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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】ニッポンイーグルJSI計画と米F-15EXイーグルⅡ情報,ラファールギリシャ到着とインド海軍検討

2022-04-12 20:22:54 | インポート
■週報:世界の防衛,最新12論点
 今回は空軍関連の話題を扱うのですがあの自衛隊のジャパンスーパーインスペクターは無くなっていなかったのですね。

 航空自衛隊は2021年末、ボーイング社との間でF-15-JSI計画へ4億7100万ドルの契約を成立させたと発表しました、この計画はコストが制御不能となり、防衛省からの再三の説明要求にボーイングが応じず、一時は中止されています。F-15-JSIはジャパンスーパーインスペクターの略称で、F-15J戦闘機のJSI仕様への4機の改修が盛り込まれている。

 ジャパンスーパーインスペクターへの改修はミズーリ州セントルイスにあるボーイング施設とオハイオ州ライトパターソン空軍基地に置かれる空軍機材再生管理センターとボーイング社が実施するもので、2028年12月31日までに試験と完了し納入するとしています。ただ、一機一億ドルと単純計算、コスト管理については今後見通せない部分があります。
■イーグルⅡAMRAAM発射成功
 F-15イーグルⅡにとっては大きなマイルストーンを通過したという所でしょうか。

 アメリカ空軍はF-15EXイーグルⅡから初のAIM-120D-AMRAAM空対空ミサイル発射試験を成功させました。これは2022年1月25日にメキシコ湾上空において実施された試験で、第53航空団第40飛行隊のF-15EXがフロリダ州のティンドル空軍基地から発進し、飛行する無人標的機BQM-167に対してAIM-120D-AMRAAMを発射、命中させました。

 F-15EXイーグルⅡはアメリカ空軍の老朽化したF-15C/D戦闘機の後継機としてF-15Eストライクイーグルを改良したもので、今回のAMRAAM試験は搭載する空対空戦闘用のSuite9システムコードの検証も目的とされています。原型のF-15Eは戦闘爆撃機ですが、F-15EXはF-15C/D後継機という特性上、制空戦闘機としての性能が重視されています。
■ロシア航空大手-ミグとスホーイが合併へ
 JALとANAの合併案が出た際に社名がどうなるのか大騒ぎになりましたがミグとスホーイが合併するとミホーイになるのだとおもっていた。

 ロシアの戦闘機製造大手ミグとスホーイの製造企業が合併する、これは両社の持ち株会社であるロシアのUAC国営統一航空機製造会社が1月17日に開いた臨時株主総会での決定で、スホーイカンパニーとRACMIG社の合併が承認、これにより企業構造を簡素化し、意思決定や航空機設計と製造における重複部門を最適化し、企業体力を強化するのが狙い。

 ミグとスホーイは、現在もMiG-35戦闘機とSu-30戦闘機を製造している、このMiG-35は冷戦時代にソ連が開発したMiG-29の能力向上型でありSu-30もやはりソ連時代のSu-27を能力向上させたものに過ぎず、スホーイカンパニーは新世代機であるSu-57戦闘機を開発しているが、昨今、RACMIGもMiG-21戦闘機後継に新世代機MiG-75開発を発表した。

 戦闘機の世代としては重なる機種を製造しているが、元々スホーイは防衛空軍というソ連本土を防衛する制空戦闘機を製造し、ミグは前線の過酷な整備環境において運用する戦術戦闘機を開発していた、今後の計画ではスホーグやミホーイという会社が設立するのではなく両社の管理部門を廃止し、UAC国営統一航空機製造会社が管理部門を担うようである。
■インドネシアSu-35導入を中止
 この決定はウクライナ侵攻前のものですが早めに損切りができて幸いなのかもしれない。

 インドネシア空軍はロシアとのSu-35戦闘機11機の導入計画を放棄しました。Su-35戦闘機11機は2018年2月に契約されたもので11億4000万ドルの調達計画でしたが、アメリカの敵対国家制裁法CAATSAにより輸出が2019年に延期され、ロシア政府はインドネシアへ特使を派遣していますがインドネシアはアメリカからの制裁の影響を考慮しました。

