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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ケイ☓ヤク/あぶない相棒』2022

2022-01-17 18:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY

2022年の冬シーズン、日本テレビ系列の木曜深夜「モクドラF」枠でスタートした、読売テレビ&ギークピクチュアズの制作によるサスペンスドラマ。薫原好江さんの漫画を映像化した作品です。

警視庁公安部の潜入捜査官=国下一狼(鈴木伸之)が、3年前に突然失踪し殉職扱いとされた先輩捜査官=央莉音(栗山千明)の未解決事件を解明すべく、彼女の弟だと名乗るヤクザの若頭=英獅郎(犬飼貴丈)と密かに手を組み、政府官邸まで絡む巨悪に立ち向かって行くというストーリー。

いかにも怪しい公安部の部長に徳井義実、ゲイの総理大臣に板尾創路、その息子に吉村界人、主人公の幼馴染みに萩原みのりが扮してます。



基本設定はまぁ、ありがちだけど私好み。だけど予告映像を観た時点で「こりゃオレが観る番組じゃない」とすぐに判りました。いや、と言うより「オレなんか相手にしてない番組」なんですよね。

そう感じた理由が、これw↓



いかにも女子に媚びたキャスティングもさる事ながら、それより何より、ヤクザの若頭が「男娼」みたいな事をやってて、刑事と手を組んでるのがバレないよう「恋人契約」を結ぶという設定よ!w

そこにリアリティがあるか無いかが問題じゃなくて、そういう描写にどうしても抵抗がある、私みたいな男はハナから「お呼びじゃない」ってワケです。だから、こんなブログ(刑事物の連ドラはとにかく全部チェックしてます)さえやってなきゃ頼まれても観ませんよ! でも仕事(?)だから観なきゃしょうがないw

無論このご時世だし、同性愛を描くこと自体に文句を言うつもりはありません。むしろレズビアンなら積極的にお願いしたい!

ただ、男どうしがイチャイチャするのだけは、生理的にどうしても受けつけられないんです。こればっかりは仕方がないんです。分かって下さいよ、2つで充分ですよ!

いやあ~、ついに刑事物のジャンルにも来ちゃいましたか、LGBTの波が! そこに逆らうつもりは毛頭ないけど、ムリしてまで向き合う道理も無いと思うんで、初回チェックだけで勘弁して下さいm(__)m

ゲイ描写はやっぱテレビ番組だけあって「匂わせる」程度で安心したけど、むしろバイオレンス描写の方が生々しくて「おいおい」って思いました。

ボーイズラブを観に来た視聴者は引いちゃうんじゃないですか? いったい誰に見せたくて創ってるの?って、老婆心ながら思いました。それとも、ゲイを好む人は血なまぐさいのも好む、みたいなデータがあったりするんでしょうか?

あと、主役である鈴木伸之くんの演技が凡庸でつまんないです。これは致命的。相手役の犬飼貴丈くんに色気があるから何とか観てられるけど、所属グループ(劇団EXILEの人だそうです)の人気だけでキャスティングするのはホントやめて欲しい。

ただ、主役2人がやたらカッコつけてるのは香港ノワール(チョウ・ユンファとか)を彷彿させて面白いんですけどw



私が眼を引かれたのはそれと、ヒロインの栗山千明さんだけ。これじゃゲイ描写があろうと無かろうと観続けるモチベーションには繋がりませんm(__)m


 


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『オリバーな犬、(Gosh!!) このヤロウ』(2021)

2021-10-16 23:23:06 | 刑事ドラマ HISTORY


2021年の9月から10月まで、NHK総合の金曜夜10時「ドラマ10」枠にて全3話が放映された、NHKエンタープライズとMMJの制作による警察コメディー。

これを刑事ドラマのカテゴリーに入れていいのかどうかビミョーですが、主人公が警察組織で働いてて少しでも捜査シーンがあるなら、一応ここでは刑事物の一種として扱うことにしてます。



