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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空防衛作戦部隊論(第二六回):航空防衛力、戦闘支援の列線整備能力と検査隊整備

2015-12-20 21:35:29 | 防衛・安全保障
■戦闘機の列線整備と検査隊
 前回F-35Bに脱線しましたが、F-15とF-2にF-4の戦闘機分散運用整備基盤について、コンテナへの整備機材事前備蓄方式ですが留意点が二つ、それは整備機材の予備機材調達予算と保管方法です、そしてもう一つどこまで整備するか、も。

 航空自衛隊は強大な中国空軍とロシア空軍の勢力に近接し、特に前者は我が国領域の一方的領有化と割譲を宣言し高射とは領土問題を抱えるほか冷戦期における対立の影響が残る、この中で自衛隊が保有する戦闘機数は欧州NATO諸国や豪州等太平洋地域の諸国と比較し充分な規模があり、周辺国空軍と比較し空輸能力と警戒管制能力や防空ミサイルの数的質的に特筆すべき点がある。

 我が国防空に際しては、その数的規模と質的規模の能力を最大限活かす事こそがその可否の分岐点にあり、我が国土に多数存在する空港を補助基地として運用、日本列島そのものを複合的な防空基盤とし戦闘機拠点基地を補完する、この為に、現在の航空団を大型航空団数個に再編し航空団隷下の飛行隊を分散展開させ、面での防空基盤を整備するべき、その為には分散する部隊へいかに補給と支援を維持し作戦能力を継続させるか、という視点で論述してまいりました。

 航空機整備、整備教育は航空自衛隊では浜松基地の第1術科学校において共通して教育を行います。浜松基地航空祭では第一航空団T-4練習機が多数配備されている旧浜松北基地が開放されるのですが、その滑走路向かい側に多数のT-4練習機等が置かれている様子が望見できます、旧浜松南基地で、そこが整備教育の総本山というべき第1術科学校です。この航空機整備も第一線部隊での航空機整備は列線整備と検査隊整備に大きく分ける事が出来る。

 この中で列線整備は、例えば航空祭などで展示される航空機が離陸準備を行い、離陸し飛行展示や編隊飛行を実施し、そののちに着陸し燃料補給を実施、兵装展示を行う場合は各種ミサイルや機関砲弾の補給を展示、その後少し間を置き再度離陸し大編隊や機動飛行を行う、この際に観客から見える位置にて行われている整備の様子が、誤解を恐れず説明すれば列線整備、ということ。

 検査隊整備は、定期整備と修理を担うもので故障航空機の再整備と復旧、工作小隊の支援を受ける事で、例えば機体にミサイル破片などを受け貫通孔が生じた場合、また機体が変形していないかのX線検査や超音波検査などを行う事が可能です。もちろん、大破した状態などでは復旧は出来ませんし、離着陸時に攻撃等を受け横転するなど損傷した場合等はメーカーによる重整備となります、しかし、それ以外であれば相応の復旧は想定しているようです。

 すると、臨時分屯基地での航空機整備は列線整備を行う程度にとどめるのか、航空団の整備補給群検査隊が実施するような第一線部隊での整備程度まで含めるのか、基地を臨時展開する際にどこまでの整備関連資材を輸送するかにより、その空輸規模と展開に要する時間が変わってきます。ここで難しいのは、列線整備部隊だけ展開した場合、基地に残される検査隊の位置づけで、この場合遊兵化しかねません。

 検査隊と共に整備能力を展開するか、ですが、臨時分屯基地と拠点航空基地、を明確に示し、一定以上損耗を受けた航空機は、多少困難があったとしても、陸路と海路を経て拠点航空基地へ移動するのか、若しくは暫定的に列線整備部隊のみを臨時分屯基地へ派遣し、その臨時分屯基地が72時間以上か96時間以上航空戦闘が散発的に継続し運用する場合には更に追加部隊として検査隊を派遣する、または航空団展開基地から基本は動くことなく、必要な修理部品を基地にて造成し、T-400練習機等有事の際には支援輸送に用い得る小型航空機により臨時分屯基地へ急速輸送する、という方式等が考えられます。

 整備機材の予備機材ですが、F-15戦闘機とF-2支援戦闘機にF-4戦闘機、航空自衛隊には三機種の戦闘機があります。もちろん整備機材には基本的な工具などで互換性を持つ器材は存在しますが、基本的に予備部品などの互換性はありません。この為度の機種の予備機材がどこに展開するという計画に基づき、どこに準備するか、という視点が必要となるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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