ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#425

2021-04-03 12:30:02 | 刑事ドラマ'80年代










 
寺尾聰さんの妻=星野真弓さん(当時19~20歳)のゲスト作です。

ファッションモデル出身で化粧品のCMに多数出演され、資生堂がスポンサーだった『太陽にほえろ!』への出演は自然な流れかも知れないけど、'80年当時は他にもいろんな番組でお見かけした記憶があり、相当な期待を背負わされた「絶賛売り出し中!」の若手女優さん、という印象。

だけど早くに結婚して芸能界をスッパリ引退されてるので、Wikipediaにもプロフィールが記載されておらず『太陽~』以外のゲスト出演作は『西部警察 (パート1)』の九州ロケ編(#64と#65)ぐらいしか把握できてません。寺尾さんとはその時の共演がきっかけで結ばれたと思うんだけど、その詳細も不明です。

それともう1つ、うっすらと憶えてるのが『土曜ナナハン学園危機一髪』っていうフジテレビ系列の単発ドラマ枠。不定期に放映されてた90分弱のスペシャルドラマで、内容は毎回違うんだけどオープニングタイトル(主題歌は甲斐バンド)だけ統一されており、それに星野真弓さんが河合宏さんと一緒にイメージキャラクターとして出演されてました。


☆第425話『愛の詩―島刑事に捧ぐ』

(1980.9.26.OA/脚本=小川英&古内一成/監督=高瀬昌弘)

七曲署捜査一係室を、ユミ(星野真弓)という若い女の子が訪ねて来て「島さん、いますか?」なんて言うもんだから、刑事たちがさあ困った。

島刑事=殿下(小野寺 昭)は2ヶ月前に交通事故で亡くなったばかり。たぶん殿下と一番親しかった同僚であろうゴリさん(竜 雷太)が、代表してその事実をユミに伝えます。

激しく動揺したユミを、ゴリさんは覆面車でアパートまで送りがてら代わりに相談に乗ろうとするんだけど、彼女は口を閉ざしてしまう。貴公子に会いたくて来たのに、なにせゴリさんですw スコッチ(沖 雅也)やドック(神田正輝)が相手ならともかくですw

どうやら何かの事件でユミと知り合った殿下が、身寄りのない彼女に仕事を紹介したり、アパートの保証人になったりと世話を焼いたらしく、今回ユミが会いに来たのも殿下を頼りたい何らかの事情があったはず。

しかも、ドックとスニーカー(山下真司)がナンパしようとして失敗した少年課婦警の話によると、ユミは少年課の常連客で補導歴8回!という、筋金入りの不良少女だったらしい。

そんな彼女が殿下とどういう関わりを持ち、何を相談したかったのか? ただならぬ何かを感じてつきまとうゴリさんに、イラついたユミは本性を表し始めます。

「忘れたよ、島さんの事なんか」

初めて会った時のしおらしさはどこへやら、ユミはずっと歳上のゴリさんにタメ口を聞くのは序の口、いきなり炭酸ジュースをぶっかけて「何すんだっ!?」と怒鳴られても、涼しい顔で「島さんは怒らなかったよ」と、世にも優しい刑事と云われた殿下のことを何度も引き合いに出し、ゴリさんのコンプレックスを刺激します。

そんな折り、パトロール警官が襲撃され拳銃を奪われる事件が発生。犯人は日本舞踏の公演会場に侵入し、その銃を使って1千万円を超える祝儀金を強奪します。

目撃者の証言から犯人はプータローの三郎(三景啓司)とすぐに判明。ところが、最近その三郎と親しくしてた女がどうやらユミらしい!という情報をスコッチ(沖 雅也)から聞かされ、ゴリさんは激しく動揺します。

三郎の強盗計画に、もしユミが関わってるとしたら……殿下に会いにきた真の目的は、まさか、彼の拳銃を奪うことだった……?!

そう考えれば辻褄が合ってしまうんだけど、殿下の死を知らされた時のユミの動揺と、その後に見せた涙が嘘だったとはどうしても思えず、ゴリさんは珍しくスコッチの前で混乱します。

「ねえ、ゴリさん。島さんが彼女の心の中に残していったもの……俺だってそれは信じたいですよ」

スコッチにそう言われて平常心を取り戻したゴリさんだけど、ユミが三郎の強盗計画に協力し、奪った金を山分けするつもりだったこと、そして殿下に会いに来たのは拳銃が目的だったこともあっさり認めちゃったもんで、またもや頭に血が昇ります。

「三郎が私を人質にすれば、必ず拳銃を渡すと思ったのよ。あの人、お人好しだから」

「なんだと?」

「彼さ、私に気があったからさ。拳銃だまし取るなんてワケないと思ったのよね」

その瞬間、渾身のゴリパンチ……はさすがに女子相手だから控え目に、だけどアントニオ猪木級の威力はありそうなゴリビンタが炸裂し、一緒にいたロッキー(木之元 亮)が顔を毛まみれにして慌てます。

「何すんのよっ!?」

「おいっ、俺は殿下とは違うぞ。殿下ならこれでも我慢したかも知れん。キミが立ち直る気になるまで待ったかも知れん。だが俺にはそんな真似は出来ん! 今度またバカな真似をしてみろ! 容赦なくぶちこんでやるからそう思えっ!!」

