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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#427

2021-05-09 23:55:05 | 刑事ドラマ'80年代










 
充実の『太陽にほえろ!』'80年夏シーズンの中でも、私が一番泣かされたエピソードがこれ。『太陽~』全史の中でも屈指の名作だろうし、ボス(石原裕次郎)活躍編では#355『ボス』と並ぶ最高傑作じゃないかと思ってます。

ストーリーは至ってシンプルだし、派手さは無いし、似たようなエピソードは他の刑事ドラマでも山ほど創られてるけど、やっぱり石原裕次郎さんが主役、しかも全編ほぼ出ずっぱりの活躍を見せてくれる、その吸引力がハンパなくて約45分があっという間に感じちゃう! つくづくスーパースターですよね。

裕次郎さんが大動脈癌でダウンされる、あの悪夢に見舞われるのはもうちょい先(翌年の春)だけど、これほど出番が多い作品は『西部警察』も含めて今回が最後じゃないかと思います。そういう意味でも特別なエピソード。


☆第427話『小さな目撃者』(1980.10.10.OA/脚本=長野 洋/監督=山本迪夫)

団地の防犯講習会に招かれ、講演を終えたボスがその日の夕方、自宅マンションに帰る途中で迷子の幼い少女(山本亜季)と出逢います。

なぜか一言も口を聞かない少女だけど、どうやらボスのことを知ってるらしく、片時もボスから離れようとしません。

迷子の捜索願いは出されておらず、とりあえず警察病院で診察してもらったところ、どうやら彼女は何らかの精神的ショックで失語症になってるらしい。

身元が判らない以上どうすることも出来ず、仕方なくボスは少女を自宅に連れて帰るのでした。

そしたら子持ちの山さん(露口 茂)や長さん(下川辰平)、新婚のロッキー(木之元 亮)から矢継ぎ早に電話が掛かって来て、異口同音に言うんですよね。「しょせん独身のボスには無理だからウチで面倒見ますよ」ってw

翌日の捜査会議でも、山さんと長さんが「ウチで預かるよ」「いやウチが」と揉め始めて、スコッチ(沖 雅也)に「先に事件の話をしましょう」って注意されてショボンとしたりw、そうしてクールに振る舞ってるスコッチも実は密かに少女の新しい洋服を買ってたり等、刑事たちのふだん見られない人間臭さが細かく描写されてるのも、実に新鮮で楽しい!

で、そんなやり取りの中で、少女がボスのおしゃれなネクタイに執着してることが判ります。それはボスが例の講習会で締めてたネクタイで、団地のマダムたちに「奥様のお見立てですか?」なんて冷やかされた注目の一品。もしかしたら彼女は、母親に付き添ってあの講習会に来ていた?

それで講習会の会場に少女を連れて行き、その足取りを追うことで、ついに彼女が暮らす家が判明します。中を調べてみると、そこには置時計で頭を殴られたと見られる、少女の母親(下村節子)の他殺死体が……!

そう、その少女=真弓は、母親が殺される現場を目撃してしまい、あまりのショックで口が聞けなくなったのでした。

演じる山本亜季さんの一挙手一投足がとにかく可愛くて可憐で、しかもセリフが無いもんだから芝居臭さも感じなくて、すっかり感情移入させられた私はもう、この段階で号泣ですw

どうやら犯人はこの家に侵入した空き巣で、恐らく買い物から帰って来た真弓の母親と鉢合わせした、いわゆる居直り強盗。そいつが奥の部屋でお昼寝してた真弓の存在に気づかなったのは、不幸中のせめてもの幸いでした。

で、気丈にも真弓が自らの意志で描いた似顔絵から、そいつがヘルメットを被ってたことも判り、犯人像が徐々に見えてきます。

真弓の父親はタンカーの航海士で長期不在中であることも判り、これ以上事件に関わらせるワケにいかないと判断したボスは、断腸の思いで彼女を擁護施設に預けます。

ところが、それが裏目に出ちゃう。先走ったマスコミが事件を大々的に報じ、真弓の顔写真まで公開してしまった上、彼女が施設を脱走して行方不明に。もし犯人に見つかったら殺されるかも知れない!

