北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都幕間旅情】法然院,紅葉の季節到来とともに静けさ求め法然さん懐かしむ草庵の探訪

2023-11-15 20:23:27 | 写真
■東山の法然院
 清水寺を筆頭に京都の有名寺院は2020年と2021年と2022年と年々人が多くなってきています。

 法然院、紅葉の季節が近づくとともにそろそろ見物客が増えるであろう頃合いの前に静かな拝観として心を休めよう、ということもありまして一つ歩み伸ばしました。カメラバッグを背に、あの堂々とした東山の峰々へ歩み伸ばしましたが、さてその混雑度は。

 左京区鹿ケ谷御所ノ段町、銀閣寺こと慈照寺のお隣、といいますと凄く分かりやすいのですが、敷地こそ隣接しているものの曲がりくねった細い道で繋がっているところで、核シェルターの様な駐車場付の住宅や、小粋を具現化したような住宅街で隔てている。

 善気山法然院萬無教寺、静けさこそ、という寺院であると考えている法然院さんは、まだ紅葉の前であり、紅葉の混雑ともまだ無縁でした。そう、銀閣寺の参道には飲食街の風情と賑やかさがありますが、法然院さんのまえには湯豆腐のお店が一つあるきり。

 六時礼讃行。この法然院は実は古寺古刹の風情はあるのですが、その開山は江戸時代の延宝8年こと西暦1680年、新しい寺院でもあります。しかしこの草庵、というに相応しい茅葺の山門が迎える寺院は、法然さんが六時礼讃行を勤しんだ草庵を再現した。

 白砂壇という、茅葺の山門をくぐりまして拝観の際にその左右の白砂壇、その狭間を通りますと雑念が抜けるという。年中雑念だらけで、この情景をどう写真表現しようかと考える雑念と共に通り抜けたのですが、この雑念の調和が純粋、ということなのかな。

 方丈庭園 は地水を中心としましたいわゆるところの浄土庭園でありまして、ここからは名水として有名な善気水が湧き出しています。ガラス枯山水というものが、キングギドラの護国聖獣のように生えていまして、前衛というか懐の深さが垣間見えるのです。

 善気水、京都の名刹には多くの自然湧水が浄土式庭園をその真髄たる清冽さで潤していたのですが、実のところ大正昭和を経て枯れる自然湧水が数えきれないという事で、いまは平成令和、その兆候に拍車がかかっているのですが、善気水はいまも自噴している。

 阿弥陀如来坐像を奉じる御本堂は延宝9年こと西暦1681年の造営、もともとは客殿として幕府の支援で造営されたものですが、客殿でこの大きさですと本堂はあまりの大寺となりかねない、ということで客殿をそのままご本堂として阿弥陀様を奉じた歴史が。

 浄土庭園にいまの善気水が自噴し続ける背景には、大きくなりすぎない、という、逆に言えば京都の街は大きくなりすぎた故に庭園以外に必要となる水が多くなりすぎ、地下水掘削と大規模工事にて枯れていった繁栄の代償、ということになるのでしょうか。

 念仏三昧行の一つという六時礼讃行、法然さんが後白河天皇の追善菩提ということで八坂引導寺にて執り行った浄土宗六時礼讃がその始まりということで、それは建久3年こと西暦1192年まで遡ります。起源は中国の僧善導による往生礼讃がはじまりという。

 浄土宗の六時礼讃行というのは一日を日没と初夜、中夜又は半夜と後夜、 晨朝と日中、つまり申から酉の刻と戌から亥の刻と子から丑の刻に寅から卯の刻と辰から巳の刻そして午から未の刻に分けて修行するということ。文字通り一日中、ということになる。

 親鸞さんも浄土真宗の正信念仏偈として取り入れている六時礼讃行ですが、これを執り行った草庵を再現したものが法然院ということで、何もないところに在ってたという事ではなく、もともとここにも法然さんの草庵があって、再現したというらしいのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】三千院,天然色司る原色の苔絨毯と覆い隠せぬ気候変動と夏の猛暑の影響を考える

2023-11-15 20:00:31 | 写真
■紅葉は厳しいかも
 急激な温度変化を前にさて秋は何処へ行ったのかと訝しむところですが去ったとはいえあの灼熱という他ない異常な真夏の温度は実は紅葉の朱色紅色に確実に影響しています。

 本堂とともに、苔の様子は、新緑の新鮮さをたたえてはいるのだけれども幾分その先端が疲れているような黄土色の穂先を醸しているのは、これは夏の猛暑という関係があるのでしょうか、それとも秋をむかえた、という季節到来を機敏に感じ取った仕草なのか。

 紅葉は、厳しいかもしれませんね。こう聞くことが多いのです、そういうのも既に十月初旬に朱色を帯びた紅葉が多い、もちろん紅葉の前兆という木々もあるのですが、どちらかというと紅葉の前に葉先が枯死している、もう紅葉と勘違いの方も多いのですけれども。

 苔を猛暑より一段上、いや二段か三段上の灼熱から守るために散水して真夏に守ろうとした寺院は、しかし遣り過ぎた水が溜まり、直射日光で熱せられてぬるま湯以上の風呂のように熱を持ってしまい、長湯しすぎて枯れた苔のお寺を幾つか知っているのですが。

 気候変動、という言葉は知っていますし、実感するところなのだけれども、風景というものを一変させてしまうような状況、これは考えるとデジタル一眼レフを手に本格的な風景写真を撮影し始めた2005年と比べると、実は顕著に変化しているのだと痛感する。

