◆JR貨物による自衛隊車両の輸送
陸上自衛隊協同転地演習、旧称北方機動演習が実施中である。本日は、JR貨物の協力を得て第10師団の車両を搭載した貨物列車が東海道本線を行く様子を紹介したい。
EF-65電気機関車の牽引で東海道本線を北海道に向かう自衛隊貨物輸送。傍目にはEF-65が牽引するJR貨物による普通の貨物列車なのだが、よくみると、その牽引する車両は、無蓋貨車に載せられた第10師団の各種車両である。清州駅にて撮影で、昨日停車していたのが新快速から見えた編成、稲沢貨物ターミナルより出発した貨物列車だ。
本来であれば撮影ポイントは、いつもお世話になる方々のご指南を仰ぐのだが、まきなみ、しきなみ、あやなみ、イラストリアスなどの関係の所用があるとのことで、今回、地理に疎い小生一行二名で展開。まきなみ、しきなみ、あやなみ、イラストリアス、海上自衛隊護衛艦と海上保安庁巡視船と英海軍空母の合同海賊対処演習でもあったのだろうか(違)。
78式戦車回収車。無蓋貨車に載せられているが、カバーが被せられ、履帯が取り外されている。一瞬73式装甲車かとおもったのだが、発煙弾発射器の位置が違い、しかも駆動転輪の位置が違う。特大トラックでも運搬可能な73式装甲車ならば別として、74式戦車の車体を改修した78式戦車改修車は重量があり、しかも幅が広い。
74式戦車は、日本の在来線軌間1067㍉では、鉄道輸送は不可能といわれていたのだが、履帯とそのカバーを取り外したならば、写真のように鉄道貨物輸送に対応するようだ。74式戦車の場合はどうなのか、ちょっと興味が湧く次第。他方、よく部品などを取り外し、創意工夫で搭載したものだ、と後方支援連隊の奮闘には驚かされた。
資材運搬車。今回の貨物輸送でいちばん数が多かったのは、この資材運搬車。野戦築城などの機材や資材を運搬するための車両で、各普通科連隊の本部管理中隊施設作業小隊などに配備されている。こうした鉄道貨物輸送では、戦車大隊本部などに配備されている73式装甲車などが輸送される事例が多かった。
これは装軌式、つまり一般にキャタピラ式と呼ばれる車両が長距離での自走移動に向いていない、もしくは多くの後方支援を必要とすることから貨物輸送を行っており、61式戦車も1067㍉軌間での輸送が可能なよう設計されていた。しかし、近年、高速道路などを高速で自走出来る96式装輪装甲車などが配備されており、鉄道輸送されることが少なくなったのだろうか。
電気機関車を先頭に、78式戦車回収車、資材運搬車、そして写真の小型ドーザという編成。無蓋貨車、特に写真の小型ドーザを搭載している貨車の“コトラ”は珍しいらしいのだが,本来、鉄鉱石や石炭などを運搬する無蓋貨車に、施設車両、つまり車両が載せられているのも珍しいといえよう。
自衛隊貨物輸送の編成。ブルートレインを撮影するときのように、電気機関車を中心に撮っていたのだが、考えてみれば、後ろからのアングルの方が、他の貨物列車との差異が端的に出ているといえるかもしれない。清州駅通過後、しばらく停車したのち、東海道本線を東京方面へ、移動していった。
HARUNA
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回収車の貨物輸送は珍しいですね。74TKだと砲塔を旋回して固定した形だと、微妙に幅などで越えてしまうのかもしれませんね。履帯を外して積載したのでしょうか?それとも積載後に行ったか?気になります。部隊か師団の命題による研究のような気がします。
いつも思うのですが、戦車などの装軌式(キャタピラー)は日本に合っていないような気がします。山間地が多い日本では機動力に勝る装輪式のストライカーのようなものがあっていると考えます。防御や攻撃力は装軌式戦車にかなわないまでも、補って余りある長所があるとおもうのですがね。攻撃用兵器はアタッチメントで自由に取り換えられて戦車や兵員輸送装甲車や指揮車として使えて兵器統合の面と同一規格による兵器の値段の面でも有利なような気がしますね。あくまでも日本国内限定ですけどね。あれ?装輪式のものは、高さの面で列車輸送が難しいのかな?