七曲署は広報車で市民に情報提供を呼び掛けるんだけど、それは真弓が今ひとりでいることを犯人に知らせてしまう危険な賭けでもある。

いても立ってもいられなくなったボスは、もしやと思って殺人現場となった真弓の家に駆けつけます。案の定、奥の部屋から恐る恐る出てきた真弓は、ボスを見た途端に抱きついて来るのでした。

「真弓ちゃん、泣いてごらん。思いっきり大きな声だして泣いてごらん」

こんなに怖くて、こんなに悲しい思いをしてるのに、真弓は声を出して泣くことも出来ないのです。

この犯人だけは絶対に許さん! 怒りに燃えるボスが、とりあえず真弓を署に連れて行こうと家を出たところに、情報を嗅ぎ付けた犯人が飛んで火に入る何とやらで、バイクでノコノコと現れます。

駆けつけたドック(神田正輝)に真弓を託し、ボスは自ら覆面パトカーをかっ飛ばしてバイクを追跡! 執念で河原まで追い詰め、西部署の団長が撃ちまくるショットガンより威力あるボスパンチ&ボスキックを1発ずつお見舞いし、みごと犯人を半殺しにするのでした。

こうして事件は解決したものの、真弓の家にお母さんは二度と帰って来ません。そして、真弓の声も未だに……

渡航先から飛んで帰って来た父親に抱きしめられても、まだ泣くことも出来ない真弓は果たして立ち直れるのか?

スコッチにプレゼントされた新しい洋服を着て、父親に連れて行かれる真弓を、署の玄関口でまたも断腸の思いで見送るボス。すると真弓が振り返り、走り寄ってボスを見上げ、懸命に失われた声を振り絞ります。

「………ボ………ス………」

「真弓ちゃん!?」

『奇跡の人』の「Water……」と並ぶ爆涙シーンです。これは「刑事さん」でも「おじさん」でもなければ「藤堂さん」でもない、ニックネームの「ボス」だからこそ、つまり『太陽にほえろ!』だからこそ泣けるんですよね。

「さよなら、ボス……」

「さよなら、真弓ちゃん……」

最後にやっと笑顔を見せ、手を振る真弓に、手を振り返すボスの眼がかすかに潤んでます。どうか、頼むから幸せになってくれ……そんな切なる願いが伝わって来ます。ホント、幸せになって欲しいです。

こうしてレビューしてもつくづくシンプルなお話で、名台詞と言えるようなセリフは特に無いのに、最後の「ボス」の一言だけで屈指の名作になっちゃった。思えば不思議な作品でもあります。

それも多分、やっぱりボスが主役だから、石原裕次郎さんが演じるからこそ、なんだと思います。少女の純粋さと裕次郎さんの「永遠の少年」っぽさが化学反応を起こして、感動を増幅させてる気がしてなりません。他の刑事ドラマで似たような話をやっても私は泣きませんでしたから。

裕次郎さんの芝居には「泣かせてやろう」なんて下心が微塵も感じられないし、山本亜季さんも勿論そう。だからこそ素直に泣ける。

もしかしたら現場にいたスタッフは皆さん「これ、ちゃんと視聴者に伝わるの?」って、不安に思いながら撮っておられたかも? それくらい、2人の空気感がどこまでも自然なワケです。

山さんや長さんも普段にも増して自然だし、あのMr.オーバーアクションのロッキー刑事ですら今回だけはやけに自然でしたw それを引き出した脚本や演出もまた素晴らしい!

