◆邦人救出は?C-747ならば他の整備支援も
航空自衛隊は現在二機の政府専用機B-747を運用しています。しかし、この二機を早期退役させる可能性が浮上しているとのことです。まだ撮った事ないの数少ない自衛隊機がB-747なのですが本日はKC-767の写真などとともに掲載。
晩酌中に政府専用機が大変、という話を聞き急遽記事の内容を変更しました。政府専用機を引退させたとしても現在の財政難であればチャーター機で代替できるんでは、という声もあるようなのですけれども、しかし有事の際の輸送機として邦人救出や国交のない国に対する乗り入れを考えると、チャーター機というのは可能なのでしょうか。半官半民の日本航空も経営再建で期待できなくなっているのですし、チャーター機に頼るというのならば半官半民の航空会社を設立して、邦人救出から国際平和維持活動に関する輸送まで行う体制を構築する必要があると思うのですがどうでしょうか。現在の政府専用機は、日本航空が運用における支援を行っているとのことで、燃費が悪い、とされるボーイング747、これを四月までに引退させるとの構想、それならば日本航空から支援を受けられなくなるので廃止しようという流れだそうです。747、着陸料などを考えれば燃費を含めた運用コストでは決して高い機体では無いと思えまして、つか、ヨーロッパからの帰路にエアバスA340になってたときのガッカリを考えると747で無ければとも思うのですが、日本航空が退役させるので日本政府も退役させる可能性が出ているそうです、これ去年8月に記事で掲載していますが、ね。http://blog.goo.ne.jp/harunakurama/d/20100816
退役させる理由は千歳基地に配備しているB-747が、日本航空の747の整備部門による整備支援を受けているのですが、日本航空が経費節減のために四月までに747を全廃する方針を出している事で、整備支援を受けられなくなる可能性があるとのこと。航空自衛隊が運用しているという事で、首相や皇族の要人輸送へ活躍しているのですが、B-747,ジャンボジェットですから邦人救出における最大限の輸送能力を有する機体としても期待されています。ううむ、全日空に業務委託するか、アメリカの民間軍事会社に整備支援を委託するなど検討するべきとはと考えます。自衛隊にB-747が導入された背景には、日本政府の貿易黒字が大きくなり過ぎて総理府が政府専用機として1992年に2機のボーイング747-400を導入したところまで遡るのですけれども、要人輸送以外に邦人救出にも活躍できるとのことで先日の邦人輸送訓練でも運用されました。とにかくこの種の大型機は日本にとって必要なのですから、維持する方策を考えるべきでしょう。XC-2の数が揃えば邦人救出はどうにかなるのでは、という声もあるのですが、現在の政府を見ていますと明らかに軍用輸送機というような形状の輸送機では派遣しにくい、違和感を感じる事もあるかもしれません。実際、政府専用機の代わりにXC-2で外遊行きますか?ととわれれば、難色を示す議員が多いでしょう。
チャーター機では、不可能な面で、地対空ミサイルなどの脅威のある地域への輸送が難しい、という点があります。現時点で政府専用機には、ミサイル警報装置や熱源攪乱装置等のミサイル自衛手段は付与されていないのですが、後付けでこの種の装備を取り付けた機体としては航空自衛隊のC-130H輸送機や海上自衛隊のSH-60J哨戒ヘリコプター、陸上自衛隊のCH-47JA輸送ヘリコプター等があります、政府専用機であれば、現時点ではこの種の脅威に対する対抗手段を有していないのですが必要とあらば後付けすることが出来ます。しかし、チャーター機となりますと、まずミサイル脅威のある地域に乗り入れてくれる航空会社は限られてしまうでしょうし、後付けできると行っても緊急時にすぐに取り付けられるようなものでもありません。即応性の面からも先日のチュニジア動乱の際にはチャーター機のチャーターが検討されていますが、チャーターする前に状況が終息したから何とかなったようなものの、どうにもならなかった場合ではチャーターが間に合わなかった可能性もありました。国家動員法のような、有事の際に日本国内の旅客機を政府用として運用できる法律でも制定されるのならば、まあ、納得は出来ないでもないのですが。まあ、周辺事態法改正や日韓防衛協力や物品相互供与協定打診など自民党でさえ憲法問題に遠慮して手を出さなかった事を普通にやろうとする現与党ですから、支持率維持と政権維持ならば何でもしそうな危惧もあるのですが、それは別の話。
