ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ザ・ガードマン』#001~#002

2020-12-15 00:00:05 | 刑事ドラマ'60年代










 
『ザ・ガードマン』は1965年4月から1971年12月までの6年9ヶ月間、TBS系列・金曜夜9時半からの1時間枠で全350話が放映された、TBS&大映テレビ室の制作による大ヒット・サスペンスドラマ。初期のタイトルは『東京警備指令/ザ・ガードマン』でした。

立ち上がったばかりの警備会社「東京パトロール」に所属する7人の警備員が、工事現場やイベント会場でひたすら交通整理をする姿を描く……のかと思いきや、スーツ姿で颯爽と事件の謎を解いたり、時には拳銃をぶっ放して悪党と闘ったりするというw、刑事モノと何も変わらない内容だったりします。

山内正さんによるテーマ音楽からして明らかに『スパイ大作戦(ミッション・インポッシブル)』あたりのスパイ活劇を意識しており、警備員ゆえ普段は警棒すら持たないのに、当人たちは自分がFBIの捜査官だと思い込んでるみたいですw

日本初の警備会社「日本警備保障」(現在のセコム) が制作に協力しており「ガードマン」という呼称もセコムが考え提案したもの。それが番組の大ヒットにより世の中に浸透したワケで、前回書いた「機動捜査隊」の件といい、当時のテレビ番組による絶大な影響力が伺えます。

そして何と言ってもあの大映テレビが制作し、宇津井健さんが主役を演じて全身全霊でカッコつけてくれますw 生真面目な宇津井さんだけに、警備会社のイメージアップに全力で協力すべく、働く男の理想像をこれでもかと押し付けて来ますw

だけどその暑苦しさこそが最大の見所になってて、大映ドラマ独自の暑苦しい作風もこの『ザ・ガードマン』で確立されたのかも知れません。

そんな宇津井さんが演じられたのは、元警視庁捜査一課の敏腕警部にして東京パトロールの頼もしきリーダー「キャップ」こと高倉隊長。

そしてドライビングマスターの清水隊員(藤巻 潤)、お調子者の荒木隊員(川津祐介)、中堅の小森隊員(中条静夫)、最年少の杉井隊員(倉石 功)、最年長の吉田班長(稲葉義男)、電話番の三原主任(清水将夫)に加え、警視庁でキャップの相棒だった榊警部(神山 繁)がたびたび東京パトロールと共闘し、第45話からめでたく(?)ガードマンの一員となります。

メンバーたちの個性が薄くて見分けがつきにくかった『特別機動捜査隊』に比べて、この『ザ・ガードマン』は各キャラクターがしっかり色分けされてるので、かなり観易いです。

宇津井健さんがただひたすらカッコつけてるだけの第1話は退屈だったけどw、若手の倉石功さんによる失態を仲間たちがカバーする第2話は『太陽にほえろ!』以降の刑事モノに通じるものがあって楽しめました。

そうしてガードマンたちが敵の策略により一度は警備に失敗しちゃうのが、どうやら毎回のお約束になってるようで、もちろん最後には逆転してミッションを完遂するワケだけど、何より信用第一の民間警備保障がそんなポカばっかやらかして経営は大丈夫なの?ってw、スポンサーならずとも心配になっちゃいます。

なお、第1話のゲストは後に『夜のヒットスタジオ』等の司会業でブレイクされる芳村真理さんと、永遠の「おやっさん」こと小林昭二さん。第2話ゲストは中野誠也さんと、『仮面ライダーV3』『ミラーマン』等の特撮ヒーロードラマでよくお見かけした服部マリさん。モノクロ映像による効果かも知れないけど、この時代の女優さんには何だか神々しい美を感じます。

7年近い放映期間にはそうそうたる顔ぶれのゲストが多数登場され、中でも我らが山さんこと露口茂さんはかなりの回数出演されており、私もケーブルTVでたまたまお見かけしたことが2回ほどありました。『太陽~』ファミリーでは他に地井武男さんや関根恵子さんも出ておられたみたいです。
 

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『特別機動捜査隊』#001

2020-12-14 00:00:07 | 刑事ドラマ'60年代










 
『特別機動捜査隊』は1961年10月から'77年3月まで約15年半、NETテレビ(現テレビ朝日)系列の水曜夜10時枠で全801話が放映された、60分の刑事ドラマとしては最長寿を誇る番組。そもそも1時間枠の連続ドラマとして日本初の作品でした。