シンプル・イズ・ベスト! それを証明した、まさに奇跡の逸品です。

 


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『太陽にほえろ!』#426

2021-05-05 21:40:17 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第426話『愛の終曲』(1980.10.3.OA/脚本=小川 英&尾西兼一/監督=高瀬昌弘)

ある夜、マンションの一室で殺人事件が起こります。現場の状況と目撃者の証言から、容疑はその部屋の住人である沖田(潮 哲也)にすぐ絞られます。

被害者の本間(松田茂樹)は、沖田と同居する妹=恭子(佳那晃子)の恋人で、彼女にプロポーズした矢先の惨劇。沖田は4年前にも恭子の恋人を鉄パイプで殴り殺しており、傷害致死罪の刑期を終えて出所したばかり。今回も妹への異常な執着による犯行と、まあ誰が見ても思うでしょう。

本間が殺された時、恭子も同じ部屋にいたんだけど、あまりのショックでその時の記憶を失ってる状態。

ただでさえ4年前に恋人を兄に殺され、その後で出逢った男たちも事件のことを知るとみんな逃げて行ったらしく、その中でただ一人逃げなかった本間が、また兄に殺されてしまった。そりゃ気が狂うほどのショックでしょう。

恭子のフォローを担当したスニーカー(山下真司)は、自分も妹と同居してるせいもあり、自然と彼女に肩入れしていきます。

「オレ、本間さんって人は、凄く立派だと思うんです。あんな兄貴がいる恭子さんを、それでも愛し抜こうとしたんだから」

一緒にマンションを張り込むゴリさん(竜 雷太)に、スニーカーは過去の恋愛話を勝手に告白し始めますw

かつて紀子(小林伊津子)という恋人がいたスニーカー。本当に好きで結婚も考えてたんだけれど……

「別れたのか?」

「……オレが逃げたんです。恭子さんから逃げた男たちと同じように、逃げたんですよ」

紀子の父親は他界しており、これから病弱な母親と、まだ高校生の弟の面倒まで見なくちゃいけない境遇。お見合い相手がそれを承知の上で求婚してくれたと紀子から聞いた時、スニーカーは何も言えませんでした。

「オレは逃げたんです。病気のお袋さんと、高校生の弟を抱え込む自信がない……ただそれだけの為に逃げたんですよ」

「…………」

このオレにそんな話を聞かされても……と内心困ってるに違いないゴリさんだけどw、構わずスニーカーは続けます。

「殺された本間さんは逃げなかった。オレ、素晴らしいと思うんです……あの二人を幸せにしてやりたかった!」

「あ……あい……愛っていうものは、その……本来そういうもんかも知れんなあ」

「は?」

「いや、それによって、幸せになる人もいれば、不幸せになる人もいる」

どうせ仕方なく、苦しまぎれにそう言ったに決まってるゴリさんだけどw、実はこの事件の本質を突いてたりします。

妹のことが心配で、ほどなくマンションに舞い戻った沖田は速攻で捕まり、あっさり罪を認めるんだけど、勿論そんな簡単に事件が解決したらドラマになりません。例によって山さん(露口 茂)が疑問を抱きます。

「4年前の時と違って、沖田の供述がハッキリしてる。いや、ハッキリし過ぎてる」

結婚話を聞かされ、逆上して殺したにしては、その時の状況を本人がよく憶えてるのが不自然ってワケです。

「沖田は何か嘘をついてるな」

もう皆さん察しがついてるでしょうからオチを先に書きますが、真犯人は恭子。4年前に彼女の恋人を殴り殺したのは確かに沖田だけど、そのせいで何人もの男に逃げられ、彼女は精神を病んでるのでした。

だけどスニーカーはどうやら彼女に惚れちゃったらしく、恋は盲目でなかなか気づきません。いや、恭子自身も本当に事件当夜の記憶を失っており、殺した自覚が無いワケです。

それで自殺未遂をやらかした恭子に、スニーカーはあの「泣き虫先生」の眼差しで、熱く語りかけます。

「約束して下さい。もう二度と死のうなんて考えない、そう約束して下さい。オレ、幸せになって欲しいんですよ」

「五代さん……」

「約束してくれますね?」

「はい」

新たな恋が芽生えた瞬間ですw 沖田の供述の裏付けや、引っ越し作業まで一緒にやってる内に、二人はどんどん距離を縮めちゃう。

やがて恭子の犯行を裏付ける証拠も見つかるんだけど、スニーカーは信じようとしません。

そもそも、本気で本間を愛してた恭子が、なぜ彼を殺さなきゃいけないのか? 藤堂チームの刑事たちは、本気で愛してたからこそ、また失ってしまうのが怖くてたまらなくなって、無意識に……と推理します。いくらなんでも、そんなヤツはおらんやろ~って私は思うけど、昭和の刑事ドラマじゃよくある話です。

その推理を踏まえた上で、スニーカーは恭子の部屋を訪れ、泣き虫先生の眼差しで彼女に言います。

「結婚して下さい」

恭子も涙目になってこう言いました。

「嬉しいです……嬉しいんです、私」

そして彼女はスニーカーの背後に回り、無意識に……

信じない……オレは信じない! 信じたくない!

