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まや(DDG-179 MAYA)就役【1】本日横浜で竣工,令和初の新護衛艦は"第七のイージス艦"

2020-03-19 20:07:49 | 先端軍事テクノロジー
■まや,令和時代最初の護衛艦
 まや竣工。本日、令和時代初の護衛艦としてジャパンマリンユナイテッド横浜工場にて最新鋭イージス艦まや、自衛艦旗を受領し竣工しました。

 艦長小野修司1佐へ執行者である横須賀地方総監杉本孝幸海将より自衛艦旗が手渡され、ジャパンマリンユナイテッド千葉孝太郎社長らが見守る中の出航、こんごう型ミサイル護衛艦として海上自衛隊イージス艦の整備事業は昭和の頃より開始され、1993年に最初のイージス艦こんごう、が竣工してより7隻目のイージス艦となり、8隻体制は王手となります。

 あたご型ミサイル護衛艦、まや型前型の基準排水量は7770tでしたが、あたご型を超える基準排水量8200t型護衛艦として建造されました護衛艦まや型、海上自衛隊のイージス艦としては最大となり、護衛艦としては世界最大の駆逐艦こと護衛艦いずも型の27000tよりは抑えられていますが、全通飛行甲板型護衛艦をのぞけば自衛隊最大の護衛艦となります。

 こんごう型から始まるイージス艦、こんごう、きりしま、みょうこう、ちょうかい。あたご型護衛艦、あたご、あしがら。そして護衛艦まや型は一番艦まや、続いて二番艦はぐろ、が建造中です。その任務は洋上防空、特に同時多数の攻撃に際し艦隊へ広域防空の中枢艦を担う事にあり、更にイージスシステムは、日々改良を重ね能力向上が進められています。

 イージス艦。海上自衛隊は広大なシーレーンを防衛する際、特に冷戦時代にはソ連軍の運用するTu-22Mバックファイア超音速爆撃機による船団攻撃が最大の脅威となっており、海上自衛隊は広域防空艦として、1960年代以来の従来のターターシステム艦をデジタル式のターターDシステムへ能力向上を行うとともに、様々な防衛力整備を研究していました。

 シーレーン防衛へは、検討案として主なものは全通飛行甲板型護衛艦をDDV航空護衛艦として建造、シーハリアー攻撃機を艦上哨戒機として運用するDDV構想、長大な航続距離を有し滞空時間長いP-3C哨戒機へ長射程のAIM-54フェニックス空対空ミサイルを搭載し上空警戒に充てる空中巡洋艦構想、早期警戒管制機による洋上防空支援等も検討されました。

 2隻のイージス艦を有する護衛隊群8隻にたいして60機のバックファイア爆撃機が長距離対艦ミサイルによる波状攻撃を加えた場合、どうなるか。海上自衛隊はイージス艦導入前の洋上防空研究に際し、オペレーションリサーチ方式での評価試験を実施、その結果、上記の空中巡洋艦構想やDDVへのハリアー搭載よりも高い防空能力が評価される事となる。

 護衛隊群が2隻のイージス艦を運用し、ここに60機のバックファイア爆撃機が攻撃を加えた場合、第一撃で15%の護衛艦が撃沈ないし行動不能、第二撃では40%の護衛艦が撃沈ないし行動不能、という評価となりました。これは第一撃で0隻から1隻、第2撃で3隻から4隻が破壊される公算ですが、60機の攻撃は最大規模の攻撃と見積もられたのでしょう。

 海上自衛隊は、米ソ全面衝突においてアメリカの空母機動部隊に加えられる規模と同程度の、60機といえば稼働するTu-22Mの半数近い規模で、太平洋と大西洋地中海を考えれば最大規模、その航空攻撃に対処できる、と考慮したわけです。第二撃ではミサイルを消耗するために急激に被害は増大しますが、ターターDシステム艦ではこうは行きません。

 シーハリアーとともにシーレーン防衛と艦隊防空を戦闘機により担う構想と比較した場合、イージスシステム一基の取得費用は導入当時、シーハリアー一個飛行隊の整備費用に匹敵するとの試算もありましたが、同時多数の飽和攻撃に際して、当時のシーハリアーは中距離空対空ミサイル運用能力は無く、即応性の面では早期警戒能力などの面でも不利でした。

 冷戦終結。しかし海上自衛隊がイージス艦を導入決定した時点で顕在であったソ連の脅威は1993年こんごう就役の時点で既にソ連は崩壊しており、時代遅れの過剰装備とも一部識者に囁かれました。もしかしたらば数ヶ月はそうだったのでしょう、だが数ヶ月の後、この1993年は北朝鮮が初めて日本海へのノドン弾道ミサイル実験を実施した年でもある。

 ミサイル防衛。イージス艦には新しい任務として加わる。特に1991年湾岸戦争以来アメリカが模索していた弾道ミサイル防衛という新任務が検討され始め、特に1998年に北朝鮮が初めて実施したテポドンミサイルによる日本列島上空を飛翔しての太平洋への試験と核開発の本格化により、ミサイル防衛は戦域防衛から国家防衛システムへ必要性が急騰します。

 まや型は、こうして既存のイージス艦が能力向上によりミサイル防衛能力を追加改修されるなか、海上自衛隊では初めて竣工時からミサイル防衛対処能力を有するとともに、ニフカ海軍先進情報網への連接性能を有するイージス艦として完成しました。またここ十年間、中国海軍の急激な太平洋及び南シナ海への進出活性化にも、対応することとなりました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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