'59年に警視庁捜査一課で設立された初動捜査班をモデルにした架空の部署である「機動捜査隊」が、番組ファンだった当時の警視総監により正式名称として採用されたという逸話もあり。

『太陽にほえろ!』と肩を並べる名作『特捜最前線』の前身であり、アクション系刑事ドラマの元祖とも云われてます。また、刑事ドラマの代名詞と呼ばれた『七人の刑事』も同時期にTBS系列でスタートしており、1961年は刑事ドラマ史において非常に重要な年だったと言えそうです。


☆第1話『最後の犯人(ホシ)を追え』

(1961.10.11.OA/脚本=宮田達男/監督=関川秀雄)

しかし、私がこの作品を観ることになるとは思ってませんでした。『太陽にほえろ!』以前の刑事ドラマは正確に言えば「事件ドラマ」で、主役はあくまで事件でありその犯人や被害者=その回にしか出てこないゲストですから、感情移入しづらいんですよね。

だから以前は興味が湧かなかったんだけど、このブログで『太陽にほえろ!』を起点とする刑事ドラマの歴史を辿っていく内、『太陽~』より先に生まれた作品、すなわち『太陽~』の影響を受けてない刑事ドラマがどんなだったか、無性に観たくなって来ました。それを知らないと『太陽~』がいかに型破りな作品であったかをちゃんと解ってるとは言えないし。

そんな思いが募ってた時に、まさかの『特別機動捜査隊』DVD-BOX発売! 『太陽~』以前の刑事ドラマとしては『七人の刑事』と並ぶBIGタイトルだし、収録されてるエピソードはセレクション形式で初期から後期まで網羅しており、番組の歴史を俯瞰するにはもってこい。これは「買い」だとすぐに決断した次第です。

で、とりあえず1枚目のディスクに収録された5作品を観た感想は、映像や音楽がレトロ!っていうのは当たり前として、やっぱりこれは「事件ドラマ」だなと、本当の意味での「刑事ドラマ」はやっぱり『太陽にほえろ!』から始まったんだなと、あらためて納得した感じです。

確かに第1話はちょっとしたカーチェイスや銃撃戦が見せ場になってるけど、他のエピソードじゃアクションと呼べるシーンはほとんど無く、ドラマは犯人や被害者たちが中心に描かれ、刑事たちはあくまで傍観者でひたすら捜査(謎解き)あるのみっていう印象。

これは『特捜最前線』の前身というより、その後継番組である『相棒』の原点と呼んだ方が私にはしっくり来ます。やっぱり現在の刑事ドラマは原点還りしてるんですよね。

というより、これが本来の警察モノの在り方であって、『太陽にほえろ!』からしばらく続いた「刑事が主役のドラマ」こそが実はアウトサイダー。例えばアメリカ映画史の中にニューシネマと呼ばれる作品群があったように、ほんの歴史の1ページに過ぎないんだと捉えた方が正しい気がして来ました。それはその時期にしか生まれ得ないもので、だからこそ輝いて見えるのかも知れないと。

そんなワケで『太陽にほえろ!』式の作劇が感性に染み込んだ私からすれば、ひたすら捜査しかしない、説明台詞しか吐かない刑事たちは退屈で退屈で仕方がないんだけど、じゃあ観る価値は無いのかと言えば決してそんな事はありません。

なにせ1960年代、昭和中期の番組ですから、その当時の町並み、車、ファッション、ワードセンス、音楽など全てがレトロで、今となっては逆に新鮮! '72年スタートの『太陽にほえろ!』も初期はけっこうレトロを感じさせるけど、本作は更にその10年ちょっと前、私がこの世に生まれるより前の作品ですからね!

だけど当時の視聴者にとっては恐らく最先端のテレビ番組で、リアルな警察用語とか科学捜査の描写1つ1つが新鮮かつ刺激的だった筈。犯罪発生の瞬間をリアルに描くこと自体がそれまでタブーだったそうで、自分がもっと早く生まれてこれをリアルタイムで観たら、どう感じただろう? やっぱり『太陽にほえろ!』と同じように衝撃を受けて「どハマリ」したのかも? なんて考えながら観ると、それはそれで楽しかったりする。もはやストーリーなんかどーでもいいw