78式の搭載は、調べるほど驚かされます。
といいますのも、この搭載されているチキ7000型貨車は、35トン搭載のもので、61式ならば運べるのですが、74式は空虚重量でもオーバーしてしまいます。しかも、回収車は74式よりも重いですし、全備重量と空虚重量の差も、砲弾を積みませんので、空虚重量でもそれなりの重量があります。
排土板が取り外されていますし、外せるものはすべて軽量化のために取り外した、というところでしょうか。陸幕も無理な難題を出したと思いますが、実現させた後方支援連隊の努力は凄いですよ、本当に。
シルエットから見て、重量さえなんとかすれば、74式戦車も搭載できそうには思うのですが、・・・、走行姿勢で砲塔を後ろに向けると、ご指摘の通り、斜め後ろに突き出る砲身は心配ですが、それでも、積めるのかも。
山間部が多いからこそ、装軌式車両の長所が活かせるのでは、と思います。
といいますのも、装輪式車両よりも不整地突破能力や登坂能力が優れていますので、徒歩には劣るものの相手の思いもよらない場所を選んで任務に当たることが出来ます。
一方、装輪装甲車や機動砲では、山間部の場合、道路、特に隘路で、格好の標的にされてしまいそうです。
ただ、長距離機動を考えると、高速道路網を利用すれば、装輪式車両にも利点はありますので、双方の利点をうまく活かした装備体系が理想的なのかな、と。
話は逸れますが、数年前に調べたらば、ストライカー装甲車って、M-113装甲車の三倍近い価格で、驚きました。
ん~。私の戦車に対するイメージとしては、泥などの湿地帯や平地または丘陵地(木がない)および市街地での戦車戦ですね。※砂漠地帯も含む。
日本みたいな高さはないけど急峻な山が多いところでは戦車が登れるはずもなく、自動車が通れる道路を走行せざるおえないはずではないかと考えるからです。つまり山岳地帯では、装輪装甲車と同じ条件になり、機動性(速度が速いという意味)が高いというところで装輪装甲車の方が有利じゃないかと考える次第です。※急峻で木が隙間なく茂っている山を戦車が登坂しているところを見たことない。
というところから出た考えです。
ただ、『M-113装甲車の三倍近い価格』では、一寸ひきますね!イメージとして戦車1台分でストライカー2~3台買えるイメージだったのでそれなら3台ストライカーがあったほうが日本では有利かなと。
あまかったな。意外と高いな!と。
森林地帯を突破できるのは、装軌式車両か徒歩歩兵だけなのかな、と。そこに、登坂力が加わりますのでね。
といいますのも、戦車であれば、直径30センチ程度の樹木ならば連続的に押し倒して前進することが出来るのですが、軽装甲気動車のような車両では、樹木にぶち当たれば事故で終わってしまいますし、ストライカーAPCのような8輪式でも、たとえチェーンを巻いても、樹木を連続して押し倒すのは難しいのではないでしょうか。
戦車が樹木を押し倒して進む様子は、例えばアルデンヌ冬季攻勢を描いた映画の「バルジ大作戦」、西側最大の戦争映画とも呼ばれるのですが、出てきます。そこまで太くは無いのですがM-47戦車が木を次々に押し倒して進む様子は迫力があります。
そしてもうひとつ、日本ならではの地形障害があっりします。
かつて、中国は元朝が統一国家を建国しようとした際、彼らが誇る騎馬軍団の威力を減殺したのは、南宋の水田地帯でした。
日本は平野部や山間部問わず、水田地帯が比較的多いですが、装輪車両では、水田地帯の突破はかなり難しかったりします。韓国陸軍や中華民国(台湾)陸軍が、最近まで一部を除き装輪車両に見向きもせず、装軌式装甲車を重視していたのは、水田地帯の突破の為でもあるわけです。
一応、某大型車両も突破することは出来る、とその筋から聞いたことがあるのですが、使う人に聞いてみますと、ご冗談を(笑)、という反応でした。
