なぜか近藤春菜さんも混じってますが、ボス(石原裕次郎)もスコッチ(沖 雅也)もお元気だった七曲署捜査一係の黄金期メンバーです。
救世主にして次世代リーダーのドック(神田正輝)に引っ張られ、スニーカー(山下真司)も見違えるほど元気になり、新たにホームドラマ担当のポジションを与えられたロッキー(木之元 亮)もまた、見違えるように活き活きしてます。
だから逆に、それぞれのポジションを奪われた形になるゴリさん(竜 雷太)と長さん(下川辰平)の影が薄くなったように感じるのは、決して気のせいじゃない。お二方が翌々年に揃って降板されるのも、決して偶然じゃないだろうと私は思います。
あっ、でも奪った側のロッキーも同時に殉職するんでしたっけ……つくづくムチャな番組だ!w(ホームドラマ担当は後にトシさん、マミー、ブルースらが引き継ぎます)
セミレギュラーの吉野巡査(横谷雄二)と令子さん(長谷直美)、そしてスニーカーとチョメチョメしたナーコさん(友 直子)もみんな元気です。
女性読者の皆さん、↑ こんなハンサム2人にこんな距離で尋問されたら、どうします? 私はもしUQ三姉妹(深田、多部、永野)にこの距離まで来られたら、死にますw
そして山さん(露口 茂)主演の#438『取調室』をもって1980年が暮れ、明けて1981年、いよいよ『太陽にほえろ!』最大の試練がやって来ます。
でも、きっと大丈夫。山さんに任せろ!
いつぞやはスコッチ(沖 雅也)とデキてる説が囁かれたナーコさん(友 直子)ですが、なんと! この画像をご覧下さい ↓
スニーカー(山下真司)よ、なにをする?! その手はなんだ?!
スコッチは慰安旅行の記念写真でナーコの肩を抱いてるように「見えただけ」なのに、スニーカーは明らかに! そればかりか、ナーコの耳元でヒソヒソと卑猥な言葉を!……かどうかは判らないけど、とにかく堂々とイチャイチャしている!
これは完全に、意図的な演出ですよね? 山下さんが勝手にやったとしたらさすがにNGでしょう。長さん(下川辰平)やゴリさん(竜 雷太)がよくやるスキンシップとは意味合いが違っちゃいますから。
制作側に何らかの狙いがある筈で、後に2人をくっつけるプランでもあったか、あるいはちょっとした話題作り(宣伝戦略)なのか?
ドック(神田正輝)が登場して以来、スニーカーがちょっと軟派寄りにキャラ変しつつあったから、それを強調しようとしたのかも?
とにかく、気がつけばナーコがスニーカーのそばにいることが多い。そして更に、この場面 ↓
事件解決の打ち上げで乾杯した際、ナーコがスニーカーと密かにアイコンタクトをとった瞬間を私は見逃しませんでしたw これは演出とは思えず、つい無意識にお互い見ちゃった感じ。
スニーカーがよりによってボスの不在時に降板、しかも殉職という花道を飾らせてもらえなかった本当の理由は、実は山下真司さんが友直子さんにマジで手を出しちゃった事へのペナルティーなのかも?!
どうするスコッチ?!