人間の描かれ方そのものが現在とは違ってて、特に男と女の関係、男尊女卑が幅を利かせた時代の名残りが色濃く残ってるのは、不愉快でありつつ妙に微笑ましかったりもします。あの頃、男はこんなに威張ってたというか、威張らせてもらえたんやなあってw

なにせ終戦からまだ15年ほどしか経ってない。こういうのを観ると、男ってヤツはつくづく戦ってナンボの生きものなんだと痛感させられます。平和な世の中においては種馬になること以外なんの役にも立たず、だから戦争は永遠に無くならないんだとか、色んなことを考えさせられます。

あと、後に大物になられる俳優さんたちの若き姿が見られるのもレトロ作品の醍醐味で、この第1話には強盗犯役で室田日出男さんと柳生博さんが出ておられます。

そして機動捜査隊の初期メンバーは、立石主任(波島 進)、橘部長刑事(南川 直)、荒牧刑事(岩上 瑛)、桃井刑事(轟 謙二)、岩井田刑事(滝川 潤)、松山刑事(松原光二)、山崎刑事(高島弘行)、内藤刑事(巽 秀太郎)、香取刑事(綾川 香)といったメンバー。

私が存じ上げる俳優さんは皆無ですw(生まれる前だから仕方ない) けれど立石主任を演じる波島進さんはテレビ草創期の番組『捜査本部』や『七色仮面』でも主役を張って来られた方で、やっぱさすがの存在感と安定感。細かい仕草1つ1つがキマッてて魅せてくれます。

ドラマはこの立石班が進めていくワケですが、撮影スケジュールが追いつかなくなったんでしょう、後に藤島主任(中山昭二)率いる藤島班、三船主任(青木義朗)率いる三船班、高倉主任(里見浩太朗)率いる高倉班、矢崎主任(亀石征一郎)率いる矢崎班、日高主任(葉山良二)率いる日高班が交代で進行役を務めるようにり、末期には木塚刑事(藤山律子)など女性刑事も登場するみたいです。

ちなみにDVD-BOXに特典として収録された'63年公開の劇場版『特別機動捜査隊』では安部徹さんが立石主任を演じ、内藤刑事役で千葉真一さんも出演されてます。










 

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『キイハンター』#060

2019-02-05 00:05:16 | 刑事ドラマ'60年代










 
☆第60話『パラシュート殺人部隊』

(1969.5.24.OA/脚本=高久 進&佐藤 肇/監督=佐藤 肇)

ヒバトニア共和国(明らかにソ連をイメージした架空の国)の宇宙衛星「スペクター2号」が軌道から外れ、消息を絶ちます。

砂漠に軟着陸したスペクター2号のパイロット=イワノフ大佐はいち早く駆けつけたFBIエージェントに保護され、謎のフィルムを手渡します。

そのフィルムには、某・敵対国(FBIが出てきた以上、アメリカ以外にあり得ませんw)のミサイル基地を衛星から撮影した映像が記録されており、どうやらイワノフは敵対国に協力し、計画的に衛星を墜落させたようです。

当然ながら共和国のスパイ組織がフィルムとイワノフの命を狙って来るんだけど、刺客はなぜか日本人ばかり(原 良子、室田日出男etc)なもんで視聴者は困惑しますw

で、イワノフを匿ったFBIエージェントは殺されるんだけど、フィルムの行方が分からない。世界大戦の引き金になりかねないフィルムを奪還すべく、キイハンターも行方を追います。

吸った揉んだあって風間(千葉真一)と撃ち合い、敗れた室田日出男さんが風間に言い遺します。

「北の国から吹雪が来る……イワノフを殺しに来る……」

吹雪というのは、ヒバトニア共和国に雇われた「裏切り者専門の殺し屋」の名前。共和国はなぜ日本人ばかり雇うのか?w

かくして、イワノフの行方を追う風間は、わざわざヘリコプターで派手に登場した吹雪(川口 浩)と対決……したのも束の間、共和国のパラシュート殺人部隊が空から飛来するや、あっという間に吹雪と意気投合しw、見事なコンビネーションで敵を皆殺しにするのでした。

それもその筈、吹雪の正体はFBI捜査官。キイハンターたちと共闘し、フィルムの奪還に成功した吹雪は、黒木ボス(丹波哲郎)に気に入られ、キイハンターの仲間入りを果たすのでした。FBI→キイハンターが栄転なのか左遷なのかは微妙なところですw

放映開始1周年を経過し、視聴率も好調で予算がアップされたのでしょう、今回から補強メンバーとして川口浩さんがレギュラー入り。後の探検隊長です。

注目すべきは丹波哲郎さんの出番の少なさで、早くも手抜きを覚えたみたいですねw エピソードの序盤、中盤、終盤のポイントにちょこっと顔を出すだけで、激しいことはすっかり千葉真一さんにお任せ状態。

『太陽にほえろ!』のスタートを待たずしてこの調子ですから、石原裕次郎さん(のまとめ撮りテクニック)を真似したワケじゃないんですねw(逆に『太陽~』が『キイハンター』方式に倣ったのかも?)