本作は元仮面ライダークウガのオダギリジョーさんが自ら企画され、演出、脚本、編集まで手掛けられたことで話題になりました。もちろん、警察犬オリバー役で出演もされてますw

そう、犬の着ぐるみを着た人を演じてるんじゃなくて、着ぐるみを着て犬そのものを演じておられる。この時点でマトモな警察ドラマをやるつもりが無いことは明らか。オダギリさんの普段のファッションや、これまで出演されて来た作品の傾向を見ても、かなり独特な感性をお持ちなのは承知してました。

だから、そんなには驚かなかったです。「ああ、やってるなあ」って感じで、むしろそこまでオダギリさんの好きなようにやらせた、NHKさんの柔軟さにこそ驚きました。すでに映画監督としての実績があればこそでしょうけど。



ある日、スーパーボランティアの小西さん(佐藤浩市)が山中で遺体を見つけ、狭間県警の鑑識課警察犬係の面々が捜査する内、その遺体が11年前に失踪した少女=北條かすみ(玉城ティナ)であること、そして彼女がどうやら殺害されたらしいこと、その背景に暴力団と半グレ組織の抗争があるらしいこと等が判明していき……

っていうストーリーが一応あるにはあるんだけど、それはオダギリ監督の独特な世界観を表現するためのお膳立てに過ぎず、謎解きやヒューマニズムを期待すると肩透かしを食らいます。案の定、結局何も解決しないまま終わっちゃったし。

だから本作をどう評価するかは、オダギリ監督の世界観を面白がれるか否かに懸かって来ます。そこはもう、観る人それぞれの好み次第。私は残念ながら、あまり面白いとは感じられませんでした。



オダギリさんは多分、ご自身が主演されて来た『時効警察』シリーズや『熱海の捜査官』、その元ネタだったであろう米ドラマ『ツイン・ピークス』等の影響を強く受け、自分ならもっと遊べる、もっと俺ジナルなドラマを生み出せる!って、そんな想いでこのドラマを創られたんだろうと思います。

そういうクリエイティブな姿勢は素晴らしいんだけど、ちょっと狙い過ぎというか本末転倒というか、ストーリーやテーマがしっかりあった上で遊んで欲しいと私は思う。遊ぶことが最優先になっちゃダメなんです。だからクドカンさんの作品とかも好きになれない。

あくまで私個人の嗜好の問題です。「なんでもあり」まで行っちゃうと逆に危うさが無くて面白くない。枠からはみ出るかはみ出ないか、ルールを破るか破らないかのギリギリのラインで遊んでくれる方がよっぽどスリリングで面白い。『時効警察』や『熱海の捜査官』がまさにギリギリで、オダギリさんはその境界線をあえて越えちゃった。

とはいえ、越えないと単なる二番煎じになっちゃうワケで、やるからにはそうするしか無かったのかも知れません。若い視聴者にはその方がウケそうな気もするし。テレビ業界は今、若者層を取り込むことに必死ですから、NHKさんも黙認するしか無かったのかも?



ただ、佐藤浩市さんに志茂田景樹チックなハデハデ衣裳で変なポーズを取らせたり等、スター俳優たちの普段見られない顔を引き出した点は、さすがご自身もアクターであり人気スターでもあるオダギリジョー監督の面目躍如。オダギリさんでなければこれだけのスターは集められなかっただろうし、全く同じ内容を無名の役者さんたちが演じても誰も笑わないでしょうから。

そんなオールスターなキャストの面々は、鑑識課の警察犬係員たちに池松壮亮、麻生久美子、本田翼、岡山天音、課長に國村隼、マルボーの刑事に野性爆弾くっきー!、元警察犬係のフリー記者に永瀬正敏、半グレ組織のリーダーに永山瑛太、ヤクザの組長に松重豊、その愛人に佐久間由衣、そして謎の占い師にオダギリジョー夫人の香椎由宇が扮するほか、橋爪功、柄本明、火野正平、嶋田久作、甲本雅裕、村上淳、仲野太賀、染谷将太、細野晴臣、坂井真紀、川島鈴遥、浅川梨奈、柴田紗帆 etc、etc……とまさに錚々たる顔ぶれ。

