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フィリピン国際緊急援助統合任務部隊を設置、司令官に第4護衛隊群司令佐藤壽紀海将補

2013-11-19 22:36:04 | 防災・災害派遣

◆陸海空自衛隊1180名、フィリピン派遣

 政府は台風30号による甚大な被害を受けたフィリピンを支援するため15日、フィリピン国際緊急援助統合任務部隊の編成を自衛隊へ命じました。

Cimg_8895 フィリピン国際緊急援助統合任務部隊司令官は、呉基地の第4護衛隊群司令佐藤壽紀海将補が着任し、部隊は1180名を以て編成、佐藤壽紀海将補はヘリコプター搭載護衛艦いせ、とともにフィリピン方面へ進出し洋上から指揮を執ります。今回の統合任務部隊編制は当初航空機2機と人員50名の派遣規模では対応できない被害を受け増強されました。

Kuramaimg_9052_1 自衛隊では2004年12月26日のスマトラ島沖地震へインド洋大津波スマトラ島国際緊急援助隊へ、ヘリコプター搭載護衛艦くらま、を旗艦として輸送艦くにさき、補給艦ときわ、そしてアラビア海対テロ海上阻止行動給油支援任務の帰途にあった、イージス艦きりしま、など転用し併せ6隻を派遣していますが、部隊派遣規模では今回の派遣の方が大きくなり、過去最大規模となるでしょう。

Img_7046 戦後の自衛隊海外派遣としては史上最大の規模です。派遣部隊はフィリピン国際緊急援助統合任務部隊に加え、政府が大臣直轄部隊としてマニラにおくフィリピン現地運用調整所が協同し、フィリピン政府との調整をフィリピン現地運用調整所が実施し、統合任務部隊が実任務に当たる、ということ。

Aimg_2030 統合任務部隊の編制は、陸上自衛隊の衛生科部隊と航空科部隊より編制される医療航空援助隊、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦と補給艦に輸送艦より編成される海上派遣部隊、航空自衛隊の輸送機を以て編成される空輸隊から編制され、佐藤壽紀司令官へ部隊運用が一元化される。

Timg_8360_0 艦艇は、ヘリコプター搭載護衛艦いせ、輸送艦おおすみ、補給艦とわだ、三隻で、陸上自衛隊の輸送部隊と航空部隊に衛生部隊は東北方面隊より編成され、救援物資輸送と救命活動支援、更に防疫任務にもあたり、東日本大震災において第一線に立った東北方面隊が任務に当たるもよう。

Img_5656i 派遣航空機は、C-130H輸送機7機、KC-767空中給油輸送機2機、U-4多用途支援機1機、CH-47輸送ヘリコプター3機、UH-1多用途ヘリコプター3機の16機で、当初は2機の派遣だった点を踏まえれば機数は実に8倍に増勢されたこととなり、フィリピン空軍の空輸能力よりも高い規模といえます。

Himg_0998 過去の自衛隊海外派遣は、対テロ任務とイラク復興人道派遣の実施部隊と輸送部隊の規模が陸上自衛隊600名と海上自衛隊330名に航空自衛隊200名の1130名でしたので、今回の1160名は自衛隊海外派遣の規模として過去最大規模となります。

Eimg_7246 現地状況は非常に混乱しています。フィリピン政府は米比相互防衛条約などの関係上、外国軍隊の活動を大きく国内法で制限しているため、我が国として勝手に部隊を派遣する事は出来ず、防衛省自衛隊では自衛隊統合演習参加部隊を転用し、待機態勢を維持してきました。

Gimg_2946 その間、被災地ではフィリピン空軍の輸送力不足と完全に破壊されたインフラによりライフラインの復旧はもとより生存物資の供給さえままならず、一部では暴動と掠奪が発生、フィリピン軍は治安維持へ武装した部隊を派遣せざるを得ない状態となっています。現地情勢は万全ではありません。

Img_1923 また、被害地域の状況や犠牲者がどの程度であるのかもフィリピン政府が把握できていない状態であり、米比相互防衛条約によりフィリピン国内での軍事行動の制約が少ない米軍の救援活動でも情勢の厳しさが伝わりますが、自衛隊の任務完遂と無事の帰還を祈願する次第です。

北大路機関:はるな

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コメント (2)
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