そんなスニーカーの想いも虚しく、恭子は本間を殺した時と同じように、彫刻刀を背後から振り下ろそうとするんだけど、駆けつけたスコッチ(沖 雅也)とドック(神田正輝)に止められます。

「えっ?……私……」

「キミは病気なんだ。病気なんだよ」

連行されていく恭子の姿を、スニーカーはまともに見ることが出来ません。

「愛してます、五代さん……愛してます」

恭子の告白をもってこの愛は終わり、部屋にひとり残ったスニーカーは「しまった、先にチョメチョメしとけば良かった!」と密かに思うのでした。(憶測)




本当に好きだから、失いたくないから殺しちゃうっていう心理は、私にはまったく理解出来ないんだけど(だって、どのみち失っちゃうじゃん!)、極限まで精神を病んだらそんなことも起こり得る……のかも知れません。

この『太陽にほえろ!』でも、過去に殿下(小野寺 昭)やロッキー(木之元 亮)が似たようなケースに出くわしてますが、プロポーズにまで進展したのはスニーカーが初めてだったと思います。

それが本気だったのか、あるいは刑事として彼女を試すための詭弁だったのか、自分でもよく分からないとスニーカーはボス(石原裕次郎)に漏らすんだけど、そんなセリフ要らんやん、本気でしたでええやん!って、私なんかは思います。ホントどこまでも生真面目な番組ですよねw

兄の沖田がどれほど恭子に執着し、そのせいで彼女がどれほど酷い目に遭って来たか、それが台詞で語られるだけで具体的に描かれないのも、いまいちドラマに説得力が無い原因になってるんだけど、そんな暗くて悲惨なシーンを延々と見せられても気が滅入りますから、ライトタッチの青春ドラマ『太陽にほえろ!』としては妥当な処置だったと私は思います。

スニーカー=山下真司さんにロマンスが似合うのか?って問題もあるんだけど、少なくとも毛むくじゃらの先輩刑事よりは断然似合ってますw ちゃんと切なさが伝わって来たし、私はけっこうグッと来ました。

ゲストの佳那晃子さんは#390『黄色いボタン』に続いて二度目のご登場。プロフィールはその回のレビューに書いたと思うので今回は省略します。

前回(#425)の星野真弓さんといい、ゲストの女優さんに華があると作品のクオリティーもいくらか底上げされます。ホントこのシーズンは充実してました。


 


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『西部警察』#064~#065

2021-04-05 00:18:39 | 刑事ドラマ'80年代








 
☆第64話『九州横断大捜査網!!』/第65話『博多港決戦!!』(1981.1.4~1.11.OA/脚本=永原秀一&新井光/監督=小澤啓一)

「リキ」こと松田刑事役の寺尾聰さんが、その妻=星野真弓さんと初めて出逢い、交際するきっかけになったと思われる1981年正月第1弾、九州ロケの前後編です。

都内で精巧な偽一万円札が出回り、それを買い物に使ったカフェ店員のキョウコ(星野真弓)は結婚を間近に控えており、九州にいる兄のアキラから送られた祝い金を、どうやら偽札とは知らずに使ったらしい。

キョウコの結婚相手も九州におり、式も九州で挙げるとなると必ずアキラが現れるに違いない!ってことで、大門軍団は二宮係長(庄司永健)を東京に残して全員九州へ直行! 番組スポンサーの関連企業を巡りつつ決戦に備えます。

そして当日、案の定ノコノコと挙式に現れたアキラは、口封じの為に偽札組織から命を狙われ、あろうことか花嫁姿のキョウコが巻き添えを食って撃たれてしまう!