セクシーショットは麻生久美子さん、本田翼さん、佐久間由衣さん、玉城ティナさんです。


 


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『ハコヅメ/たたかう!交番女子』2021

2021-07-14 00:05:11 | 刑事ドラマ HISTORY






 
2021年夏シーズン、日本テレビ系列の水曜夜10時枠でスタートした、日本テレビ&日テレアックスオン制作による警察ドラマ。泰三子さんの人気コミックを実写化した作品です。

これはイイ! 『刑事7人』『緊急取調室』そして『ボイス/110緊急指令室』と、なぜ人気があるのかサッパリ分かんない番組の続編ばかり並んじゃった絶望的なこのシーズン、唯一の期待作だった『ハコヅメ/たたかう!交番女子』が期待を裏切りませんでした!

安定職を求めて公務員試験を受けまくり、唯一受かった警察に就職して埼玉県警の町山交番に配属されたものの、あまりの激務に耐えきれず辞める寸前だった新米婦警=川合麻依(永野芽郁)が、捜査一課から飛ばされて来た元エース刑事=藤聖子(戸田恵梨香)の指導を受け、共に働くことで一人前の警察官に成長していくという王道ストーリー。

二人の直属の上司となる交番所長=伊賀崎にムロツヨシ、聖子と同期生だった町山署捜査一係の刑事=源に三浦翔平、その相棒刑事=山田に山田裕貴、聖子の後任として一係に配属された新撰組オタクの女性刑事=牧高に西野七瀬が扮するほか、平山祐介、千原せいじ、渕野右登、深沢敦etc…といったキャスト陣が脇を固めてます。

まずは主役の2人が飛びっきり魅力的! ポンコツ婦警を演じる永野芽郁さんは究極にキュートだし、クールな笑顔の裏に猛毒を秘めた戸田恵梨香さんはさすがのコメディエンヌぶり。

で、そんなお二人のそれぞれ父親役と大恋愛の相手役を過去に演じて来られた、ムロツヨシさんがそばで見守ってる構図にも温かみを感じるし、とにかく観ててすこぶる心地が好い!



そして捜査一係の刑事たちが、交番女子を差別したり目の敵にするような糞ワンパターン芝居を一切しないのも好印象!

ちょっとイカれた感じの三浦翔平くんと、天然キャラの山田裕貴くんっていう、曲者どうしの若手コンビも良いスパイスになってます。山田くんはあの若さで刑事ドラマにいったい何本出てるんでしょう?(またキミか!?って言っちゃったよw)



原作者の泰三子さんが実際に女性警察官(10年間勤務!)だったお陰で、警察組織や勤務の描かれ方がすこぶるリアルで、かつ日常的であることも高ポイント。

制服巡査を主役にしたドラマは、遠い過去にも『俺はおまわり君』とか『俺たちルーキーコップ!』等が存在したけど、いずれも内容はイマイチでした。

その理由はたぶん、リアルじゃなかったから。捜査課の刑事みたいに殺人犯と対決したりしない、制服巡査の地味な日常を描いてもドラマにならないっていう思い込みから、話をあまりに盛り過ぎたり喜劇に寄せ過ぎたせいで、いかにも嘘っぽくて誰も共感できないドラマになっちゃった。

その点、この『ハコヅメ』は嘘をついてないことが(現実の警察内部を知らなくても)伝わって来て、あの『踊る大捜査線』TVシリーズを初めて観たときの新鮮さが甦りました。

で、その『踊る~』の原点である『太陽にほえろ!』のスピリットも、私は強烈に感じるワケです。新米婦警の麻依がヘマして凹んでる姿が、まさに先日リバイバル掲載したばかりの第1話『マカロニ刑事登場!』の若きショーケンさんとダブって見えて、私はうっかり泣いちゃいました。

これですよ! これが本当の警察ドラマなんです! 謎解きも要らない、組織内のいざこざも要らない! いや、別にあってもいいけどそんなのばっかじゃつまんない! マジでもうウンザリなんですよ!!

