぼ数年おきに歩兵防護装備を一新、これにより歩兵装備等は大きく強靭化しました。

しかし、2020年にイギリス議会下院で大問題となったのは、現在イギリスに在る機甲師団は一つのみ、その機甲師団も装備がロシア軍戦車師団と比較し古く数も少ない状況となっています。歩兵装備は例えば日本の自衛隊と比較し遥かに近代的で洗練されましたが、歩兵だけでは戦車の攻撃に耐えられませんし、機甲部隊機動戦はMRAPでは展開できません。

大統領発言、アメリカの都合に20年間振り回された、本来は不安定の弧という圧政と不安定の地域がテロリズムの形で世界へ危険を及ぼす事をステイクホルダーとして各国有志が有志連合を組む前提でしたが、バイデン大統領の言葉は見事に、欧州のアジアの、そしてアフガニスタン旧政権下の人々を、アメリカの都合に20年間振り回された、一言で撃ち捨てたわけです。

アメリカの下に団結することはできるのか、自由で公正な、との看板をいきなり破り捨てたバイデン大統領の暴挙ともいえる失策は、トランプ大統領時代からアメリカだけではなく各国に相応の負担を、という姿勢から、突如として、今までの世界のアフガニスタンでの負担と犠牲はアメリカの一国主義的戦争の為だったという。アメリカについていけるか。

台湾の蔡英文総統は今朝、自国は自国で守るしかない、という談話を発表しました。中国は台湾近海において18日より突然軍事演習の開始を発表し、これは無関係とは考えるべきではありません、そしてアメリカがアフガニスタンを見捨てた経緯が、1940年代にアメリカのトルーマン政権が中華民国の蒋介石政権を見限った際とあまりにも酷似するのです。

太平洋と欧州への影響、もちろん今日明日に表面化する訳ではありません、しかし今回の撤退は目的の一つに中国のインド太平洋進出を前に国防資源を集約する為と、予てより主張しています。しかし、中国が更に海洋進出を進める2030年代に向け、アメリカが自由と公正を旗印に再度有志連合を呼びかけた際、今までの様に世界が応じられるかは、疑問だ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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アメリカ大統領の言葉は重い、トランプ前大統領は幾分軽くしましたがバイデン大統領の放言と云える発言と失策の影響は2030年代まで響く。

アフガニスタンからのアメリカ撤退開始による三日間でのアフガニスタン政府崩壊、アメリカのバイデン大統領はこの21世紀一杯に渡る大きな失策と云わざるを得ず、表面的な失策以上に数十年単位でアメリカの世界における地位を危機的水準に後退させたのみならず、ブッシュ大統領からオバマ大統領、トランプ大統領が築いた大切なものを打ち崩した。

陸上自衛隊をアフガニスタンへ派遣しなくて正解でした、第一次安倍政権時代にアメリカはアフガニスタンへ陸上自衛隊のCH-47輸送ヘリコプター部隊派遣を要請し続けていました、当時海上自衛隊がアラビア海において対テロ海上阻止行動給油支援を実施していましたが、陸上自衛隊も出してほしいという発言、当時最大野党である民主党でも支持の声が。

日本ではアフガニスタンのガニ政権がアメリカ撤退前に崩壊してしまった報道よりも、新型コロナウィルスCOVID-19により数万の感染者と数十の死者が出ている報道が優先されています、これは日本がアフガニスタンにおいて自衛隊を派遣せず、結果に国策としてのアフガニスタン支援の失敗が痛手と成らなかった為でしょう、しかし欧州はそうはいかぬ。

バグラム空軍基地だけでも維持しておけば、ガニ政権は崩壊しなかった可能性がある、いや、先週金曜日から日曜日に掛けて緊急展開した4000名規模の兵力を、元々引き抜かずに駐留させておけばタリバーンの攻勢さえ抑え込めた、アフガン撤退の公約を守ったと主張するバイデン大統領、恰も脱原発で当選した政治家が就任翌日に原発を爆破する様なもの。