世にも愚かなこの兄=アキラを演じてるのが、前回レビューした『太陽にほえろ!』#425でも星野さんを死なせかける愚か者を演じた、三景啓司さん。偶然の一致なのか、あるいは星野さんとバーター(抱き合わせ)のキャスティング?

それはともかく、あとは逃げたアキラを追う偽札組織と大門軍団の死闘が2週に渡って描かれ、カーチェイス→銃撃戦→爆破の無限ループが続いていきますw

そして悪党どもを皆殺しにした後は、キョウコのやり直し結婚式をなぜか木暮課長(石原裕次郎)が仕切りw、それを物陰から見守る団長(渡 哲也)と手錠で繋がれたアキラ、いう大団円。もちろん今回も東京にはすぐ帰らず、事件と何の関係もない明子(古手川祐子)を呼びつけて、皆で朝まで豪遊するのでしたw

そんなワケで、星野真弓さんは花嫁姿を披露するものの出番はそれほど多くなく、リキ=寺尾聰さんと直接絡むシーンも残念ながらありません。

ただ、地方ロケとなると毎晩のように打ち上げという名のドンチャン騒ぎを催した筈なのでw、親しくなるチャンスはいくらでもあった事でしょう。どっち側からアプローチしたのか気になるところではあります。

しかしそれにしても、やっぱり『西部警察』のアクションはスケールの桁が違います。地方ロケになると尚更、スポンサーの関連企業とタイアップ出来るし、規制の厳しい都内じゃ不可能なことも出来たりするから、普段にも増して派手になっちゃうワケです。

のちに番組オープニングのタイトルバックで使われるカークラッシュや爆破シーンが今回いくつか見られるし、おそらく日本のTVドラマじゃ空前絶後であろう、ホバークラフトを使った水上チェイスは圧巻の一言! 確かジャッキー・チェン氏も『レッド・ブロンクス』あたりの映画でやってたけど、こっちの方がずっと早い!w

同じ星野真弓さんをゲストに呼んでも『太陽にほえろ!』とは全然違いますよねw 世間じゃ混同されがちだけど、こうして並べるとホント対照的。『太陽~』は青春ドラマで『西部~』はアクションドラマ。そもそもジャンルが違うワケです。

こんな凄いテレビ番組が毎週観られて当たり前だった時代に、青春を過ごした我々は果たして幸か不幸か?w 謎解きに明け暮れる昨今の刑事ドラマにちっとも満足出来ないのは、ああいう時代を知ってるがゆえの不幸なんですよね。



コメント (3)
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『太陽にほえろ!』#425

2021-04-03 12:30:02 | 刑事ドラマ'80年代










 
寺尾聰さんの妻=星野真弓さん(当時19~20歳)のゲスト作です。

ファッションモデル出身で化粧品のCMに多数出演され、資生堂がスポンサーだった『太陽にほえろ!』への出演は自然な流れかも知れないけど、'80年当時は他にもいろんな番組でお見かけした記憶があり、相当な期待を背負わされた「絶賛売り出し中!」の若手女優さん、という印象。

だけど早くに結婚して芸能界をスッパリ引退されてるので、Wikipediaにもプロフィールが記載されておらず『太陽~』以外のゲスト出演作は『西部警察 (パート1)』の九州ロケ編(#64と#65)ぐらいしか把握できてません。寺尾さんとはその時の共演がきっかけで結ばれたと思うんだけど、その詳細も不明です。

それともう1つ、うっすらと憶えてるのが『土曜ナナハン学園危機一髪』っていうフジテレビ系列の単発ドラマ枠。不定期に放映されてた90分弱のスペシャルドラマで、内容は毎回違うんだけどオープニングタイトル(主題歌は甲斐バンド)だけ統一されており、それに星野真弓さんが河合宏さんと一緒にイメージキャラクターとして出演されてました。


☆第425話『愛の詩―島刑事に捧ぐ』

(1980.9.26.OA/脚本=小川英&古内一成/監督=高瀬昌弘)

