■防衛情報-ウクライナ戦争
戦車は一定数揃ってこそ意味があるという戦訓のようなものがウクライナから。自衛隊も戦車を多種多様な代替装備で置換えるのではなく従来通りの戦車をしっかりと量産してはどうかとも思うのです。

ロシアの最強戦車T-14アルマータはウクライナへ投入されていない、3月5日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告がロシア軍戦車運用に関する分析結果を発表しました。これは情報解析ではなく3月4日にロシアの国営軍需企業ロステック社のセルゲイチェメゾフ会長の発言にT-14はウクライナへ派遣されない、というものがあったと紹介したものです。

T-14アルマータ戦車はロシア軍が次世代戦車として発表したもので、巨大な無人砲塔を搭載し車内の装甲カプセルから操縦し戦闘するというもの。シリア内戦などでの戦訓から乗員が装甲カプセルにより防護されるという状況が戦闘能力を引き出すと共に、乗員は装甲カプセル内から全てを操縦できる事は、将来の遠隔操作戦車の可能性を示したものでした。

2015年のモスクワ対独戦勝記念軍事パレードに華々しく登場したT-14ですが、しかしその後配備が進んだとの情報が出されていません、イギリス国防省によれば2021年に第1親衛戦車軍へ配備が開始される計画でしたが、第一線部隊へ引き渡された兆候はなかったといい、2022年に演習映像は出されましたがウクライナへ派遣された兆候もありませんでした。
■T-14アルマータ
T-14アルマータの状況を見ますと遣ろうと思えば数を揃える事は現実的となっている日本の10式戦車をもう少し評価してはどうか。

T-14アルマータがウクライナへ派遣されない背景について。イギリス国防省は幾つかの問題を指摘しています。第一に製造コストが高すぎるという点で、大量生産を可能とさせるリソースがロシア国内にはないという問題です。ロシア軍は現在、新造戦車ではなく予備保管されていた旧式戦車の現役復帰や老朽戦車の近代化改修の納車に依存しています。

T-14戦車がウクライナへ投入されないもう一つの理由として、T-14アルマータ戦車が撃破される事がロシア軍の威信低下に繋がる事ではないかとしています。この点は確かに、1991年湾岸戦争においてイラク軍が当時世界最強と思われていたT-72戦車など1000両を短期間で喪失したことで、旧ソ連製戦車の世界武器市場での価値が暴落した厳しい記憶がある。

しかし、イギリス国防省はここまで踏み込んだ分析はしていませんがウクライナへ投入されない理由にもう一つ、投入して戦車中隊単位で運用できる程の数がT-14アルマータの生産状況からは考えられず、短期間で全てのアルマータが破壊される懸念があるからではないか。他方、これは日本を含め戦車を削減している各国にも重要な戦訓と云えましょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
戦車は一定数揃ってこそ意味があるという戦訓のようなものがウクライナから。自衛隊も戦車を多種多様な代替装備で置換えるのではなく従来通りの戦車をしっかりと量産してはどうかとも思うのです。

ロシアの最強戦車T-14アルマータはウクライナへ投入されていない、3月5日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告がロシア軍戦車運用に関する分析結果を発表しました。これは情報解析ではなく3月4日にロシアの国営軍需企業ロステック社のセルゲイチェメゾフ会長の発言にT-14はウクライナへ派遣されない、というものがあったと紹介したものです。

T-14アルマータ戦車はロシア軍が次世代戦車として発表したもので、巨大な無人砲塔を搭載し車内の装甲カプセルから操縦し戦闘するというもの。シリア内戦などでの戦訓から乗員が装甲カプセルにより防護されるという状況が戦闘能力を引き出すと共に、乗員は装甲カプセル内から全てを操縦できる事は、将来の遠隔操作戦車の可能性を示したものでした。

2015年のモスクワ対独戦勝記念軍事パレードに華々しく登場したT-14ですが、しかしその後配備が進んだとの情報が出されていません、イギリス国防省によれば2021年に第1親衛戦車軍へ配備が開始される計画でしたが、第一線部隊へ引き渡された兆候はなかったといい、2022年に演習映像は出されましたがウクライナへ派遣された兆候もありませんでした。
■T-14アルマータ
T-14アルマータの状況を見ますと遣ろうと思えば数を揃える事は現実的となっている日本の10式戦車をもう少し評価してはどうか。

T-14アルマータがウクライナへ派遣されない背景について。イギリス国防省は幾つかの問題を指摘しています。第一に製造コストが高すぎるという点で、大量生産を可能とさせるリソースがロシア国内にはないという問題です。ロシア軍は現在、新造戦車ではなく予備保管されていた旧式戦車の現役復帰や老朽戦車の近代化改修の納車に依存しています。

T-14戦車がウクライナへ投入されないもう一つの理由として、T-14アルマータ戦車が撃破される事がロシア軍の威信低下に繋がる事ではないかとしています。この点は確かに、1991年湾岸戦争においてイラク軍が当時世界最強と思われていたT-72戦車など1000両を短期間で喪失したことで、旧ソ連製戦車の世界武器市場での価値が暴落した厳しい記憶がある。

しかし、イギリス国防省はここまで踏み込んだ分析はしていませんがウクライナへ投入されない理由にもう一つ、投入して戦車中隊単位で運用できる程の数がT-14アルマータの生産状況からは考えられず、短期間で全てのアルマータが破壊される懸念があるからではないか。他方、これは日本を含め戦車を削減している各国にも重要な戦訓と云えましょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)