チャーター機、難色を示しているのですが実際問題として過去には問題が発生しているのです。イランイラク戦争では有名なのですがイランに取り残された邦人救出に日本航空の組合が危険という事で運行を拒否し、結局、日本との友好関係に起因したトルコ航空がトルコ政府の意向で邦人救出を行ってくれました。あの日の恩は簡単に返せる事ではなく、日本はその後、トルコでの地震災害に対して海上自衛隊の救援艦隊を派遣しています。しかし、次に似たような事態があった際に、果たしてどこか日本の為に命を掛けてくれる国はあるのでしょうか、またその確証があるのでしょうか。そしてルワンダPKOにおける装甲車輸送の為のチャーター機の運行では運行会社の移行により採った経由地のロシアにおいて書類不備を理由とした足止めを受けています。チャーター機を利用するのは平時でこそ可能なのですが、限界があり、象徴的な事案でもありました。のわが国が世界の覇権を握っているのならばチャーター機の運行は意のままでしょうけれども、現時点ではそういう事は望めません。善意に頼るのではなく、日本独自でせめて自国民は救出できる体制を確保する必要はあると考えます。むしろ、いままで恩を受けた国々の国民も自国の航空機で救出するくらいの気概が無ければ、国際社会での信用は高められません。
例えば、もう少し小型のボーイング767を政府専用機として増勢する、そういう選択肢ならば検討の価値はあります。航空自衛隊では空中給油機のKC-767を運用しているのですが、こちらは本土防空の最小限必要な定数に届くか否かの4機しかないのですけれども、これを例えば民間の貨物型を導入する形でボーイング767の派生型を空中給油機と併せて更に5機10機と導入するのならばまた別の話ですが、とにかく輸送力は必要で、何かしらボーイング747の代替機が必要となるのではないでしょうか。また使える機体を早期退役して別の機体を防衛費から導入するよりは、という点を超えても、少し視点を変えればボーイング747は、そういう意味では維持してほしいですね。日本国のフラッグシップとしての地位を示していた大型機でもあるのですから、それこそ、三位とはいえども日本円や高度な経済力を誇った経済大国としての象徴でもあった航空機をそう簡単に廃止する、というのは、国会議事堂に広告料を採って中国万歳の垂れ幕を掲げるような、捨ててはならないものを捨ててしまうようにも思います。軍事的、その他の面ともに考えれば、ボーイング747を要人輸送機として維持する必要があるとは思うのですがどうでしょうか。
HARUNA
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
>ヨーロッパからの帰路にエアバスA340
昨年チューリッヒ~成田、アブダビ~ロンドンでA340に乗りましたけど、少なくともユナイテッドあたりの747(笑)に比べれば、はるかに良かったですよ。
まあそれはさておき、新造機を導入しても結構なコストがかかるわけでし、候補機である767も、もたもたしてると生産が終了する可能性があるわけですから、747を維持する方法を、もう少し摸索すべきだと思いますね。
B747-400だと途中給油せずにノンストップで
長距離飛べる利点と、4発機のためエンジンが1発
止まっても心配なく飛んで行けるって、ところでしょうか!?
先日、羽田空港に来たウクライナと、現在滞在している
ブルガリアの政府専用機は共にA319でしたが、
やはり北米やヨーロッパのような長距離だと
ちょっと航続距離が不足していますね。
訪問地や災害地などが、日本から遠く離れている場合には
航続距離が物を言いますし、なにより中継地を介さない方が
色々面倒も少なさそうだし...(友好国が中継地であれば
幾分問題は少ないでしょうけど)
それに紛争地域とかに派遣となるとチャーターだと
確実に確保できるかの問題が発生しますので、
やはり国独自で保有する機体は必要かと思います。
国内移動とかB747では大きすぎる場合は小型の民間機を
チャーターか、通常運航便に搭乗する事をしているので、
棲み分けが出来ているとは思いますけど...