 次期戦闘機についてSu-35調達は中止されたため、インドネシア空軍はアメリカのF-15E戦闘爆撃機かフランスのラファール戦闘機が候補に残る事となります。インドネシア空軍は次期戦闘機3個飛行隊所要を導入する計画ですが、Su-35戦闘機11機の導入計画放棄により、次期戦闘機の配備計画等がどう影響を受けるかなどについては定かではありません。
■ドイツのF/A-18E導入にボーイング尽力
 こちらもウクライナ侵攻前の話題なのですがボーイングはここまでやっているのに、まさかこの流れでドイツがロッキードのF-35に切替えるとは思わないだろうなあ。

 ドイツ連邦軍が採用予定のF/A-18E/F戦闘攻撃機についてボーイング社はドイツ国内企業連合とのパートナーシップを拡大する方針を示しています。これはドイツ国内での整備基盤を構築する際に40億ドル規模、ユーロでは35億ユーロのライフサイクルコストが見込まれており、ボーイング社では10社以上のドイツ企業と提携を模索しているところです。

 F/A-18E/F戦闘攻撃機について、ドイツ連邦軍はEA-18Gへの能力向上をも見込んでおり、この為の改修作業も可能な限りドイツ国内企業との連携を見込んでいます。ただ、これは見方を変えれば、ドイツのメルケル政権からショルツ政権への政権交代により連立与党内において揺らぐF/A-18E/F戦闘攻撃機採用計画への楔と視る事が出来るかもしれません。

 ドイツ空軍では有事の際にアメリカよりNATOを通じて供与されるB-61核爆弾運用能力を重視しており、フランスのラファール戦闘機提案を却下しています、しかし空軍が本命としたF-35戦闘機導入が欧州防衛協力強化を求めるフランスの圧力で却下されており、空軍のF-35導入派を更迭して、F/A-18E/F戦闘攻撃機を採用した難しい背景があるのです。
■ロシアTu-160再生産機初飛行
 ロシアの懐具合は下手な新型機を設計して大量の予算を消費するよりは設計が古いがまあ速度は凄い機体を再生産するという。写真はイメージですがこれ程古くは無い。

 ロシアのUAC国営統一航空機製造会社は再生産を開始したTu-160M2超音速爆撃機の初飛行を成功させたと発表しました。これは2022年1月12日に実施したと発表され、戦略兵器制限条約とソ連崩壊により多数の生産に至らなかったTu-160M超音速爆撃機が今後老朽化したTu-95爆撃機を始め幾つかの機種の後継問題を解決する事となるかもしれません。

 Tu-160M超音速爆撃機はNATOコードネームブラックジャック、可変翼を採用し超低空侵攻能力とマッハ2での超音速巡航能力を有しています。このマッハ2の巡航能力は平時の防空対処を難しくさせるもので、今回再生産が行われているのはエンジンを改良型としたTu-160M2、ロシア航空宇宙軍では極超音速ミサイルの発射母機として活用するのでしょう。
■エジプト-C-130Jを22億ドルで
 C-130が安いという認識は遠くなりましたが逆に日本物価も安くなったものだという裏返しなのかもしれない。

 エジプト軍はアメリカよりC-130J輸送機12機を22億ドルで取得する、これは1月にアメリカ国務省が対外軍事供与許可の発表により明らかとなった。輸出されるC-130JはC-130J-30という最新型及びその関連機材で、能力向上型のC-130Jを更に胴体延長により機内容積を増大させ、トラックといった軽量だが寸法の大きな装備品を空輸できる機体だ。

 C-130J-30輸送機12機と共に22億ドルの費用には関連機材に予備のロールスロイスAE-2100Dターボプロップエンジン、ALR-56Mレーダー警報装置、ALE-47機体自衛装置とAPX-119敵味方識別装置等が含まれている。エジプト軍は近年近代化が著しくラファール戦闘機やミストラル級強襲揚陸艦、カルロベルガミーニ級フリゲイト等を導入している。
■豪州C-130J近代化改修
 もう一つ今度はオーストラリアからC-130J輸送機の話題です。

 オーストラリア空軍がC-130J輸送機の近代化改修を完了させたとのこと。今回、C-130J輸送機の1機がアメリカ空軍のblock8.1相当へ改良されたとのこと。これは最新の航空管制システムへの適合を軸とした能力向上で、と環太平洋地域での空港アプローチや航空航路の飛行計画立案などが迅速化され、また空中投下時の精度も大幅に向上するとのこと。