 豪雪が降りました今年の冬を思い起こせば、まあ冬は寒いし気候というのはこんなものさ、と誤解してしまいそうですが、大陸寒気団は気候変動の起こす温暖化が永久凍土を溶かし沿海部の淡水濃度を高めたことが一時的に氷結を促し形成された、気候変動による。

 酷暑猛暑といわれるものですが、果たして今年の夏のようなもの、2022年も2021年も確かに暑かったものなのですけれども、ここまで厳しかったか、2022年などは初夏だけが熱く八月は平年並みの猛暑ではなかったか、と2023年の夏とともに改めて思い返す。

 2023年のような猛暑が常態化した場合、さくらの木々はかなり枯死して、沖縄の様なでいごの花を植えねばならないのではないか、あの花は朱色が美しくそして熱さにはつよいけれども三年に一度しか開花しない、そしてなにより日本の植物相が変わってしまう。

 トヨタのガソリン車から航続距離が同等に長いアウディの電気自動車に乗り換えて務めて移動は北海道でも九州でも安価な旅客機よりは新幹線を利用する、と簡単に対策を考えた場合でも、経済的に可能とするにはもっと経済を活性化せねばならない、となる。

 ホンダの水素自動車を海洋太陽光発電によりメガフロート上で海水電気分解により水素を生成して、とか、いややはり原子力発電を再評価してその技術上にウランに頼らない常温核融合発電を実用化、というような技術論は聞くのだけれども、机上論理では、とも。

 京都でも30度前後の夏というようなものが、常温核融合やEV電気自動車にE-VTOLの空飛ぶクルマで温室効果ガスが抑制されて、元の気候に戻るのかといわれると、いや考えているのは温室効果ガス削減だけ、とどうしても頼りない答えが専門家からも聞こえる。

 COVID-19新型コロナウィルス感染症世界的拡大に際して、世界が都市封鎖を掲げた中にあってウィズコロナとして、コロナと共に生きるほかない、という、映画のシン・ゴジラのような発言が政治から示されたように、気候変動と共に生きるほかないのかな、と。

 猛暑の夏の後に来る紅葉はどうしても遅くなるという、ただ冷夏の夏よりは葉が萎まないともいう、けれども、枯死しているような椛は来年また青椛の青葉を取り戻すのだろうか、こう懸念することが毎年の風物詩のようになるのでは、と思ってしまうのですよ、ね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ情勢-激戦地アヴディイフカのロシア軍突出と対砲兵戦へのランセットドローンの投入

2023-11-15 07:00:30 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 砲兵精度の低さを補っているのかという素朴な疑問と火砲の射程をどの程度と見積もってランセットドローンを投入しているかが気になります。

 ロシア軍は対砲兵戦へ火砲ではなく小型無人機自爆攻撃を優先使用している、イギリス国防省ウクライナ戦況報告11月1日付発表において概要を解説しています。自爆由生無人機はランセットドローンとも呼ばれるもので、ロシアではザラアエログループが製造を担当、この企業は偵察用小型無人機オルラン10の製造も担当しているとのことです。

 ランセットドローンはロシア軍にとり、野砲が命中精度の低さから優先目標に対して多数の弾薬を必要としつつ弾薬使用規模に見合う効果が得られない状況に対して高精度の装備として認識されていて、特に対砲兵戦ではウクライナ軍の火砲という点目標に有用な装備となっているという。ロシア軍は上記の通り過去数か月間で対砲兵戦を一新しました。
■S-400ミサイル撃破
 ウクライナへのF-16教育が開始されている中でウクライナ空軍を脅かす地対空ミサイルに打撃が加えられたもよう。

 ウクライナ軍はロシア軍のS-400地対空ミサイルシステムを少なくとも4基破壊したとみられる、イギリス国防省ウクライナ戦況報告11月1日付最新情報が状況を報告しています。既に10月26日のロシア国内報道でルハンスク州において3基のS-400ミサイルシステムが破壊されたとしていて、ウクライナ軍は更に1基をクリミアで破壊した。

 ロシア軍は戦域航空優勢確保に地対空ミサイルを重視しており、射程の大きなS-400ミサイルが短期間で複数破壊されたことは航空優勢への不確定要素を示すとともに、運用に一定の練度が必要とされる広域防空システムが操作要員とともに失われたことは、その補填が簡単ではない事を示す。S-400は対空用と共に地対地用にも用いられています。
■アヴディイフカ再攻撃
 かなりの激戦になっている。

 ロシア軍はアヴディイフカ再攻撃に際し危険な突出部を形成している、軍事作戦において突出部は側面を突かれる危険と同義であり側面攻撃に備えた陣形が求められるが、11月1日時点でのロシア軍はこの慎重さを伴わなかったと思われ、ウクライナ軍はロシア軍側面を通るH20高速道路から1㎞以上浸透し、突出部の分断に成功しつつあるもよう。

 アヴディイフカでのロシア軍側面攻撃の成功可否については現在分析中であるものの、ロシア軍攻撃軸は突出部先端においてクバンアルタとクラスノホリフカ北方及び西方の三方向攻撃に集中しており、H20高速道路からのウクライナ軍分断が成功した場合、アヴディイフカ攻撃の主力を一気に殲滅できる可能性が出ており、注視すべき概況です。

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