2023年冬シーズン、NHK総合テレビジョン月曜〜木曜の深夜「よるドラ」枠でスタートした、まつだこうた&大間九郎 原作による人気コミックを実写化した毎回15分の連続ドラマ。
「よるドラ」はNHKさんが朝ドラの深夜バージョンとして、基本「若者層向け」に設置した15分のドラマ枠。それだけに斬新かつチャレンジングな作品が多く、いつも興味は引かれるんだけど如何せん若者向けだから「ハマる」ところまでは行きませんでした。
が、今回はちょっとハマりつつあります。なにせ番宣を観ただけじゃ一体どういう話なのかサッパリ解んない!w
まず最初に視聴候補から外すのは「ああ、そういうドラマね」って全容がだいたい読めちゃう番組で、今は(特に民放ドラマは)大半がそんなのばっかだから、まったく読めないと是非とも確かめたくなっちゃう。
50年以上もテレビばっか観てきた私が、番宣を観ても内容を把握できなかった『超人間要塞 ヒロシ戦記』とは一体、どういうドラマなのか?
タイトル通り、ヒロシ(豆原一成)という青年は「超人間要塞」で、アンドロイドとはちょっと違う。かなり違う。
恐らく超ミクロサイズの乗組員たちが中で操縦してるからマジンガーZみたいなスーパーロボット?かと思いきや、そうでもない。
↑ハイテクのようでいて、めっちゃ人力で動かしてるのが笑えますw
タイトルの「要塞」っていうのも実は正確じゃなく、恐らく何万人……いや、きっと億単位の「国民」たちが居住する「スカベリア姫国」の国家を搭載した、外生物擬態都市型宇宙要塞艦なんです。もう解りませんねw
とにかく、そんなヒロシがごく平凡な日本人になりすまし、餃子屋でアルバイトしてる。スカベリア姫国は「母星を失った」らしく、たぶん地球への移住を検討すべく調査してるんでしょう。
だから正体は絶対バラしちゃいけない。何より彼ら彼女らが恐れてるのは、地球人が大好きな「恋愛」という名のチョー濃厚接触。
ところが! ヒロシはバイト先のオーナーの娘=しずか(山之内すず)にロックオンされてしまう!
「ヒロシが地球人と恋愛的接触をすれば、機体がどれだけ損傷するのか、地球人の唾液や菌を国内に侵入させれば、国民をどれだけ危険に晒すのか、それが判ってない以上、私は大統領として、この恋愛という災害を未然に防がないとならないのです!」
ハジメ・カイゼル大統領(吹越 満)の要請を受け、乗組員たちはヒロシとしずかを波風立てずに引き離すべく、ミッションを開始します。
「これよりヒロシは、付かず離れずのトークを開始する! 角も立たず、明確な意志も伝えない、適度な相槌をセット!!」
「はいっ、相槌をセット!!」
てな感じでヒロシはさりげなく彼女を遠ざけようと全力を尽くすんだけど、まるで運命に導かれてるように2人の距離はどんどん近づいちゃう。
ていうか、しずか側のアプローチにまったく迷いがなく、こちらが躊躇してる間にどんどん押されちゃう。
で、スカベリア姫国が最も恐れてた、未曾有の事態がいよいよ発生!
そう、まだ交際が始まったワケでもないのに、しずかがヒロシの唇をいきなり奪ってしまった!
それは、咄嗟にエアバッグを作動させれば回避できたのに、副艦長のアケミ・バルドー(高山一実)がしずかの……いや、もしかするとヒロシ自身の恋心にシンクロしてしまい、フリーズした一瞬のスキに起こった不慮の事故。
そのとき、艦長のトオル・マキシム(斎藤 工)が手を下すことも出来たのに、アケミの顔を見た彼はなぜか動かなかった。
国民が激怒し、内閣解散の危機を招いた責任を1人で背負ったトオル艦長は、裁判で思いの丈をぶち撒けます。
「俺たちがさんざん怯え続けてきた前例のないケースが、問題どころかスカビリア国民の誰もまだ知らない明るい未来だとしたら、それでも奪う権利があるのかっ!?」
おかげで解任&終身刑を食らったトオルは、新艦長のアケミにスカビリア姫国の未来を託すのでした。以上、第4話まで。
どうやらこれは、思春期の恋愛における葛藤を政治に置き換えたようなお話で、たぶん、スカベリア国民っていうのはヒロシという青年を構成する「細胞」のメタファーなのかな?って、私は解釈しました。
未経験者にとって恋愛は怖いものであり、失敗を恐れるとなかなか踏み込めない。そんなリスクを背負うより、避けて通れば誰も傷つかなくてハッピーじゃん!みたいに思ってる若い子が増えてる現状を憂いつつ、だけど恋って実はこんなに楽しいものなんだよって、そういうことを言いたい作品なのかも知れません。
だとしたら、もはや今の私には全くどーでもいい話なんだけどw、かくも普遍的な人間の感情を「超人間要塞」クルーたちの「戦記」に見立てるという、私には到底できない発想がとにかく素晴らしい!
誰もが共感できるテーマを、まったく新しい形で見せるのが映像エンタメの醍醐味だと私は思うので、大いに支持したい! もちろんオススメです。
ファーストサマーウイカさんがスカベリア姫国のシンボルたる姫に扮するほか、大東駿介、小木茂光、しゅはまはるみ、金山一彦、近藤芳正etc...といったレギュラーキャスト陣。
ポートレートはしずか役の山之内すずさん(可愛い!)と、実質的に主人公となりそうなアケミ新艦長役の元・乃木坂46メンバー、高山一実さんです。