そんな状況下だから余計に輝いて見えちゃうってのも確かにあるけど、絶対それだけじゃない。少なくとも、制服巡査を主役にした連ドラとしては初のエポック、これぞ決定版!と呼ぶに相応しい作品がようやく生まれたと、私は断言します。オススメ!

セクシーショットはもちろん永野芽郁さん、戸田恵梨香さん、西野七瀬さんです。


 

コメント (4)
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『IP/サイバー捜査班』2021

2021-07-03 12:12:25 | 刑事ドラマ HISTORY








 
2021年夏シーズン、テレビ朝日系列の木曜夜8時「木曜ミステリー」枠でスタートした、テレビ朝日&東映の制作による京都を舞台にした刑事ドラマ。

スマートフォンやリモートワークの普及により、サイバー犯罪も増加の一途を辿る現状に対応すべく、京都府警が新たに設立した部署「サイバー総合事犯係」メンバーたちの活躍が描かれます。

「0か1で割り切れない感情に固執するのは時間のムダ」というワケの分からない持論をぶつ「超デジタル人間」の主任=安洛一誠(やすみや いっせい)に、佐々木蔵之介。

新たに配属された新米刑事で、自分がもしかすると亡き母親と安洛がチョメチョメして生まれた娘じゃないかと疑い、それを確かめたくて刑事になった女=古宮山絆(こみやま きずな)に、福原遥。

そしてプロファイリング担当でやたら腰の低い係長=平塚に杉本哲太、鑑識課出身で映像解析を担当する川瀬に堀内敬子、安洛を監視する密命を受けた元捜査一課の刑事=多和田に間宮祥太郎、サイバーパトロール担当のオタク刑事=岡林に吉村界人が扮するほか、高畑淳子、中川知香、金山一彦、押尾佑、国木田かっぱ、升毅etc…といった俳優陣が脇を固めてます。

芸達者なキャストが揃い、初期の『相棒』や『科捜研の女』を支えられた戸田山雅司さんがメインライターとなれば、ミステリードラマとしてのクオリティーは保障されたようなもの。実際「ミステリードラマとしては」普通に楽しめました。

……が! この前さんざん苦言を呈した香取慎吾くんの刑事ドラマ『アノニマス/警視庁“指殺人”対策室』とめっちゃよく似てるんですよねw

と言うより、これまで放映されて来た全ての刑事ドラマと「ここが違う!」っていうポイントが、主人公がいつも羽織姿だったりシンキングタイムにお茶を煎じたりすること(いかにも京都を意識して取ってつけたルーティン)を除けば、何ひとつ無いんですよね。

一匹狼でやさぐれた主人公といい、物語を引っ張る元気な女性刑事といい、上層部からの密命を背負ったイケメン刑事といい、あまりに無能な捜査一課や二課の刑事たちといい、その連中からいつも揶揄され差別されてる主役チームの在り方といい、やけにオシャレな刑事部屋のセットといい、杉本哲太さんや升毅さんに至るまで、もう見飽きたなんて言葉じゃ言い足りない、定番中の定番設定ばかりです。

これはもう、明らかに、わざとそうしてるんですよね。そうせざるを得ない何かがあるんでしょう。上に書いたようなレシピをきっちり押さえないと番組を創らせてもらえない、しがらみのようなもんが業界に蔓延してるとしか思えません。

だって、クリエイターなら誰だって、みんながやって来たのと同じことだけは絶対やりたくない筈なんです。

違うのかなあ? 昨今のクリエイターたちはもう、何か新しいもの、自分にしか創れない作品を生み出したい!なんて野望は、いっさい抱いてないのかなあ? そんなことってあり得るの?

