■防衛フォーラム
今回は欧州とアメリカの戦車に関する最新情報を纏めましたが本邦でも10式戦車に続く戦車開発が継続されており具体的な方向性がどうなるのかが関心事です。
フランス国防省は独仏共同戦車計画MGCSの初期概要を発表しました。これは9月22日にパリ近郊において開かれた独仏会議において示されたもので、ドイツのレオパルド2主力戦車とフランスのルクレルク主力戦車を置き換える新型戦車の共同開発を進めていますが、ドイツとフランスの主力戦車運用に関する認識齟齬は懸念されていました。
MGCSメイングランドコンバットシステム、計画ではレーザー兵器の採用や無人機運用能力とロボット装甲車両との連携能力などが盛り込まれていますが、ドイツとフランスの主力戦車運用に関する認識齟齬として、ドイツは戦車を機動兵器として運用し、フランスは機動力よりもその名の通り陸上戦闘全般への支援能力を重視している点があります。
パリ近郊での両国会合では、この問題、戦車は戦場を走り回り機動力を前提とした運用に資するか戦域内での戦域優位への構成要素として用いる窯では踏み込まず、戦闘支援能力へのAI人工知能の重要性を共有、ハイパーコネクティビティという概念と戦闘クラウドという概念を戦車の運用面に持ち込むという点で認識の一致を見た、とのことでした。
■スコーピオン計画
MGCSでドイツとフランスが同床異夢に陥っている可能性としてMGCSという名称に何処にも戦車を意味する単語が入っていないのですよね。
MGCSメイングランドコンバットシステムの初期概要について、フランス陸軍は成功した装輪装甲車計画であるスコーピオン計画の概念を主力戦車の設計へも持ち込むことを構想しているようです。これは9月22日にパリ近郊において開かれた独仏会議において三種類のMGCSメイングランドコンバットシステム概要が示され一端をしめしています。
スコーピオン計画では、フランス軍が装備する多種多様な装甲車両を一種類の基本車両に統合するものとし、40mmCTA機関砲を搭載したジャガー装甲偵察車がAMX-10RC装甲偵察車やERC-90空挺機動砲とVAC-90装甲機動砲を置き換え、大量に配備されたVAB軽装甲車をジャガーと車体を共通化させた安価なグリフィン装輪装甲車により置き換えた。
MGCSメイングランドコンバットシステム概要では、三種類の内、第一に大口径機関砲と大型砲塔を備えた車両、第二に大口径戦車砲と機関砲を備えた車両、第三に大型の無人機若しくは徘徊式弾薬6機と機関砲を備えた車両を示し、砲塔はすべて異なるものの車体部分を共通化させたものを提示、車体に対し砲塔が大型である点が共通となっていました。
■イタリア戦車部隊再編
緊急という事であれば用途廃止が始まった90式戦車を5年程度緊急貸与してはと思うのですよね、日本とイタリアはGCAP戦闘機計画で秘密情報などを共有する訳ですし。
イタリア陸軍はレオパルド2A8主力戦車調達とともに機械化部隊再編を計画しています。これは10月17日に発表された来年度予算文書に基づくもので、2023年7月に発表したアリエテ主力戦車の稼働数不足を補うレオパルド2A8戦車調達決定は正式に予算化されたこととなります。イタリア陸軍はNATO加盟国の割り当てとして戦車133両が必要に。
レオパルド2A8戦車の取得は一括取得ではなく多年度に分割取得する計画であり、イタリアの予算案では2024年度分として先ずドイツから1億ユーロ規模の戦車を購入するとしています。イタリア陸軍では戦車関連予算として2037年までに40億ユーロの支出を想定していますが、同時に調達する戦車の新型開発参加も含めて検討しているとのこと。
EMBT、イタリア国防省によればレオパルド2A8戦車の調達とともに将来調達する戦車にはドイツとフランスが進めるEMBT欧州戦車計画に基づくメイングランドコンバットシステムプロジェクトへの参加可能性にも考慮しているといい、また予算支出に際してイタリア国内防衛産業へ考慮が明示されることから製造参加の可能性も模索しているもよう。
■M-10ブッカー装甲機動砲
42tというのはショートトン単位ですので間もなく全廃される74式戦車と同じ38tとなりますが米軍が空挺部隊であってもこうした装備を配備させる点は日本も学ぶべきではないのか。
アメリカのジェネラルダイナミクスランドディフェンス社はM-10ブッカー装甲機動砲の量産型を発表しました。これはワシントンDCにおいて開かれたAUSAアメリカ陸軍協会年次大会において発表されたのもので、オーストリアとスペインが共同開発したASCOD装甲戦闘車の車体に105mm砲を搭載したグリフィンⅡのアメリカ軍仕様最新型です。
M-35戦車砲は105mm口径で、APDS弾の場合は有効射程1.8kmでありHE弾の場合で有効射程が4kmという。戦闘重量は42tで陸軍によれば戦車ではない装甲機動砲であるが突撃砲としての運用を想定しているという。2023年末までにLRIP初期低量生産分の車両の納入が開始され、2024年も含めLRIP生産のM-10は96両が量産される計画です。
第82空挺師団が最初の配備部隊となり、先ず2025年までに師団直轄の機動砲大隊を置き、大隊は3個中隊編成、師団を構成する3個歩兵旅団戦闘団へ一個中隊づつ分散配備される場合と、2個中隊で縮小大隊を編成し師団直轄運用を行うとともに1個中隊を予備戦力や旅団戦闘団へ配備する運用を構想、陸軍全体では最大で504両を調達する構想がある。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は欧州とアメリカの戦車に関する最新情報を纏めましたが本邦でも10式戦車に続く戦車開発が継続されており具体的な方向性がどうなるのかが関心事です。
