ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『富江/TOMIE』―2

2020-05-28 22:14:22 | 日本映画










 
『富江』の映画1作目は続編の数々とは趣が異なり、過去に富江(菅野美穂)と関わった女子大生=月子(中村麻美)がその忌まわしい記憶を潜在意識下に封印しており、心理カウンセラー(洞口依子)と刑事(田口トモロヲ)がそれぞれのやり方で過去の謎に迫っていくという、言わばミステリー仕立て。

その過程で徐々に、富江という得体の知れないものが明治時代から存在し、しかも惨殺され首チョンパされた筈なのに、どうやら今も生きてるらしいことが判って来る。

『~アンリミテッド』みたいに派手な展開を期待すると肩透かしを食らうけど、ゆっくりジワジワと恐怖が迫ってくるこの感じに、ホラーというより「恐怖映画」の原点を追究したであろう創り手の心意気が感じられて、私は楽しめました。

映像自体も'70年代のATG映画みたいなタッチで、ちょっと懐かしい感じがします。脇を固める洞口依子さんや田口トモロヲさんがまた、昭和の匂いをプンプンさせてくれるしw

ラストは、かつて富江殺害に関与してた親友の月子が、復活して現れた富江をまた殺しちゃう。そんな彼女の目尻に富江と同じような泣きホクロが表れて……という、思わせぶりな締め括りでした。月子も富江と同類である、突き詰めれば女性はみんな怖いんだ!って解釈すれば良いんでしょうか?w

そう感じるのは多分、私が日頃から潜在的に女性を怖がってるからで、富江こそ「女」そのものなんだと、菅野美穂さんのリアルな演技が余計にそう思わせてくれます。

この映画の監督さんも原作の伊藤潤二さんも、きっとそういう思いを『富江』に込められたんだろうと思います。だとすれば、原作の本質を最も的確に掴んだ映画が、この1作目って事になるのかも知れません。

 

PS. この記事の画像を見てると、富江にわざわざカウンセラーの先生と同じような服装をさせてるのが気になります。カウンセリングを行った池の畔と似た場所で月子が富江を殺してるし……

先生も殺されるんだけど、殺害シーンはあえて描かれておらず、もしかすると犯人は月子で、『~アンリミテッド』と同じように最初から富江の実体は存在しない、っていう解釈で創られた作品なのかも知れません。

月子役の中村麻美さんは女優ひとすじで活動された方で、2013年頃まで数多くの映画、ドラマに出演されてます。

心理カウンセラー役の洞口依子さんは、10代の時にいきなりヌードグラビア(某巨匠の激写シリーズ)で我々の股間を活気づけ、'85年の映画『ドレミファ娘の血は騒ぐ』主演を皮切りに女優道を邁進、これまた数多くの映画、ドラマでご活躍されました。現在は闘病中とのことで、また元気なお姿を拝見できることを祈っています。

 

コメント
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