以前にも書きました通り、スコッチの画像集は1980年いっぱい迄、つまり今回をもって終了にしたいと思ってます。
沖雅也さんが心身共に調子を崩され、'81年は出番が減るどころか出演されない回も多くなり、そもそも載せられる画像が少なくなるし、アクティブな活躍が無くなると似たようなポーズや構図の画ばかりになっちゃうだろうから。
それともう1つ。'81年の作品をあらためて観ると、沖さんの調子の悪さがリアルに画面から伝わって来ちゃうんですよね。前年に比べて明らかに精気が減退してるのが判っちゃう。それをわざわざ静止画で見るにはツラいものがあるから……
あと、治療の副作用でボディーがふくよかになっちゃう=その姿をマジマジと見られることを沖さんは決して望まないだろう、っていう思いもあります。
だから、沖さんがまだ元気いっぱいで、スコッチ刑事が一番カッコよかった'80年の勇姿だけを、是非とも皆さんの眼に焼きつけて頂くべく、ここで有終の美を飾りたいと思います。
とは言っても作品のレビューには今後もフツーに登場されますから、別にスコッチとお別れするワケじゃありません。引き続き楽しんで頂ければ幸いです。
☆第437話『ニセモノ・ほんもの』
(1980.12.19.OA/脚本=小川英&四十物光男/監督=斎藤光正)
競馬場の馬券売場で1枚の精巧な偽造1万円札が発見され、それを見たスコッチ(沖 雅也)が眼の色を変えます。
それは3年前に70枚ほど出回ったニセ札と同じタイプで、その事件は未解決のまま。当時、スコッチは若林(佐野浅夫)という印刷工が犯人だと確信するも、証拠がどうしても見つからず逮捕出来なかったのでした。
現在は写真屋として働く若林を訪ねたスコッチに、彼は「あんた、まだ俺を疑ってんのか? いい加減にして欲しいぜ、まったく」と最初から喧嘩腰。
「なにを偉そうに……どうせニセモノだらけの世の中じゃないか、刑事さん」
「なんですか、あの態度は?」と顔を毛むくじゃらにしながら怒る今回の相棒=ロッキー(木之元 亮)の暑苦しさとは対照的に、スコッチは「当然だろう、ヤツがシロだとすれば」と涼しい顔。
「滝さん、今でもヤツをホシだと思ってるんですか?」
「いや、容疑者には常にシロの可能性もある。俺は確かめたい」
そうは言いつつ、あれだけ精巧なニセ札は誰にでも造れるモノじゃなく、スコッチは若林以外に犯人はいないと確信してるんだけど、そこで思いがけない新たな容疑者が浮かんで来ます。今回発見されたニセ札から、菊田(井上博一)という前科者の指紋が検出されたのでした。
菊田は公文書偽造のプロである上、ギャンブラーで常に借金を抱えており、普通に考えればそいつが犯人ってことで万事解決なんだけど、それでもスコッチは若林をマークし続けます。
「3年前に若林を逮捕した意地ですか?」
「かも知れんな。人を逮捕するってのはそういう事じゃないのか? あいつが裁かれるか、俺が裁かれるか……2つに1つだ」
ロッキーの凡庸でダサい質問に対して、スコッチの返しがいちいちカッコいいですw
そんなスコッチの執念により、若林が近年、何の繋がりも無いはずの菊田の身辺を調べ回ってた事実が判明します。
3年前のニセ札と今回のニセ札は一見、同じ原版から造られたように見えるけど、実は微妙な差違があり、同じ製造者が新たに造り直した可能性がある。そして印刷のクオリティーは、なぜか今回の方が遥かに高い!
思い返せば、3年前にスコッチの取り調べを受けた時、若林は「こんなみっともないニセ札を俺が造るか!」と憤慨していた。そう、原版はどちらも若林の作品だけど、印刷した人間が違うのでした。
「これは若林の復讐なんだ!」
3年前、スコッチに若林のネタを提供した情報屋(奥村公延)が、実は遊び人の田代(沖田駿一)にも同じ話を漏らしてた!という事実を掴み、いよいよスコッチは真実に辿り着きます。
3年前のニセ札は、遊び人の田代から情報を得た菊田が、こっそり若林の工場から原版を盗んで印刷したモノだった。そして、それが許せなかった若林が今回、警察に菊田を逮捕させる為にわざわざ原版を造り直し、新しいニセ札を1枚だけ刷ったに違いない!