七曲署捜査一係室を、ユミ(星野真弓)という若い女の子が訪ねて来て「島さん、いますか?」なんて言うもんだから、刑事たちがさあ困った。

島刑事=殿下(小野寺 昭)は2ヶ月前に交通事故で亡くなったばかり。たぶん殿下と一番親しかった同僚であろうゴリさん(竜 雷太)が、代表してその事実をユミに伝えます。

激しく動揺したユミを、ゴリさんは覆面車でアパートまで送りがてら代わりに相談に乗ろうとするんだけど、彼女は口を閉ざしてしまう。貴公子に会いたくて来たのに、なにせゴリさんですw スコッチ(沖 雅也)やドック(神田正輝)が相手ならともかくですw

どうやら何かの事件でユミと知り合った殿下が、身寄りのない彼女に仕事を紹介したり、アパートの保証人になったりと世話を焼いたらしく、今回ユミが会いに来たのも殿下を頼りたい何らかの事情があったはず。

しかも、ドックとスニーカー(山下真司)がナンパしようとして失敗した少年課婦警の話によると、ユミは少年課の常連客で補導歴8回!という、筋金入りの不良少女だったらしい。

そんな彼女が殿下とどういう関わりを持ち、何を相談したかったのか? ただならぬ何かを感じてつきまとうゴリさんに、イラついたユミは本性を表し始めます。

「忘れたよ、島さんの事なんか」

初めて会った時のしおらしさはどこへやら、ユミはずっと歳上のゴリさんにタメ口を聞くのは序の口、いきなり炭酸ジュースをぶっかけて「何すんだっ!?」と怒鳴られても、涼しい顔で「島さんは怒らなかったよ」と、世にも優しい刑事と云われた殿下のことを何度も引き合いに出し、ゴリさんのコンプレックスを刺激します。

そんな折り、パトロール警官が襲撃され拳銃を奪われる事件が発生。犯人は日本舞踏の公演会場に侵入し、その銃を使って1千万円を超える祝儀金を強奪します。

目撃者の証言から犯人はプータローの三郎(三景啓司)とすぐに判明。ところが、最近その三郎と親しくしてた女がどうやらユミらしい!という情報をスコッチ(沖 雅也)から聞かされ、ゴリさんは激しく動揺します。

三郎の強盗計画に、もしユミが関わってるとしたら……殿下に会いにきた真の目的は、まさか、彼の拳銃を奪うことだった……?!

そう考えれば辻褄が合ってしまうんだけど、殿下の死を知らされた時のユミの動揺と、その後に見せた涙が嘘だったとはどうしても思えず、ゴリさんは珍しくスコッチの前で混乱します。

「ねえ、ゴリさん。島さんが彼女の心の中に残していったもの……俺だってそれは信じたいですよ」

スコッチにそう言われて平常心を取り戻したゴリさんだけど、ユミが三郎の強盗計画に協力し、奪った金を山分けするつもりだったこと、そして殿下に会いに来たのは拳銃が目的だったこともあっさり認めちゃったもんで、またもや頭に血が昇ります。

「三郎が私を人質にすれば、必ず拳銃を渡すと思ったのよ。あの人、お人好しだから」

「なんだと?」

「彼さ、私に気があったからさ。拳銃だまし取るなんてワケないと思ったのよね」

その瞬間、渾身のゴリパンチ……はさすがに女子相手だから控え目に、だけどアントニオ猪木級の威力はありそうなゴリビンタが炸裂し、一緒にいたロッキー(木之元 亮)が顔を毛まみれにして慌てます。

「何すんのよっ!?」

「おいっ、俺は殿下とは違うぞ。殿下ならこれでも我慢したかも知れん。キミが立ち直る気になるまで待ったかも知れん。だが俺にはそんな真似は出来ん! 今度またバカな真似をしてみろ! 容赦なくぶちこんでやるからそう思えっ!!」

「やるならやってごらんよ! あんたなんかに捕まるもんかっ!!」

ああ、またやっちまった……と悔やんだ顔をするゴリさんだけど、私はそれでこそゴリさん!って言いたいです。だから殿下より好きなんだよ!って。

そりゃあ、すぐに怒ったり手を上げたりするのは誉められたもんじゃないけど、聖人君子はやっぱりつまんない。パーフェクトな優等生になんか魅力は無いですよ。

まぁしかし、ユミの反抗心を煽ってしまったのは失態と言うほか無く、凹んだゴリさんは七曲署の署長室に飾られた殉職刑事たち……マカロニ(萩原健一)、ジーパン(松田優作)、テキサス(勝野 洋)、ボン(宮内 淳)、そして殿下の遺影を見つめ、心の中で謝るのでした。