ストライカーAPCですが、機銃だけを搭載したタイプであれば、96式WAPCの1.1~1.2倍(96WAPCは年々量産効果が出たのか安くなっている)なのですが、105㍉砲を搭載した装甲機動砲型は、調達年度は違うので一概に比較はできませんが74式戦車よりも高価で、同時期の90式戦車の0.55倍くらいの価格にはなっていました。
もっとも、ストライカー装甲機動砲のような装備が普通科中隊の中隊本部か対戦車小隊に2両くらい配備されていれば、火力支援には理想的かもしれませんね。
74TKですと、走行姿勢にした時に前方に来る砲塔のバスケット部がどうだったかなと思ったのですが問題ないかもしれません。重量が問題かもしれませんが、これも履帯を外せばOKかもしれません。
近年は装輪車両の性能が向上してきていますが、装軌式車両の不整地突破能力と較べるとやはり差はあると思います。装軌式車両は不整地機動力だけではなく、障害排除能力もあるので市街地戦闘においても有効だと思います。
はるな様の言うように双方の利点を備えた装備・戦術を考えるべきですね。
74式戦車の搭載は、部隊訓練基準でしっかり設定すれば、履帯やエンジンを取り外すなどすれば重量的に3㌧位はなんとかなりそうにも思うのですが、これを中隊単位で戦車十何両も同時にやれば、整備小隊や後方支援連隊の戦車直接支援隊は、手一杯になってしまいそうな・・・、なんとなく、手間はC整備よりも面倒ですよ・・・。ううむ、日本の鉄道貨物輸送事情・・・。
他方で、チキやトラといった貨車は、もう寿命は本当にあまり長くないようで、鉄道による装備輸送というもののあり方そのものも再検討する必要があるのかな、と。
装軌式と装輪式ですが、コストと、整備という問題から言うと、師団戦車大隊と直協する装軌式装甲車化普通科部隊と、路上機動力を活かした軽量な普通科部隊に、と思ったりするのですが、コスト的に難しいでしょうか。
装軌式装甲車化普通科部隊は要所に必要と思いますが、過去にAPCを十分に装備できなかったこと、現在は装輪式により陸自全体の機動力の向上を狙っているので、しばらくは装軌車の整備はないかもしれません。89FVの基本性能は高いので、以前仰っていたように、搭載武器等を見直すことによりコストを下げたFVを集中整備できれば良いのではないかと思います。
実任務で鉄道輸送を考える場合、中隊規模での運用というのが、一つ必要になってくると思うのですが、後方支援連隊や大隊本部の能力限界を考えると、民間業者の協力、というのを如何に実現させるかが重要でしょうね。
他方、戦車輸送車導入以前は、日通など、頑張って61式戦車などを輸送してくれたそうなので、能力的には期待できるのでは、と。
APCですが、冷戦時代は、航空優勢確保が非常に難しい、という前提に立てば、施設科の能力の上限から、充分に掩砲所を確保できなさそうですし、航空機からの攻撃に弱点のあるAPCを断念し、地形防御に依拠した防衛陣地、というのはいる意味、致し方ない、もしくは妥当な方法だったのかな、と。
他方、今日は、内陸誘致から、水際撃破に運用体系を転換している訳ですし、戦車の機動打撃に追随できるAPCの必要性はあるのかな、と。
FVですが、普通科第五中隊、もしくは対戦車中隊に配備出来れば、物凄く頼りになると思うのですよね・・・、連隊戦闘団を編成する際には普通科中隊の防衛線に集中した敵に対してFVの中隊と戦車の協同で機動打撃の展開も可能になりますし・・・。
軽装甲機動車の量産効果と、価格の同規模の外国製装備との比較を行ってみますと、FVも量産さえできれば、もちろん、熱画像暗視装置や重MATなどのオプション化なども含めてですが、調達価格はかなり下げれるのでは、と。