けれどそのニセ札に若林は、どうやって菊田の指紋を付けたのか? その疑問も、スコッチが執念の捜査で解決して見せます。
「指紋を、印刷?」
そう、超一流の印刷工だった若林にとって、菊田が競馬場で呑み捨てたカップ酒の瓶から指紋を採取し、ニセ札と同じように原版を造って「印刷」することなど朝飯前なのでした。
つまり今回のニセ札に関しては、菊田は完全にシロ。そして若林は何も証拠を残しておらず、結局は菊田も若林も逮捕できない袋小路。
「イチかバチか、やってみるか」
スコッチを全面的に信頼するボス(石原裕次郎)の許可を得て、スコッチは菊田を釈放して泳がせる賭けに出ます。
油断した菊田は運転免許証の偽造を依頼され、借金返済のために引き受けるんだけど、もちろんその依頼人はスコッチが用意したニセモノ。
スコッチらに尾行されてるとも知らず、菊田は町の小さな印刷所を訪ねます。恐らく3年前にも其処でニセ札を印刷した……であろうけど確証は無く、ダサいロッキーは「もう少し慎重に調べてから手入れしては?」と尻込みするんだけど、もちろんカッコいいスコッチは怯みません。
「いや、一発勝負だ。やり直しは利かん」
自分1人で責任を負うべく、ロッキーとスニーカー(山下真司)を外で待機させたスコッチは、菊田が印刷所のオヤジと二人、免許証の偽造に取りかかったところに踏み込みます。
「俺は執念深いタチでな。実刑2~3年のケチな偽造じゃ満足出来ないんだよ」
そしてスコッチは印刷所内を徹底的に捜索し、ついに1枚、油まみれの1万円札を見つけるのでした。
「そんな……全部始末した筈なのに!」
取り返そうとする印刷所のオヤジを殴り倒し、札をひったくって飲み込もうとする菊田にマグナムの銃口を向けたスコッチが、駆けつけたロッキー&スニーカーにかけた一言が、これ。
「そこに眠ってるとっつぁん、片付けろ」
ハードボイルド! カッコ良すぎる!w ボスと山さん(露口 茂)以外でこんな台詞がサマになるのは、七曲署歴代刑事たちの中でもスコッチしかいないでしょう。
菊田がニセ札の容疑で逮捕されたことは、すなわち若林がその原版を造ったことも立証されることになります。当然、若林自身もそれは覚悟してた事でしょう。
「負けましたよ滝さん。あんたはやっぱり、ホンモノだ」
初めて笑顔を見せた若林は、むしろホッとした様子。それほど、自分の原版で造られた粗悪なニセ札が許せなかった。一流印刷工がプライドを取り戻した瞬間です。
もちろん、例の印刷所から見つかった油まみれの万札が、スコッチのなけなしの給料から絞り出されたホンモノだったことは言うまでもありません。あとで絶対バレると思うんだけどw
七曲署に復帰して以来、ホットな面が強調されて来たスコッチが、久々にクールな魅力を全開にし、'76年の初登場時を彷彿させてくれたハードボイルド編。久々に登板された斎藤光正監督の演出も渋かった!
後に水戸のご老公となる佐野浅夫さんを筆頭に、井上博一さん、奥村公延さん、沖田駿一さん、原口剛さん、天草四郎さんetc…と名バイプレーヤーが揃った豪華布陣。女っ気ゼロだけど男の色気ムンムンで実に見応えありました。
ただ、あえて1つだけ残念な点を挙げれば、このストーリーなら山さんが主役でもまんま成立しちゃうこと。シャープなアクション&美女との絡みが最高に絵になる、スコッチ=沖雅也さんならではの魅力がもっと発揮されてたら文句なしでした。
この時期から沖さんの体調に異変が見られたのかどうか分からないけど、スコッチが徐々に山さん化して行くんですよね。だけど山さんのポジションにはちゃんと山さんがいるワケで、スコッチには若手のリーダーとしてもっとアクティブに、もっとハードに活躍して欲しかったと個人的には思ってます。
☆第435話『スター』(1980.11.7.OA/脚本=小川英&尾西兼一/監督=鈴木一平)
前川という芸能レポーターが刺殺され、藤堂チームが捜査に乗り出します。
前川は有名人のスキャンダルをネタにユスリを繰り返してた悪徳ジャーナリストでもあり、どうやらユスった相手と揉み合いになって刺されたらしい。刑事ドラマで殺されるヤツのだいたい90%はこのパターンですw
で、市川杏子という美人モデル(中島ゆたか)が自首して来るんだけど、こんな華奢な女性が大の男を刺し殺せるだろうか?とスニーカー(山下真司)は疑問を抱きます。
凶器のナイフをどこに捨てたか憶えてないという、杏子の供述は曖昧だし、ユスリのネタにされたというマリファナも見つからない。
とりあえず彼女の交遊関係を調べてみると、どうやら人気絶頂のシンガーソングライター・西田史郎(西田 健)とチョメチョメな関係であることが判り、スニーカーは驚きます。
かつて刑事になる前、アメリカで放浪生活を送った時期に、まだ無名だった西田とスニーカーはレストランで何度か遭遇していたのでした。
客の西田は当時からモテモテのプレイボーイで、かたやスニーカーは極貧バイトの皿洗い。そして今や西田は名声と巨額の富と、美人モデルの恋人まで手に入れてる! だから真犯人はこいつに違いない!とスニーカーは息巻きますw
実際、西田は恋人の杏子が自首したと聞いても「バカな女だ」と素っ気ない態度。おまけに「市川杏子は犯人じゃない」という匿名のタレコミ電話まで入り、容疑は西田に絞られていきます。
そこでついに、行方不明だった凶器のナイフが登場します。遺体の第一発見者だったサラリーマンの丸山(北条清嗣)が密かに持ち帰り、報道で事件のあらましを知って西田をユスって来たのでした。
その要求に応じた西田は丸山と密会し、大金と引き換えにナイフを取り戻すんだけど、あろうことか帰りのタクシーにそいつを置き忘れてしまう! そんなアホな!