悪く言えば一番高いギャラを貰いながらラクしてるワケだけど、見方を変えれば若手に花を持たせてるとも言えます。『西部警察』の渡哲也さんや『大捜査線』の杉良太郎さんは見せ場をぜんぶ独り占めしちゃうけど、それはそれで主役の責任を果たすため頑張ったとも言えるし、ビッグスターの在り方、扱われ方にも色々あるって事ですね。

それにしても千葉真一さんの活躍ぶりが目覚ましく、この番組がいかに千葉さん人気に支えられたかがよく分かります。アクションだけでなく、ユーモアの要素も千葉さんが引っ張ってる感があり、そりゃ人気者になりますよね。

壮大すぎるストーリーは相変わらずツッコミどころ満載だけどw、千葉さんを中心としたアクションとユーモアを観てるだけで楽しく、やっぱりこれが刑事ドラマの本来あるべき姿だと、私はつくづく思いました。

映像で魅せるなら動かないと意味がない。そもそも「活動写真」なんだから当たり前の事です。ただ突っ立って謎解きするだけなら、小説か紙芝居で充分なんだから。
 

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『キイハンター』#001

2019-02-04 00:00:06 | 刑事ドラマ'60年代










 
1968年4月から'73年4月まで、TBS系列の土曜夜9時枠で全262話が放映されたアクションドラマの第1話です。制作はTBS&東映。

元国際警察外事局スパイの黒木(丹波哲郎)、元フランス情報局の女スパイにして私立探偵・啓子(野際陽子)、天才的ドライバーの島(谷 隼人)、驚異的な記憶力を持つユミ(大川栄子)、そして元敏腕新聞記者にしてスポーツ万能の風間(千葉真一)の6人が、秘密部隊「キイハンター」として警察の手に負えない事件を解決していきます。

ほか、キイハンターの創設者である国際警察特別室の村岡室長(仲谷 昇)、#60からキイハンターに加入する元FBI捜査官・吹雪(川口 浩)、#92から登場する潜入捜査官・壇(宮内 洋)、#210から登場する私立探偵・滝(沖 雅也)といったメンバーが絡んでくる事になります。

ご存じのように東映アクションドラマを代表する大ヒット作で、当初1年の放映予定が5年にまで延長。中でも数々のスーパーアクションを自らこなした千葉真一さんが海外でも人気を集め、ブルース・リーやジャッキー・チェン等にも影響を与え、レギュラー共演者の野際陽子さんと結婚されるなど話題を集められました。

その千葉さんがイメージの固定を懸念し降板を申し入れた事や、度重なる予算の超過による赤字で番組は丸5年で終了。その後やはり丹波哲郎主演による探偵アクション『アイフル大作戦』『バーディ大作戦』が制作され、ハードボイルドの原点に立ち返った『Gメン'75』へと続いていく事になります。

なお、本作はモノクロ放送でスタートし、'70年4月の第105話からカラー放送にチェンジされました。前ブログも含めてモノクロ作品のレビューは今回が初めてです。

ナレーションは芥川隆行さん、音楽は『五番目の刑事』の渡辺宙明さんと並ぶヒーローサウンドの巨匠=菊池俊輔さん。この方の音楽が入ると昭和『仮面ライダー』を観てるような錯覚に陥りますw

そして主題歌『非情のライセンス』を唄われたのはヒロイン・野際陽子さんです。


☆第1話『裏切りのブルース』(1968.4.6.OA/脚本=高久 進&深作欣二/監督=深作欣二)

エレナと名乗るスイス人の金髪美女が、キイハンター事務所の黒木ボスを訪ねて来ます。彼女は行方不明になった婚約者を探しており、その男がなぜか黒木の名を語っていたのでした。