駐留米軍規模はトランプ政権終盤の2020年12月時点で4500名規模でした、言い換えれば4500名の米軍がアフガニスタン軍を支える事でタリバーンの攻勢を充分抑えられていたのですね、アフガニスタン国軍から考えればトランプ政権時代では、苦戦しても直ぐにアメリカ陸軍のAH-64Eアパッチガーディアンが駆け付けた、それが無くなったわけです。

大統領とは気楽な商売だ、と思わずにいられないのは、バイデン大統領は先週末に入り急遽4000名の米軍を緊急展開させカブール国際空港の防備を固めています、更に5000名規模の部隊増派も示唆しています、そして19日のABCニュースインタビューで、アフガニスタン国内にアメリカ市民が残る為、米軍撤退後もアフガンに米軍は残ると発言しました。

中国にアメリカは勝てないのかは未知数ですが、習近平主席にバイデン大統領は勝てないことが明白となりました、それは米中対立が二国間の国力の対立ではなく、国と社会の理念が国際公序として世界に受け入れられるかという、軍事衝突以前と以後にある国力以前の対立において、基盤となるものをバイデン大統領は見事に打ち崩した為に他なりません。

大統領発言、バイデン大統領は、アフガニスタン撤退を正当化する為に、アメリカをテロから守るための戦いは終了した、として自己正当化しました。しかし、これでは民主主義と公正を国際公序とする理念の為に欧州NATOの、そして豪州はじめ同盟国、なによりアメリカ兵の盾となり散った数万のアフガニスタン国軍兵士の犠牲を、唾棄する発言となったわけです。

アメリカの為の戦争であったと強調するならば、最初からアフガニスタン国軍兵士はもちろん、欧州NATO諸国と有志連合組まず行えばよかった、アフガニスタン派遣は治安作戦へ膨大な歩兵装備の更新がNATO各国装備体系を軽装甲車や歩兵主体のものへ転換を強い、これが逆にクリミア危機後のロシアとの対立を前にNATOの戦車等重戦力不足に響いた。

NATO各国は“アメリカをテロから防衛するアメリカの為のアフガン作戦”へISAF国際治安支援部隊を派遣、これにより例えばイギリスなどは派遣開始当時のランドローバーディフェンダー軽装甲型などでは全く防御力が不足し、数百輌単位でMRAP耐爆車両を取得し、ほぼ数年おきに歩兵防護装備を一新、これにより歩兵装備等は大きく強靭化しました。

しかし、2020年にイギリス議会下院で大問題となったのは、現在イギリスに在る機甲師団は一つのみ、その機甲師団も装備がロシア軍戦車師団と比較し古く数も少ない状況となっています。歩兵装備は例えば日本の自衛隊と比較し遥かに近代的で洗練されましたが、歩兵だけでは戦車の攻撃に耐えられませんし、機甲部隊機動戦はMRAPでは展開できません。

大統領発言、アメリカの都合に20年間振り回された、本来は不安定の弧という圧政と不安定の地域がテロリズムの形で世界へ危険を及ぼす事をステイクホルダーとして各国有志が有志連合を組む前提でしたが、バイデン大統領の言葉は見事に、欧州のアジアの、そしてアフガニスタン旧政権下の人々を、アメリカの都合に20年間振り回された、一言で撃ち捨てたわけです。

アメリカの下に団結することはできるのか、自由で公正な、との看板をいきなり破り捨てたバイデン大統領の暴挙ともいえる失策は、トランプ大統領時代からアメリカだけではなく各国に相応の負担を、という姿勢から、突如として、今までの世界のアフガニスタンでの負担と犠牲はアメリカの一国主義的戦争の為だったという。アメリカについていけるか。

台湾の蔡英文総統は今朝、自国は自国で守るしかない、という談話を発表しました。中国は台湾近海において18日より突然軍事演習の開始を発表し、これは無関係とは考えるべきではありません、そしてアメリカがアフガニスタンを見捨てた経緯が、1940年代にアメリカのトルーマン政権が中華民国の蒋介石政権を見限った際とあまりにも酷似するのです。