「やるならやってごらんよ! あんたなんかに捕まるもんかっ!!」

ああ、またやっちまった……と悔やんだ顔をするゴリさんだけど、私はそれでこそゴリさん!って言いたいです。だから殿下より好きなんだよ!って。

そりゃあ、すぐに怒ったり手を上げたりするのは誉められたもんじゃないけど、聖人君子はやっぱりつまんない。パーフェクトな優等生になんか魅力は無いですよ。

まぁしかし、ユミの反抗心を煽ってしまったのは失態と言うほか無く、凹んだゴリさんは七曲署の署長室に飾られた殉職刑事たち……マカロニ(萩原健一)、ジーパン(松田優作)、テキサス(勝野 洋)、ボン(宮内 淳)、そして殿下の遺影を見つめ、心の中で謝るのでした。

そこへ山さん(露口 茂)がやって来て、ユミが不良仲間たちに殿下のこと、つまりイケメン刑事が自分に惚れてるという自慢話を吹聴してた事実を告げます。

「それが腹立つんですよ。どうしてそんな見方しか出来なかったのか……」

「出来なかったんじゃなくて、そうあって欲しかったんじゃないか?」

「山さん……殿下に惚れてもらいたかったって事ですか?」

「ユミのような女の子には、自分に関心を持つ男、そうであって欲しい男は、みんな自分に気がある男なんだよ」

「それじゃ、ユミが殿下の拳銃を狙ったのは、殿下にもっとかまってもらいたかったから? もっと自分の方に向いて欲しかったからですか?」

「1つの見方だ、ゴリさん。殿下に逮捕されることも、彼女の計画の1つだったかも知れん」

だけど殿下がもういないとなると、ユミの目的はもはや金しかない。もし、山分けの約束を果たさせる為に、ユミが三郎に近づいたら……

「彼女の命が危ない!」

案の定、ユミに金を要求された三郎は彼女を殺そうとするんだけど、必死のパッチで駆けつけたゴリさんに加え、ドック、ロッキー、スニーカーという大男ばかり4人から袋叩きにされ、死にかけますw かつては『太陽~』新人刑事役候補の1人だった三景啓司さんなのに、あまりと言えばあまりな扱いですw

「遅いじゃない! もうちょっとで殺されそうだったんだから!」

ユミは三郎に会う前にその場所をボス(石原裕次郎)に知らせており、どうやら本当は金が目当てじゃなく、ゴリさんに手柄を立てさせたかったみたいです。

「ごめん、これでも一生懸命……」

「おんなじなんだよね、ホントは」

「え?」

「私、島さんにも殴られた事あるんだよ」

「…………」

これにはグッと来ました。殿下も実は聖人君子なんかじゃなく、欠点を抱えながらも懸命に頑張る、ゴリさんと同じ普通の人間だった。だからユミに慕われたワケです。「つまんない」なんて書いてすみません!w

「よかったな、殿下……」

かくして事件は無事に解決し、捜査一係室にゴリさん宛で可愛い花束が届けられます。贈ったのはもちろんユミで、刑事たちは冷やかすのですが……

「この花は俺に来たんじゃない。殿下に来たんだ」

ゴリさんはそう言って殿下が使ってた机に花瓶を置くんだけど、今その席についてるドックはたまったもんじゃありませんw


殉職刑事が遺していったものを読み解くストーリーも刑事ドラマの定番で、ファンにとっては嬉しいプレゼント。

殿下の婚約者だった三好恵子(香野百合子)も2ヶ月ぶりに登場してくれたし、署長室に飾られた殉職刑事たちの遺影……と呼ぶにはあまりにラフな姿をとらえた写真の数々もw、長年の番組ファンにはたまらんものがあります。

その写真、他では見たこと無いレアなショットばかりで、特にマカロニのあまりにマカロニらしい表情と、なんでそれ使う!?って言いたくなるテキサスの顔、そしてなぜかリーゼントみたいになっちゃってるボンの髪型がツボですw


 


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3 コメント

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Unknown (かつおわかめ)
2021-04-04 10:33:18
こんにちは。
署長室の殉職刑事の遺影は「ジュンの復讐」の回でも登場します(マカロニ、ジーパン、テキサス)。
この回とは別ショットの顔写真ですが、やはり「何でそれ遺影に使っちゃう?」的な顔写真ばかりです(笑)。特にテキサスは後ろ振り向いた写真ですし(笑)。
せっかくの感動シーンなのに、もうちょっとまともなスチール写真残ってなかったんですかね?
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Unknown (harrison2018)
2021-04-04 10:42:28
そこまで想定してなかったから仕方がない、って事なんでしょうけど、それにしても、ですよねw

警察手帳に貼られる証明写真はちゃんと制服姿になってて良かったけど、ブルースがヒゲを生やしてた時期に、手帳の写真もヒゲ面だったのにはガクッとしましたw 先を読んでちゃんと準備しとかないとねえw
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Unknown (かつおわかめ)
2021-04-04 11:05:53
追伸。ご存知と思いますが、「ジュンの復讐」では、降板した勝野さんが声のみゲスト出演しています。
亡くなったテキサスが「天の声」として警察犬ジュンに語りかけるシーンで、遺影写真がズームアップします。
どうせなら声だけではなく、勝野さんにテキサスの顔写真も新たに撮らせて貰うと良かったかもしれません。
ショーケンさん、優作さんは降板してから年数が経っていたので、適当なスチール写真が残っていないのは致し方ないかもしれませんね。
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