エレナが持つペンダントの顔写真を見て、黒木は「その男のことは忘れるんだ」とクールに言い、彼女を突き放します。その男=藤崎(南原宏治)は黒木のかつての同僚、すなわち現役の国際スパイなのでした。

泣きながら事務所を飛び出したエレナは、車にはねられて死んじゃいます。彼女は犯罪組織の殺し屋に殺されたのでした。

村岡室長は、エレナのペンダントには藤崎の写真以外に何か重要な物が隠されていたこと、藤崎はジュネーブで交通事故死したこと、そしてその事故は恐らく偽装で、藤崎は同じ組織に消されたであろうことを黒木に伝えます。

藤崎は、現役時代に黒木の命を救ってくれた恩人であり、親友でもあった。黒木は藤崎とエレナの弔い合戦に燃えます。

調べてみると、組織はどうやらエレナが持っていたのと同じチャーチルコインのペンダントを狙っているらしい。黒木、風間、島、ユミのキイハンターメンバーに、同じペンダントを探すフランスの女探偵=啓子も合流し、組織の正体へと迫って行くのでした。

どうやら組織の真の狙いは、ペンダントに隠されたフィルムの切れ端。日本の政財界の裏金リストを撮影したフィルムが3つに切り離され、それぞれ別のペンダントに隠された。それを強請のネタに使って儲けるのが組織の狙いで、恐らくペンダントの1つを手に入れた藤崎、もう1つを託されたエレナが殺された。

そこまで掴んだところで、ユミが敵に拉致されてしまいます。黒木が倒した殺し屋が持っていたフィルムの切れ端と、ユミの身柄を交換するという取引に応じた黒木は、その現場で敵の意外な正体を知ることになります。

「やっぱりお前だったのか……藤崎」

死んだ筈の藤崎は生きていた! かつての親友はエレナと同じように黒木を車で牽き殺そうとしますが、黒木が咄嗟に投げたチャーチルコインによりハンドル操作を誤り、横転炎上。

「皮肉なもんだな。三人とも死んで、フィルムだけが残ったとは……」

結局、組織の正体は何だったのか? なぜ藤崎が裏切り、エレナを殺す必要があったのか?など、数々残された謎にはいっさい触れず、Gメン歩きして颯爽と去っていくキイハンター達なのでした。

ツッコミどころは山ほどあるんだけどw、とにかくハードボイルドかつ無国籍な世界観、要するに雰囲気とアクションを楽しめばそれで良いのだと思います。

そんなアダルトなムードに渋いモノクロ映像が見事にマッチして、カラー作品では味わえない格好良さがあります。特にこの第1話は深作欣二監督が2ヶ月もかけて撮影されたそうで(そりゃ赤字になるわw)、TVドラマとは思えないスケールの大きさも堪能できます。

丹波哲郎さん扮する黒木鉄也は、本作の前年に公開されたイギリス映画『007は二度死ぬ』でやはり丹波さんが演じた国際スパイ「タイガー田中」をモチーフにしており、作風も当時の『007』シリーズを彷彿させます。

そこに『スパイ大作戦 (ミッション:インポッシブル)』ばりのチームプレイも加味して出来上がったのが『キイハンター』の世界観で、'60年代の作品とは思えない「洗練」を感じます。

それが後年、千葉真一さんを中心としたアクション活劇やドタバタ喜劇、ホラー、ミステリー、西部劇、果てはSFと作風のバリエーションを増やし続け、カラー放映に切り替わる頃にはすっかり「何でもアリ」のドラマになってたそうですw それはそれで楽しいでしょうから、後年のエピソードもこれからチェックしていきたいと思ってます。

それにしても丹波さんの出番がとても多く、アクションも自ら精力的にこなしておられるのが驚きです。思えば主役なんだから当たり前の事なんだけど、ほんのちょっと顔を出して二言三言のセリフを棒読みするだけの『Gメン'75』とはえらい違いですw

そのへんは『太陽にほえろ!』における石原裕次郎さんの扱われ方を見て「なんだ、主役でもそれで成立しちゃうんだ」って、手抜きを覚えちゃったのかも知れませんw

それだけ丹波さんがフィーチャーされてるだけに、千葉真一さんや谷隼人さんにはこれといった見せ場がありません。彼らが本格的に活躍するのは、もっと回を重ねてから(丹波さんがサボり始めてからw)になるんでしょう。