じゃあキミたちは一体、何のためにクリエイターになったの? ずば抜けてハードな職場でフラフラになりながら働く、キミたちのモチベーションって一体どっから湧いて来るの? ああキミたちがいてボクがいる。

……って、言ってやりたくなるんだけど、彼らも「ちゃんとレシピ通りにやらないとどうなるか、分かってるよな?」とか「可愛い娘さんがいるんだねぇ、うひひのひ」とかって、上から脅されて仕方なくやってるのかも知れません。そうでも思わないと私は見てられない!

それともう1つ大いに気になったのが、佐々木蔵之介さんのくっさい芝居。あれじゃ『アノニマス』の香取くんの方がよっぽど自然に感じちゃう!←相当クサいってことですw

まるでアニメみたいな台詞回し、って書くと声優さんに失礼だけど、人物の感情を絵で表現するには限界があるから、アニメキャラの台詞回しがオーバーになるのは仕方がない。

けど、それを実写で生身の俳優さんがやっちゃうと、クドいし、そんな喋り方する人間はこの世におらんやろ!って、少なくとも私は感じてしまう。誰か「蔵之介さん、それはちょっと」って注意してあげられる人はいないんでしょうか? もはやそんなことも許されない空気になっちゃってるの?

現行の刑事ドラマで私が一番好きな『警視庁・捜査一課長』シリーズは、ミステリーとしては凡庸かも知れないけど、そのぶん設定や世界観がすこぶるユニークだし、主人公(内藤剛志さん)の芝居もあくまで自然体で、この『IP』や『アノニマス』とは何から何まで対照的。

それを単なる「好みの違い」だけで片付けちゃって良いんでしょうか? 最近、新番組のレビューが全部おんなじ愚痴になっちゃってるのって、相当ヤバい状況だと思うんだけど、世間の人たちは何とも感じてないのかな? 謎解きさえ楽しめりゃ後はどうでもいいんでしょうか?

私にとって唯一の見所は、ヒロイン=福原遥さんのハツラツとした演技だけ……って、これも『アノニマス』の時(あっちは関水渚さん)と一言一句変わらんし!(金髪チャラ男のイメージが強い吉村界人くんのオタク役も新鮮だけど)

ヤバいよヤバいよ、本当にヤバいよ。TVドラマが本格的にヤバくなって来たよ! あ、ヤバいって、今は褒め言葉なんでしたっけ? なんて世の中だ!

破滅です。……って言い続けて苦節ウン十数年w 底無しですね。


 


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『アノニマス/警視庁“指殺人”対策室』2021

2021-06-03 10:45:14 | 刑事ドラマ HISTORY







 
2021年冬シーズン、テレビ東京系列の月曜夜10時「ドラマプレミア10」枠で全8話が放映された、テレビ東京&ギークピクチュアズの制作による刑事ドラマ。我が中部地方では半年遅れの放映となりました。

インターネット上での誹謗中傷や炎上などを苦に、被害者が自殺してしまうキーボードによる殺人、いわゆる「指殺人」が社会問題化していることに対応するため警視庁・生活安全部に新設された架空の部署「指殺人対策室」メンバーたちの活躍が描かれます。タイトルの「アノニマス」は「匿名」を意味するギリシャ語由来の英語だそうです。

かつて捜査一課の敏腕刑事だったけどワケありで新設部署に飛ばされた一匹狼のやさぐれ警部=万丞渉に、香取慎吾。

そして万丞の相棒となる元交通安全課婦警の碓氷巡査部長に関水渚、情報収集担当の菅沼巡査部長にMEGUMI、デジタル担当の四宮巡査部長に清水尋也、室長の越谷警部に勝村政信が扮するほか、山本耕史、シム・ウンギョン、田中要次、高橋克実etc…といったキャスト陣が脇を固めます。

匿名のネット民たちによる「文字の暴力」に鉄槌を下す刑事たちっていう設定は、実に素晴らしい!と、まずは思いました。

香取慎吾くんの演技は相変わらずクサいし、他のキャラクターたちも皆ステレオタイプに感じるけど、とにかく卑劣なネット民どもを誰か懲らしめてくれ!っていう我々の切なる願いに応えてくれた、創り手の皆さんには惜しみない拍手を贈りたいです。