そうなると767-200ERあたり航続距離の長い機材を導入するのが望ましいかもしれませんね。
767って自衛隊も持ってますし、整備は別に民間に委託していないですよね?
こういった輸送機は日本のシンボルというか、一種のアピールですから民間に委託しなければならないほど落ちぶれたなどと各国から鼻で笑われます。
どこのどいつが削減しろと言ったか知りませんが、
もうちょっと考えて欲しいものです。
現時点では新しい政府専用機にはB767/B777系辺りが一番妥当な候補でしょう。どちらも一長一短あるようですが・・・
ちなみに、現政府専用機の購入予算は旧総理府から出たので、もし後継機を買うとしても予算は総務省持ちになるでしょうから防衛省の懐はとりあえず痛まないと思う次第。
そういえば、ヨーロッパではギリシャやアイルランドが財政難で政府専用機を手放す一方、ドイツは今年から政府専用機をエアバスA340等に更新するそうです。議会の議員曰く「新型機は確かに高いがこの投資はまったく正当。世界でも裕福な国の一つである我が国のトップが古い飛行機で世界を飛び回るなんて恥ずかしい」だそうで。
747型は全日空でもまもなく全廃予定だったはずで、国内での整備基盤は無くなるのではないでしょうか。
http://www.ana.co.jp/pr/08-0103/08-014.html
最近計画が変更になっているのであれば分かりませんが。
政府専用機、飛行時間を考えれば、十年と言わず寿命がありそうで、運用コストも多用しなければ大きくは無いのかな、とも。
C-17,ううむ、しかし今や一機当たりのコストが肥大化しすぎていますので、航空自衛隊に導入する、というのは今となっては、との印象がありますね。
ううむ、A-340ですが、なにやら翼がヤワにみえてしまってですね、個人的には747が好きです。
記事、予備ブログの方に引用しましたが、後継機を導入する計画は無さそうで、767を増強というのも、防衛費縮減の一環としても747を廃止する方針のようですから、チャーター機、という表現のようで。
767、仰る通り、787が控えていますし、米空軍がKC-767を導入しない限り閉鎖、しかもKC-767といっても原型機のロットが違ってくる可能性もありますので、空自仕様のKC-767を増強するのならば、それこそ今回の中期防に盛り込まなければ駄目になっているやも、と。
747ですが、飛行時間、民間の747と比べた場合、国際線を毎日運航している訳でもないですし、まだまだ使えそうな気もするのですが、実際のところが気になりますね。あの、C-1FTBと他のC-1との比較でFTBは古いけれども、飛行時間が短いのでまだまだ使える、という話を思い出すのです、まだ飛行時間で耐用年数があるのならば、B-747,航空自衛隊は運用を続けるべきだろう、と。
日本の場合、ワシントンDCまで直行できなければ、対米外交重視の観点から問題がありますからね。747-400は航続距離が14200kmで太平洋と北米大陸を横断出来ますが、767-400ERで航続距離は10500km、ちょっと不足です。
災害派遣だけを考えると、まず、滑走路が必要ですから、747よりもC-2を経由地を含め運用する方が現実的なのでは、と考えるのですけれどもね。
767-ER、ううむあの機体も10000kmほど飛べるようですが、ワシントンDCまで羽田から無給油で行けるのでしょうか、11000kmですから、行って行けない事もなさそうですが、14000km飛べる747の方が良いと思うのですが、ね。777-300ERならば、後継機に最適なのですが、これはこれで新しく導入するというのも無駄遣いのようで。
アメリカは747-200の派生型をVC-25に使っているのですし、飛行時間も民間航空の747よりは短いはず、空自の747、もっともっと使えると思うのですが、ね。