ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ターゲットメン』#06

2020-09-28 00:00:05 | 探偵・青春・アクションドラマ










 
こちらは1971年10月から翌'72年の元旦まで、NET(現テレビ朝日)系列の土曜夜9時枠で全13話が放映された、NET&東映制作による秘密捜査官モノ。

日活のスーパースターだった小林旭さん初のテレビ作品であり、唯一の現代アクション物でもある本作は、東映の制作でありながら日活無国籍アクションの色合いが濃く、ちょっと泥臭かった千葉真一さんの『燃える捜査網』よりずっと「スパイ活劇」らしさに溢れてます。

ただし、看板スターである小林旭さんを徹底的に立て、完全無敵のスーパーヒーローとして描いてる点では、千葉さんや杉良太郎さんの番組とほとんど変わりませんw


☆第6話『東京タワー大爆発』

(1971.11.13.OA/脚本=池田一朗/監督=江崎実生)

オープンしたばかりのオリエントホテルが爆破され、その犯行を記者クラブに予告して来た「草加五郎」を名乗る犯人が、次のターゲットとして東京タワーの爆破を宣言するもんだから警視庁が驚いた!

そんなワケで極秘指令を受けた秘密捜査班「ターゲットメン」の中西(小林 旭)は、爆破のスペシャリストである草川(大辻伺郎)という暴力団員に眼をつけ、まずは用心棒として潜入し、敵対する関西勢力の暴力団員たちを片っ端から痛めつけます。理由は、ヤクザが大嫌いだからw

一方、イケメンターゲットメンの新山(若林 豪)はダイナマイトの密売人を装って草川の情婦=雪江(三枝美恵子)と接触。彼女を慕うレズ女(清水まゆみ)に邪魔されながらも草川に近づいていきます。

それで判ったのは、草川が癌に犯されて余命宣告を受けてること。そんな彼が東京タワーを爆破して何のメリットがあるのか? そして彼を操る暴力団の真の狙いは何なのか? 頭脳明晰な中西は、もっぱら暴力を駆使してその真相に迫っていくのでした。

なにせ『ターゲットメン』は刑事ドラマの革命作『太陽にほえろ!』が登場する直前の番組ですから、主役はあくまで事件であり、描かれるのは捜査とそれに伴うアクションのみ。人間ドラマはほとんどありません。

だから正直言ってあまり面白くないんだけど、今回のエピソードに限っては、ヤクザを忌み嫌う主人公=中西の心情が描かれてたり、東京タワー爆破予告の裏に現金輸送車襲撃計画があった!っていう『ダイ・ハード』ばりのストーリー、その両方の犯行を同時に食い止めるターゲットメンの活躍、おまけに草川の情婦=雪江の正体は新宿署の潜入捜査官だった!みたいな、最後まで二転三転する凝った内容でけっこう楽しめました。

ターゲットメンの紅一点=芳村(奈美悦子)の出番が1シーンしか無いのが残念だけど、そのぶん日活の全盛期に活躍され刑事ドラマへの客演も多い清水まゆみさん、そして本作と同じ放映日に『仮面ライダー』第33話にもゲスト出演(ブラジルから怪人を追って来日したコニー山田役)されてた三枝美恵子さんが花を添えてくれました。

けど、それより見所はやっぱり、全身全霊でカッコつけておられるマイトガイ=小林旭さんの俺ジナル溢れる演技に尽きます。『燃える捜査網』の千葉真一さんと同じで、その一挙手一投足を見てるだけで充分面白い。ストーリーなんかどうでもいいんですよねw

今回、実は最終回(#13)をレビューするつもりだったんだけど、小林旭さんがもうヤル気を無くされてたのか、あるいは急きょ打ち切りになって最終回のつもりじゃなかったのか、若林豪さんが主役の話で旭さんがちょっとしか登場しない。若林さんも魅力的ではあるんだけど、やっぱり旭さんが活躍しないと全然面白くないんですよね。

私は日活アクションの世代じゃないから小林旭ファンじゃないんだけど、それでもこの人が画面に映るだけでドラマが生まれるのを感じちゃうワケです。千葉さんや杉サマもそうだし、もちろん裕次郎さんに渡さん、ショーケンさんや優作さんも然り。そんなスターが現在のテレビドラマや映画には見当たりません。

作品のクオリティーだけ見れば現在の方が高いはずなのに、やっぱり昭和のスーパースターの圧倒的存在感には敵わない。これはもう、理屈じゃないんですよね。
 


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