……ただ……

第1話を観た限りだと、ちょっと方向性が違うんじゃないの?って、言わざるを得ない内容になってます。

ちょっとしたゴーマン発言がバッシングの的にされた人気モデル(八木莉可子)が自殺し、その両親(松平健&床嶋佳子)の訴えにより指殺人対策室が動き出すワケだけど、捜査の結果、誹謗中傷の火に油を注いだSNSの書き込みが全て特定のファン(山中 崇)による偽造だったり、そいつを動かしてた黒幕が被害者のモデル仲間(中田青渚)で、ライバルであり親友だった彼女の心ない一言が、実は自殺の引金になってたことが判明していく。初回はそんなストーリーでした。

なんか、違うよなあ~、それじゃ意味が無いんだよなあ~って、私は思いました。

「指殺人」の問題って、そういう事じゃないでしょう? 被害者とは直接関係のない、顔も名前も分からない連中が、正義感のつもりで無責任に書き込んだ言葉が被害者を追い詰めちゃう、その悪質さを裁かないと何の意味も無くないですか?

実行犯が被害者を偏愛するストーカーみたいなヤツで、黒幕が被害者を密かに憎んでる親友だった!って、それじゃいつもの謎解きゲーム番組と何も変わりませんやん!って話です。モデル仲間が被害者に直接言った言葉が自殺の引金なら、指殺人じゃなく口殺人じゃないの!?って。

「指殺人」が単なるネタというか、話の取っ掛かりだけで終わっちゃってますよね? 一応、炎上を煽った一部のネット民たちにも罰は下るだろうって、サラッと一言で片付けてましたけど、おいちょ待てよ、そっちをメインに描くんじゃなかったの!?って、新婚さんいらっしゃいの文枝師匠ばりにズッコケましたよ私はホントに。

やれやれ…… たぶん、最初はそうするつもりだったと思うんです。だけど「それじゃドラマにならない!」だの「謎解き&どんでん返しが無いと誰も観ない!」だのって、ど素人が集まった「製作委員会」連中の横やりが入って、ああだこうだイジッてる内に普通のミステリーになっちゃったって、どうせそんな顛末でしょう。

会議室にこもって何時間もああだこうだ言い合ってる内に、果たして何が正しいのか、自分たちがいったい何をやりたかったのか、頭がウニになって見失なっちゃう事ってあると思うんですよね。そうでなければ途中でヤル気が無くなったか、いずれにせよ思考が停止しちゃったように見えてなりません。

「強い人間なんていない。人は誰でも、この指1本で傷ついてしまう」

この万丞警部のセリフこそがメインテーマであり、それを罪悪感なく軽い気持ちでやってる不特定多数を炙り出し、片っ端から懲らしめなきゃ意味がない!と私は思う。現実には難しいことをやり遂げてこそドラマじゃないの?って。

何が何でもミステリーにしなきゃダメなんですか? 本当に視聴者は皆それを望んでるんですか? テレビ屋さんたちが勝手にそう思い込んでるだけでは? あるいは、そうせざるを得ない「大人の事情」があったりするの?

せっかく2020年代ならではの社会問題にフォーカスを当てたのに、何をやってんですか?と私は問いたいです。つくづく、香取慎吾くんのドラマとは相性が悪い!

唯一の収穫は、前クールの刑事ドラマ『キワドい2人/K2』(TBS) でもヒロイン役だった、関水渚さんのハツラツとした演技。陰気なストーリーの中で私にとってのオアシスです。

グラビアアイドルから映画『町田くんの世界』('19) でヒロイン役に抜擢され高評価を獲得、『カイジ/ファイナルゲーム』('20) や『コンフィデンスマンJP/プリンセス編』('20) 等の映画でも注目され、'21年夏ドラマ『八月は夜のバッティングセンターで。』ではいよいよ主演を務められるそうで、いま注目すべき女優さんの1人です。


 

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