ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ANNA/アナ』

2021-06-06 21:55:05 | 外国映画





 
日本では2020年に公開された、'19年製作のリュック・ベッソン監督によるアメリカ&フランス合作映画。

'80年代後半のモスクワを舞台に、荒れた生活を送ってた天涯孤独の女=アナ(サッシャ・ルス)が、自分を変えたくて海軍に志願したのをKGBに眼をつけられ、5年後に解放される条件でスパイになることを決意。過酷な訓練を耐え抜き、超一流の暗殺者に成長するのですが……

って、おいちょ待てよベッソンさん、またそれかよ!?ってw、全ての映画ファンからツッコミを受けたガールズ・アクション大作です。説明するまでもなく、リュック・ベッソン監督は『ニキータ』('90) から始まって『レオン』('94)、『フィフス・エレメント』('97)、『ジャンヌ・ダルク』('99)、『LUCY/ルーシー』('14) 等々、設定や時代背景は違えど女闘士の哀しい成長物語を繰り返し撮って来られた方。

でも、それで良いんじゃないでしょうか? 同じテーマにこだわるクリエイターは沢山いるし、特にアクション物は技術の進化でやれることの幅がどんどん広がってますから、かつて出来なかったことが今なら出来る!って、そう思ったらやらずにいられない気持ちはよく解ります。

ご本人がそう思われても需要が無けりゃ実現しないワケで、ベッソンさんのガールズ・アクションならまた観てみたいって私も思ったし、お互いが飽きるまでどんどん創れば良いのだと思います。

もちろん、まったく同じ話だとつまんないですから、我々を飽きさせない工夫、2020年代ならではの意匠がしっかり凝らされてて、私は楽しめました。

今回のヒロイン=アナは約束の5年が経っても自由を得られず、モチベーションを失いかけた時にCIAから「解放」を条件にKGB長官の暗殺を依頼され、二重スパイになっちゃう。おまけに両側のイケメン・エージェントと恋にも落ちw、果たして彼女はどっちの国と男を選ぶのか?っていうサスペンスにもなってる。今風でしょ?w

だから二重、三重、四重のどんでん返しが用意されてて、我々観客は何度も騙されることになります。そういうのは下手すると白けて途中から「どーでもええわ!」ってなっちゃうんだけど、さすがベッソンさん、ギリギリのところで引き留めてくれましたw

冷静に振り返れば100%あり得ない、普通なら「バカ映画」って言われそうなお話なんだけど、それを力技で面白く見せちゃうのがベッソン監督の真骨頂で、思えばこれまでの作品も(プロデュースに回った『96時間』等も含めて)全部そうでしたw

どんでん返しの繰り返しだけなら、私なんか真っ先に「どーでもええわ!」ってなっちゃうんだけど、やっぱり見せ方の工夫、アクションの面白さ、ヒロインの魅力などをちゃんと描いてくれたら素直に楽しめます。

ただし、後に残るものは一切ないですねw ゲーム性が強くなればなるほど浅く軽いものになっちゃいますから、『ニキータ』や『レオン』ほどは心に残らない。

今回は特に、アメリカとロシアのどっちが敵か味方か判んないって話だから、いくら殺してもカタルシスがまったく得られないのが残念と言えば残念。似たようなお話だった『アトミック・ブロンド』にも言えることで、世間の評価がいまいち芳しくない理由もそこにあるんだろうと思います。

そこはやっぱり、明確に悪いヤツらが敵で、共感できる理由でぶっ殺してくれる『96時間』の方が遥かにスッキリして良いです。そういう点で『ANNA』は足下にも及ばず、明日には忘れちゃう作品になりそうです。

ヒロインを演じたサッシャ・ルスはロシア出身のスーパーモデルだけど典型的な美人じゃなく、好みは岐かれそうです。だけど闘ってる時の顔つきと身のこなしがとにかくカッコいい!

あえてそういう人を監督はチョイスしたんだろうし、私が「んなアホな」と思いながらも最後まで楽しめたのは、彼女の容姿や演技をユニークに感じたからかも知れません。(ちゃんとヌードも見せてくれたし!)


 


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