そこへ山さん(露口 茂)がやって来て、ユミが不良仲間たちに殿下のこと、つまりイケメン刑事が自分に惚れてるという自慢話を吹聴してた事実を告げます。

「それが腹立つんですよ。どうしてそんな見方しか出来なかったのか……」

「出来なかったんじゃなくて、そうあって欲しかったんじゃないか?」

「山さん……殿下に惚れてもらいたかったって事ですか?」

「ユミのような女の子には、自分に関心を持つ男、そうであって欲しい男は、みんな自分に気がある男なんだよ」

「それじゃ、ユミが殿下の拳銃を狙ったのは、殿下にもっとかまってもらいたかったから? もっと自分の方に向いて欲しかったからですか?」

「1つの見方だ、ゴリさん。殿下に逮捕されることも、彼女の計画の1つだったかも知れん」

だけど殿下がもういないとなると、ユミの目的はもはや金しかない。もし、山分けの約束を果たさせる為に、ユミが三郎に近づいたら……

「彼女の命が危ない!」

案の定、ユミに金を要求された三郎は彼女を殺そうとするんだけど、必死のパッチで駆けつけたゴリさんに加え、ドック、ロッキー、スニーカーという大男ばかり4人から袋叩きにされ、死にかけますw かつては『太陽~』新人刑事役候補の1人だった三景啓司さんなのに、あまりと言えばあまりな扱いですw

「遅いじゃない! もうちょっとで殺されそうだったんだから!」

ユミは三郎に会う前にその場所をボス(石原裕次郎)に知らせており、どうやら本当は金が目当てじゃなく、ゴリさんに手柄を立てさせたかったみたいです。

「ごめん、これでも一生懸命……」

「おんなじなんだよね、ホントは」

「え?」

「私、島さんにも殴られた事あるんだよ」

「…………」

これにはグッと来ました。殿下も実は聖人君子なんかじゃなく、欠点を抱えながらも懸命に頑張る、ゴリさんと同じ普通の人間だった。だからユミに慕われたワケです。「つまんない」なんて書いてすみません!w

「よかったな、殿下……」

かくして事件は無事に解決し、捜査一係室にゴリさん宛で可愛い花束が届けられます。贈ったのはもちろんユミで、刑事たちは冷やかすのですが……

「この花は俺に来たんじゃない。殿下に来たんだ」

ゴリさんはそう言って殿下が使ってた机に花瓶を置くんだけど、今その席についてるドックはたまったもんじゃありませんw


殉職刑事が遺していったものを読み解くストーリーも刑事ドラマの定番で、ファンにとっては嬉しいプレゼント。

殿下の婚約者だった三好恵子(香野百合子)も2ヶ月ぶりに登場してくれたし、署長室に飾られた殉職刑事たちの遺影……と呼ぶにはあまりにラフな姿をとらえた写真の数々もw、長年の番組ファンにはたまらんものがあります。

その写真、他では見たこと無いレアなショットばかりで、特にマカロニのあまりにマカロニらしい表情と、なんでそれ使う!?って言いたくなるテキサスの顔、そしてなぜかリーゼントみたいになっちゃってるボンの髪型がツボですw


 

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『太陽にほえろ!』#424

2021-03-31 09:40:08 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第424話『拳銃を追え!』(1980.9.19.OA/脚本=小川英&尾西兼一/監督=山本迪夫)

ストーリーは至ってシンプル。スコッチ(沖 雅也)が追ってた拳銃の売人が射殺され、調べたらすでに三挺のコルト45口径リボルバー(実際はトルーパー=38口径だけどw)が売却されてることが判明、執念の捜査でその行方を追うスコッチの姿が描かれます。