フランス国防省は独仏共同戦車計画MGCSの初期概要を発表しました。これは9月22日にパリ近郊において開かれた独仏会議において示されたもので、ドイツのレオパルド2主力戦車とフランスのルクレルク主力戦車を置き換える新型戦車の共同開発を進めていますが、ドイツとフランスの主力戦車運用に関する認識齟齬は懸念されていました。
MGCSメイングランドコンバットシステム、計画ではレーザー兵器の採用や無人機運用能力とロボット装甲車両との連携能力などが盛り込まれていますが、ドイツとフランスの主力戦車運用に関する認識齟齬として、ドイツは戦車を機動兵器として運用し、フランスは機動力よりもその名の通り陸上戦闘全般への支援能力を重視している点があります。
パリ近郊での両国会合では、この問題、戦車は戦場を走り回り機動力を前提とした運用に資するか戦域内での戦域優位への構成要素として用いる窯では踏み込まず、戦闘支援能力へのAI人工知能の重要性を共有、ハイパーコネクティビティという概念と戦闘クラウドという概念を戦車の運用面に持ち込むという点で認識の一致を見た、とのことでした。
■スコーピオン計画
MGCSでドイツとフランスが同床異夢に陥っている可能性としてMGCSという名称に何処にも戦車を意味する単語が入っていないのですよね。
MGCSメイングランドコンバットシステムの初期概要について、フランス陸軍は成功した装輪装甲車計画であるスコーピオン計画の概念を主力戦車の設計へも持ち込むことを構想しているようです。これは9月22日にパリ近郊において開かれた独仏会議において三種類のMGCSメイングランドコンバットシステム概要が示され一端をしめしています。
スコーピオン計画では、フランス軍が装備する多種多様な装甲車両を一種類の基本車両に統合するものとし、40mmCTA機関砲を搭載したジャガー装甲偵察車がAMX-10RC装甲偵察車やERC-90空挺機動砲とVAC-90装甲機動砲を置き換え、大量に配備されたVAB軽装甲車をジャガーと車体を共通化させた安価なグリフィン装輪装甲車により置き換えた。
MGCSメイングランドコンバットシステム概要では、三種類の内、第一に大口径機関砲と大型砲塔を備えた車両、第二に大口径戦車砲と機関砲を備えた車両、第三に大型の無人機若しくは徘徊式弾薬6機と機関砲を備えた車両を示し、砲塔はすべて異なるものの車体部分を共通化させたものを提示、車体に対し砲塔が大型である点が共通となっていました。
■イタリア戦車部隊再編
緊急という事であれば用途廃止が始まった90式戦車を5年程度緊急貸与してはと思うのですよね、日本とイタリアはGCAP戦闘機計画で秘密情報などを共有する訳ですし。
イタリア陸軍はレオパルド2A8主力戦車調達とともに機械化部隊再編を計画しています。これは10月17日に発表された来年度予算文書に基づくもので、2023年7月に発表したアリエテ主力戦車の稼働数不足を補うレオパルド2A8戦車調達決定は正式に予算化されたこととなります。イタリア陸軍はNATO加盟国の割り当てとして戦車133両が必要に。
レオパルド2A8戦車の取得は一括取得ではなく多年度に分割取得する計画であり、イタリアの予算案では2024年度分として先ずドイツから1億ユーロ規模の戦車を購入するとしています。イタリア陸軍では戦車関連予算として2037年までに40億ユーロの支出を想定していますが、同時に調達する戦車の新型開発参加も含めて検討しているとのこと。
EMBT、イタリア国防省によればレオパルド2A8戦車の調達とともに将来調達する戦車にはドイツとフランスが進めるEMBT欧州戦車計画に基づくメイングランドコンバットシステムプロジェクトへの参加可能性にも考慮しているといい、また予算支出に際してイタリア国内防衛産業へ考慮が明示されることから製造参加の可能性も模索しているもよう。
■M-10ブッカー装甲機動砲
42tというのはショートトン単位ですので間もなく全廃される74式戦車と同じ38tとなりますが米軍が空挺部隊であってもこうした装備を配備させる点は日本も学ぶべきではないのか。
アメリカのジェネラルダイナミクスランドディフェンス社はM-10ブッカー装甲機動砲の量産型を発表しました。これはワシントンDCにおいて開かれたAUSAアメリカ陸軍協会年次大会において発表されたのもので、オーストリアとスペインが共同開発したASCOD装甲戦闘車の車体に105mm砲を搭載したグリフィンⅡのアメリカ軍仕様最新型です。
M-35戦車砲は105mm口径で、APDS弾の場合は有効射程1.8kmでありHE弾の場合で有効射程が4kmという。戦闘重量は42tで陸軍によれば戦車ではない装甲機動砲であるが突撃砲としての運用を想定しているという。2023年末までにLRIP初期低量生産分の車両の納入が開始され、2024年も含めLRIP生産のM-10は96両が量産される計画です。
第82空挺師団が最初の配備部隊となり、先ず2025年までに師団直轄の機動砲大隊を置き、大隊は3個中隊編成、師団を構成する3個歩兵旅団戦闘団へ一個中隊づつ分散配備される場合と、2個中隊で縮小大隊を編成し師団直轄運用を行うとともに1個中隊を予備戦力や旅団戦闘団へ配備する運用を構想、陸軍全体では最大で504両を調達する構想がある。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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