藤堂チームの手に渡ったナイフからは、西田の指紋がしっかり検出されました。けど、西田がそんなチョンボをするワケないし、山さん(露口 茂)やスコッチ(沖 雅也)が偽装を見破らない筈もない。実は西田が犯人だと思ってるのはスニーカー1人だけなのでしたw
観念して出頭して来た(という芝居をしてる)西田の前に、山さんたちが丸山のオフィスで見つけて来た本当の凶器=杏子の指紋がついた血染めのナイフを差し出し、キョトンとするスニーカーにこう言います。
「この男は、人を殺してしまった市川杏子を助けるために、ただそれだけのために我々を騙したんだ。やっと勝ち取ったスターの座も何もかも投げ売ってな」
そう、最初に自首して来た杏子がやっぱり犯人で、西田はわざと自分に容疑が向けられるよう回りくどい細工をしてたのでした。
「昔は知らん。しかし、これが今の西田史郎なんだ」
前川がユスってたのは杏子ではなく西田であり、杏子は西田を守るために前川を殺害した。だけど気が動転してナイフを現場に残してしまい、それをたまたま通り掛かった丸山が拾って隠し持ってたワケです。
「西田……あれは全部芝居だったのか? ただ彼女を助けるための芝居だったのか?」
「……俺が、ほかに何をしてやることが出来た? 彼女は、本当に、真剣に俺を愛してくれた……だけど俺は、何ひとつアイツに報いてやることが出来なかった……恥ずかしかった……本当に恥ずかしかった」
そう言って涙を流す西田の姿に、プレイボーイだったかつての面影はありません。山さんが言った通り、本気で杏子を愛したことで彼は変わったんでしょう。
なんだか1年前の『太陽にほえろ!』迷走期に戻ったような回りくどい展開で、15分で済むような話を無理くり引き延ばし、ひねくり回して「深イイ話」に仕上げた感じだけど……
最初に自首して来た人物がホントに犯人だった!っていう、逆説的などんでん返しがたぶん今回のミソで、だったら西田はなんですぐに名乗りを挙げて杏子を助けなかったんだ?っていう矛盾を解消する為に、証拠品のナイフをたまたま拾っちゃう第三者を設定したんでしょう。
けど、その第三者がなんでニセのナイフを西田に渡す必要があったのか意味不明だし、他にも随所に説明不足とムリを感じるから、愛のドラマがいまいち胸に響いてこない。シンプル・イズ・ベストの基本を見失うと失敗しちゃう、これは典型例じゃないかと私は思います。そこがミステリー創りの難しさですよね。
とはいえ、中島ゆたかさん、西田健さん、北条清嗣さんと芸達者なゲストが揃い、露口さんや沖さんが要所を締めてくれたお陰で、決して退屈はしません。やっぱり役者さんの力は大きいです。
特に、ふだんは知能犯か変質者の役ばっか演じてる西田健さんが、今回は多面的なキャラクターを授かって実に活き活きされてます。人気絶頂のシンガーソングライターには到底見えないけれどw
同じように知能犯と変質者の役が多い北条清嗣さんと二人並んで、遊園地の乗り物に座ってるお姿は何ともシュールで笑っちゃいましたw 北条さんも今回は単純な小悪党の役なのに、その怪しいイメージでミスリードに一役買っておられます。
そして普段はミステリアス美女の役が多い中島ゆたかさんが、実は素直に自首して来ただけだった!っていうのも狙ったキャスティングですよね。
普通の人には到底見えない人たちが、実はみんな普通だった!っていう点に今回の面白さがあるとすれば、まさに適材適所でパーフェクトな人選と言えそうです。