そんな男性陣よりも、オシャレ探偵=野際陽子さんの洗練された美しさ、マスコット的存在の大川栄子さんの可愛らしさに目を奪われます。特に大川さんのタヌキ顔は私のストライクど真ん中で、萌えますw

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『五番目の刑事』#02

2019-01-15 00:00:33 | 刑事ドラマ'60年代









 
☆第2話『けだもの狩り』(1969.10.9.OA/脚本=石森史郎/監督=永野靖忠)

原田(原田芳雄)が隣町の所轄署との合同捜査でコンビを組んだ、ベテランの鈴木刑事(信 欽三)が何者かに襲われ、拳銃を奪われてしまいます。

犯人の顔は見なかったものの左利きであることが判明し、鈴木は家出したまま行方不明の息子=武(寺田 農)に疑いの眼を向けます。最近あちこちで借金して回ってるらしい武も、やはり左利きなのでした。

で、武と恋仲らしいソープ嬢の春恵(太地喜和子)と会った鈴木は、彼女が妊娠していることを知り、その為に武はカネが必要になったんだろうと疑惑をますます募らせます。

そうこうしてる間に鈴木の拳銃を使った殺人事件が連続発生。武のアパートを突き止めた鈴木は、机の引き出しから銃弾の空薬莢を見つけてしまうのでした。

一方、事件の背後に暴力団どうしの抗争が絡んでると睨んだ原田は、その線から捜査を進め、笹内(石川徹郎)という男に眼をつけます。笹内は、ソープ嬢・春恵の実の兄だった!

果たして、真犯人は武なのか笹内なのか? それぞれが捜査により犯人の居所をつかみ、二人で踏み込む鈴木と原田。そこに潜んでいたのは果たして……?

暗闇から狙撃され、必死に「銃を捨てるんだ武!」と叫ぶ鈴木をかばって撃たれたのは、息子の武その人でした。

そう、真犯人は笹内だった。武は恋人の兄である笹内の犯行を知り、鈴木に相談するつもりだったのに、父は息子が自分を恨んでるものと思い込み、犯人だと決めつけてしまった。

「父さん……春恵のこと、頼むよ……あの子は父さんが思ってるようなアバズレじゃない」

そう言って武は、涙を流す鈴木の腕に抱かれ、息を引き取るのでした。

これもまぁ悲惨な話だけど、ゲーム感覚で作られた昨今のドラマや漫画みたいな陰湿さは感じません。そこに描かれてるのは父と息子の確執、ありがちな心のすれ違いであり、こんな事にならないようコミュニケーションを大切にしようっていう創り手のメッセージでしょうから、ちゃんと魂がこもってます。

一番可哀想なのは、恋人(そしてお腹にいる子の父親)を失い、同時に凶悪犯の妹になってしまった春恵で、原田がその事実を彼女に伝える無音のラストシーンがとても切ないです。

演じる太地喜和子さんは当時27歳か28歳くらいだけど、妖艶さと純朴さを兼ね備えた少女っぽいエロ可愛さで、二階堂ふみさんにもよく似てて、萌えますw

この僅か1年後にゲスト出演される『太陽にほえろ!』第11話では、実年齢より上のアバズレ人妻をこれまた違和感なく演じ、大女優の凄みを見せつけてくれます。ほんと素晴らしい女優さんです。

そして寺田農さんもお若い! いや、信欽三さんの息子役にしては大人っぽ過ぎるんだけどw そもそも主演の原田芳雄さんがとても30歳手前とは思えぬ貫禄ぶりですw

ストーリーの主役は完全にゲスト=鈴木親子で、レギュラーの刑事たちが単なるナビゲーターに過ぎないのがちょっと残念だけど、それこそが『太陽にほえろ!』以前の刑事ドラマの特徴なんですよね。これがもし『太陽~』なら、長さん(下川辰平)あたりがゲスト親子の悲劇を目の当たりにし、自分の息子との距離感を見つめ直すみたいな「共感」のドラマが描かれた筈です。

時代は巡り、現在は刑事のプライベートを描かない作品が主流になってますが、そろそろ一周して『太陽~』型の刑事ドラマが復活してもいい頃かも知れません。

謎解きメインの『相棒』型ドラマは(あくまで個人的に)早く廃れて欲しいんだけど、日本の景気がもっと良くならない限り、やっぱ安上がりに作れる謎解きモノが幅を利かせ続けるんでしょうね。破滅です。
 
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