太平洋と欧州への影響、もちろん今日明日に表面化する訳ではありません、しかし今回の撤退は目的の一つに中国のインド太平洋進出を前に国防資源を集約する為と、予てより主張しています。しかし、中国が更に海洋進出を進める2030年代に向け、アメリカが自由と公正を旗印に再度有志連合を呼びかけた際、今までの様に世界が応じられるかは、疑問だ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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正直、詳しい背景を知っているわけではありません。
しかし、今回の崩壊を見ていると、アフガン政府が腐敗し、アフガン政府軍も腐敗し、自由と民主主義の気風は育たず、汚職が蔓延り、国民が「アフガニスタン国家」に何の忠誠心も持っていないことが、ひしひしと伝わってきました。
西欧諸国があれだけの陸上兵力を投入し、多くの戦死者を生み、「時間を稼いでいた」裏で、民政支援は完全に失敗し、結局、まともな国家は立ち上がらなかったのだと感じました。
アメリカの「軍事作戦」としてはほぼ成功していたと思います。何度も成功していたと思います。単に、「占領政策」として大失敗だったわけです。
軍事ではなく、軍政と民政の失敗です。
外国の軍事力は国家を育めません。その国の国家体制とその国の軍隊を育成できないのであれば、軍事に残された選択肢は「撤退」の一択ではないでしょうか?
アメリカとしての責任はあるでしょう。でもそれは、アメリカには不可能だったのだと思います。過去、いかなる国も、実は成功したことがないのだと思います。
台湾は全く別です。今回、地元住民の支持のない軍事作戦は、長期的には「軍政」の破綻を生じて、必ず失敗することが、再び示されたわけです。中国に台湾を占領できたとしても、維持できるのか?という切実な問題が明らかになったと思います。むしろ、中国も台湾の武力占領を諦めるべきだと感じたのではないでしょうか?
台湾については第2回で扱う予定でして、少し
アフガンと台湾の連関ですが、蔡英文総統の発言もありましたが、それだけではなく歴史的関係を彷彿させる故の心配があるのです
ご指摘の"政府が腐敗し、アフガン政府軍も腐敗し、自由と民主主義の気風は育たず、汚職が蔓延り、国民が「アフガニスタン国家」に何の忠誠心も持っていない"という部分
ジョセフスティルウェル中国ビルマインド戦域米陸軍司令官が中華民国の蒋介石政権を見限るようルーズベルト大統領に助言した書簡と多くが重なるのです、勿論、いまの台湾は民主化され汚職は取り締まられ民国政府への支持が忠誠の形に達していますが、中華民国は過去アメリカに見捨てられた、という歴史もまた、動かないのですよね
台湾にあるのは台湾共和国ではなく中華民国、ここが、過去の大陳島撤退作戦で打ち切られた支援、見捨てられたという国としての過去と重なることが、一つの問題と、考えます
私としては、中国の件も、「民衆の支持」という点において、今回の件と同じだと思います。
1950年ごろだとおもいますが、中華民国は中国国民の支持を失っていた。それを支援しても本土が共産党に征服されるのを防ぐことは無理だったわけです。(人口規模を考えれば、中国本土の戦いに、外国が介入することの難しさをは自明かと)。
中華民国政府は当初は台湾でも支持がなかったわけですが、海峡を隔てていたので、アメリカは見捨てずに70年以上、サポートしてきました。
その間に、台湾という国の形ができてきました。特にここ20-30年で変わり、今やそこにあるのは近代的な民主主義国家としての「台湾国家」であり、大陸からやってきた「中華民国」政府ではありません。
民族の統一とか中国側の主張も一定の正当性はありますが、それはタリバンのイスラムの正義とか、アフガン国家のアフガンの自立と同じで、いくらでも対立概念の存在しうる正当性です。
実質で言えば、そこに台湾国家があり、自由民主主義を是とする国民が数百万人いるわけです。これはアフガンの例とは全く異なるわけで、なかなか覆しにくいかと。。。
というコメントでした。
今の中国政府が台湾の民衆の支持を気にして
行動するとは思えません
少なくとも「台湾の民衆の支持がないと軍政が失敗するから」みたいな理由で
武力行使や恫喝を躊躇する可能性は低いでしょう