「すぐに辞めるだろう」と私が勝手に予想してたMさん2号は、今も頑張ってます。上司から説教を食らったようで、態度や言葉遣いは幾分マシになりました。
けど、ふとした拍子に本性が表れる。もう大人(たぶん30代半ば)ですから根っこの性格は変えようないし、心身ともに追い詰められるハードワークの中じゃ自我を抑えきれないのもよく解ります。
ちょっと強くなった気でいた私自身も、状況が変わればまあ脆いこと! 根っこの性格は全然変わってないと思い知らされました。昨年後半から体力の衰えも著しく、どうやら、限界が見えて来ました。
謙遜でも自虐でもなく、心身ともに弱い私が、この歳で介護業界へ飛び込んで2年近くも働いて来られたのは、ほぼ奇跡に近い。それは間違いなく同僚に恵まれたからこそ。
職員の数が減って業務内容がよりハードになったこと以上に、精神的に支えてくれた人が次々と去っていき、逆に余計なストレスを与えてくれる人ばかり入って来て、上役たちの「人を見る眼」も信じられなくなって来た。(だからお前も雇ったんだと言われりゃグーの音も出ないけど)
そもそも送迎ドライバーの募集を見て面接を受けた私にとって、ムリをしてまで介護職を続ける理由が、母を見送るというミッションも終えた今、もはや尽きました。
このまま続けてもし倒れたら、誰も責任をとってくれないし面倒も見てくれない。自分の身は自分で守るしかない!
それに性格がどうであれMさん2号の方がずっと戦力になるし、中途半端な老兵は潔く去るしかないと、こないだ決めかけたのですが……
そんな時にたまたまCATVでやってた山田太一さん(昨年惜しくも他界されたレジェンド脚本家)の特集番組を観て、代表作の1つである『男たちの旅路』のシナリオ集を通販で買ったら、その関連商品として「小説の書き方」を指南する本を紹介するメールが届き、なんか久々にビビッ!と来たんですね。
小説、いっぺん書いてみようかな?
そう思ったことは過去にもあるし、たしかタベリスト仲間のgonbeさんがコメント欄で勧めて下さったような記憶もあるけど、エッセイ本はよく読むのに小説には苦手意識があり、これと言って書きたいネタもない私は「そんな畏れ多い!」ってな感じでした。
でも、今なら書けるかも知れない。人間の坩堝たる介護施設なんてネタの宝庫だし、特に母の終末期における私の実体験は、少なくとも親の介護をしてる(あるいはしてた、これからする)人にきっと響くものがあるはず。
「書いてみたい」と思ったし、過去にジャンルは違えど創作でメシを食った時期のある私なら「きっと書けるだろう」とも思い、即座にハウトゥー本を購入しました。
小説家になります!なんて大それたことは言いません。「試しに書いてみよう」程度の思いです。ちょっとしたコンテストのちょっとした賞でも、目標にすれば立派な「生きてくモチベーション」になるだろうし。
ただ、それに人生を賭けて無職になるほどの余裕は無いし、かと言って新しい仕事を1から始めるエネルギーも今はない。あと、いま勤めてる施設(の利用者さんたち)には愛着もあるんです。
だから、もし可能なら、私が担当してる午前中の業務(主に清掃と配膳準備)をそのまま継続し、午後は帰宅させてもらう形(つまり半日パート)にしてもらえないかと、こないだ主任にお願いしました。
気の優しい主任はむしろ「ハリソンさんの夢を後押ししたい」ぐらいの理解を示してくれたけど、その上の立場にいる主査は「おかんむり」みたいだし(これまでも散々ワガママを言って来ましたから)、今回の希望が通る可能性はたぶん五分五分以下でしょう。
けど、それで退職になっても後悔はありません。せっかく顔馴染みになった人たちとお別れするのは寂しいし、戦場から逃げる罪悪感もあるけど、私の人生は私のもの。どう生きるかは私の自由です。
そんなワケで半日パートになるか退職するか、しばし上役たちの判断を待つことになります。どっちにしろ小説には必ずチャレンジするけど、まずは勉強(図書館に通って小説を読みまくる)からのスタートなんで、かなりの月日がかかりそう。長い目で見守って頂ければ幸いです。