その内の一挺を買ったかも知れない人気俳優の立花(倉石 功)は「確かに銃は好きだし海外で射撃はするけど、あくまで道楽ですよ」と言って笑います。バカですねw 我らがスコッチ刑事を甘く見ちゃいけません。

素早く愛銃COLTトルーパー6インチを引き抜いたスコッチは、人気俳優の顔にいきなり銃口を突きつけ、一緒にいたロッキー(木之元 亮)を顔が毛まみれになるほどビビらせます。

「拳銃って物はね、遊びや道楽で済むもんじゃないんですよ。持てばいつか必ず撃ちたくなる。人を殺したくなるんです!」

「じゃ、じゃあ、刑事さんもそうですか? しょっちゅう人を殺したくなるんですか?」

「そうです!」

これは単なる脅しじゃなく、スコッチの本音だろうし、だからこそ銃を軽く考えてるヤツが許せないし、流通してしまった三挺をこうして必死に追ってるワケです。

私も銃が大好きだけど、それは刑事ドラマのヒーローが使うアイテムだから好きなだけであって、本物を持ちたいとは全く思いません。その理由は、まさにスコッチが言った通りです。持てばいつか、必ず人を殺してしまう。それは私が狂ってるからじゃなく、普通の人間だからこそです。それが人間の本質だからです。

立花は顔面蒼白になりながらも、拳銃の購入はあくまで否定。それを信じるワケじゃないけど、有名人だけにすぐさま誰かを撃ち殺すような真似はしないと見たスコッチは、他の容疑者を探します。

で、次に判明した容疑者(壇 喧太)は七曲署藤堂一家の若手班(スコッチ、ドック、ロッキー、スニーカー)が銃撃戦の末、見事な連携プレーで逮捕。

すると間髪入れずに町のチンピラが射殺され、犯人はそいつにカツアゲされそうになったスーパー店員の相原(二叉一成)と判明、使われた拳銃もCOLT45口径と断定されます。

その相原が横浜に潜伏してるという情報を掴んだスコッチは、ホラ吹きで知られるタレコミ屋(二見忠男)の情報にすべてを賭け、海外逃亡ルートを仲介してるらしい屋台のラーメン屋を連日、徹夜で張り込むのでした。もちろん、結果はスコッチの勝ち。

そして最後の一挺は、俳優の立花が自ら出頭したことで無事に押収。スコッチの脅し……じゃなくて諭しがちゃんと伝わったワケですね。


それほど派手なアクションシーンは無いし、前述のとおり話はすこぶるシンプルなんだけど、とにかくスコッチが拳銃を抜く、構える、そしてまたホルスターに納める、その所作1つ1つがいちいちカッコいいもんで、撃たなくたってちっとも退屈しない。

振り返れば、全編通してスコッチはたったの2発しか撃ってない! しかも、その内1発は威嚇射撃! 『西部警察』や『大激闘』じゃ考えられない事ですw

謎解きも人情話もナシ、派手なアクションもナシ。なのに「ああ、今回もカッコ良かった!」って満足させちゃうスコッチ刑事=沖雅也さんの凄さ、そして『太陽にほえろ!』って番組の凄さですよね。

いや、もちろんスコッチ1人の功績じゃなくて、今回は若手刑事たちのサポートも光りました。特に、ドック(神田正輝)とスコッチのコンビネーションがたっぷり見られる機会って、実はかなりレアだったりします。

やがて沖さんが体調を崩され、アクションシーンが激減するにつれスコッチはベテラン寄りのポジションにシフト。代わってドックが若手のリーダーになって行きますから、2人が一緒に行動する機会からして少なくなっちゃう。

当然、若手4人が揃って連携プレーを見せてくれる機会も無くなっていくワケで、それがタップリ見られる今回のエピソードはかなり貴重。ホントこの時期は充実してました。

ちなみに今回からスニーカー(山下真司)の使用拳銃が『シティーハンター』の冴羽獠と同じCOLTパイソン357マグナムの4インチにチェンジされてます。

それまで使ってたコンパクトグリップ仕様のトルーパー4インチは壊れたのかと思いきや、今回の犯人たちが使ってる「COLT45口径リボルバー」がどうもソレっぽいですw


 

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