 オーストラリア空軍は現在12機のC-130J輸送機と、C-17輸送機8機、そして小型のC-27J輸送機10機を装備していますが、C-130J輸送機の残る11機もblock8.1相当へ改良されるとのこと。C-130J輸送機はアメリカのロッキードマーティン社製の航空機ですが、今回の改修はオーストラリア国内のエアバスオーストラリアパシフィック社が実施しました。
■ギリシャ向けラファール初号機到着
 ギリシャは軍用機撮影の制約が凄いのですがギリシャ空軍マークのラファールは確かに見てみたい。

 ギリシャ空軍はミツタキス首相臨席のもとフランスより最初のラファール戦闘機到着を迎えました。到着したのはギリシャのタナグラ空軍基地、第332飛行隊へ配備される。ダッソー社のエリックトラピエ社長も式典に列席しています。到着したラファール戦闘機は6機でギリシャ空軍は18機を導入予定、納入は2023年の夏までに完了するという方針です。

 ラファール戦闘機の導入は、ギリシャのエーゲ海ガス田開発に際してトルコからの海底調査強行を受け関係が悪化した際、フランスが北アフリカ問題においてトルコと対立した事を背景に、ギリシャへ比較的安価にラファールを提供する打診があり、ギリシャ軍のミラージュ2000戦闘機老朽化が進んでいたギリシャは渡りに船として調達した背景があります。
■ロールスロイス社の電動航空機
 エコな航空機と視ていましたが電動式ですと赤外線放出量が少なくなりますのでサイドワインダーの旧型などは厳しくなるのやも。

 イギリスのロールスロイス社は全電動航空機スピリットオブイノベーションの速度記録を樹立しました、これはシルエットでスピットファイアを思わせる技術実証機、2021年11月16日の飛行試験が公式に認められたもので、3kmに渡り555.9km/hの速度で飛行、また瞬間的に623km/hの速度を発揮しており、これも電動航空機としては世界記録です。

 ACCELプログラム、この開発ではゼロエミッションにより温室効果ガスを排出しない航空機開発を目指しており、計画では牽引車に用いられるジャガーやランドローバーも電気自動車型を用いるという電動式の徹底ぶりです。スピリットオブイノベーションには400kwの電動モーターと高密度に配列されたバッテリーパックにより世界記録を実現しています。
■インドの次期空母艦載機米仏案
 ラファールとスーパーホーネットを比較すると空母の大きさから後者は厳しいかもしれない。

 インド海軍次期空母艦載機としてラファールとスーパーホーネットの選定が激化している。インド海軍では空母ヴィクラマディーチャ艦載機としてMiG-29K戦闘機が採用されているが、現在建造中の空母ヴィラートを筆頭に4万0000tクラスの空母量産を開始しており、MiG-29K戦闘機は2030年代以降の将来戦闘に対応するには限界が指摘されている。

 ラファールは現在ボンベイなどで評価試験が実施され、インド空母はフランス海軍空母と同程度の船体規模であると共にインド空軍での配備が開始されている。一方、スーパーホーネットはインド海軍視察団がアメリカを訪問しているが、アメリカでは中型空母構想としてスキージャンプ方式発艦装置の試験を実施中、艦載機に大きな市場が期待されている。
■イラク空軍JF-17戦闘機導入
 やはりJF-17は今年も良く売れている。

 イラク空軍次期戦闘機として中国パキスタン共同開発のJF-17戦闘機が決定した、これは1月30日にイラクのジュマイナド国防相が発言したもので、パキスタンとの間で正式契約に至った事を発表した。正確には2021年9月15日のイラク軍代表団パキスタン訪問の際に事実上JF-17戦闘機の導入は内定しており、発表が2022年となったかたちという。

 JF-17戦闘機はサンダーの名で知られる安価な戦闘機であるが、初期型から費用を抑えたままに改良を加え、中距離空対空ミサイルや対艦ミサイル及び精密誘導爆弾運用能力、良好な格闘戦性能や一定の電子戦能力を備えており、アフリカ地域などに着々と輸出実績を重ねている。今回イラク空軍は導入を契約したが、導入機数など詳細は非開示のままである。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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