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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『大空港』#01

2021-07-07 23:24:23 | 刑事ドラマ'70年代





 
CSの「日本映画専門ch」で『大空港』の放映が始まりました。1978年7月から'80年3月まで、フジテレビ系列の月曜夜9時枠で全78話が放映された、新東京(成田)国際空港を舞台にした刑事ドラマです。

警察庁刑事局国際刑事課の分室「空港特捜部」を率いるチーフ=加賀警視に鶴田浩二、メンバーの鯉沼刑事に中村雅俊、神坂刑事に片平なぎさ、立野刑事に岡本富士太、海原刑事に高岡健二、そして現場を仕切るベテランの梶警部に緒形拳!というレギュラーメンバーで番組はスタート。

この第1話はさらにセミレギュラーの沢井空港長として池部良、ゲストの警察庁幹部として天知茂、空港警察幹部として稲葉義男、空港職員として氏家修、そして海外逃亡を謀る指名手配犯として中尾彬まで加わるという豪華絢爛ぶり!

この顔ぶれを眺めてるだけで楽しくなるし、いぶし銀の演技を見てるだけで感銘を受けずにいられません。いや~渋い! 実に渋い! ザッツ・昭和!



特に、かつて日本軍の特攻隊で「同期の桜」だったという、加賀チーフと沢井空港長の会話が昭和そのもの!

例えば、犯人逮捕を優先したい特捜部と、乗客の安全こそが最優先の空港側が対立した時、それぞれのリーダーである二人がこんな会話を交わすワケです。

「俺とお前はむかし最前線で一緒に戦った仲だ。この空港も犯罪にとっちゃ最前線なんだぞ?」

「空港は戦場じゃないよ、平和と文明の交差点だ!」

「それを護るために戦いが必要だってことが貴様には分からんのか!」

そして捜査が行き詰まったり、犠牲者を出してしまった時なんかに、行き交う飛行機を眺めながらこんな会話を交わすんです。

「進んだもんだなあ。俺たちが青春を賭けた飛行機……あの頃は国と国とが戦う道具だったのが、今じゃ国と国とを結ぶ橋だ」

「…………」

「俺はな、つらい時、苦しい時、考えが詰まった時……いつも飛行機を見るんだ。すると全てを忘れる」

「……昔は、人間が操縦した。今じゃ全てボタンで安全に操縦できる」

「少しは俺たちも、この文明の進歩に役立って来たんじゃないかな? 俺はいつもそう思いながら、此処からあのでっかいヤツを見ているんだ」

鶴田浩二さんが実際に「特攻崩れ」だったのは有名な話だし、池部良さんも陸軍の生き残りという、両者のプロフィールが活かされてるワケです。

今やこんなセリフを実感こめて言える役者さんはいないし、言ったところで共感できる視聴者もほとんどいない。ザッツ・昭和! 良くも悪くも……


第1話では、強盗殺人を犯して国外逃亡を謀る中尾彬を阻止すべく、特捜部が空港内を全力でパトロール。困った彬は沢井空港長の愛娘を誘拐し、その生命と引き換えに海外便への搭乗を見逃すよう要求して来ます。

これが平成や令和のドラマなら、空港側は彬の要求を呑む以外に道が無い、呑まなきゃ我々視聴者が許さないワケだけど、昭和は違いますw

「私は空港長だ。国から与えられた任務だ。どんな事態が起ころうと職権を利用することは出来ん!」

つまり空港長は、我が娘の生命よりも職務を優先しちゃう!

「あなた、それでも親ですかっ!?」と妻に責められても空港長は意志を曲げず、加賀チーフにこう言うのでした。

「娘はどうなってもいい、ヤツを捕まえてくれ!」

悪役でもなければ今回かぎりのゲストでもない、セミレギュラーの重要人物がこんなセリフを吐いたら、現在なら間違いなく「大炎上」ですよねw だけど昭和は……いや、1970年代までは、これが働く男の美徳だったんです。

で、加賀チーフは彬の要求を呑みつつ、便が飛び立つ前に人質を救出すべく特捜部を指揮します。

そして彬の愛人が人質を監禁してる場所を突き止める為、システムトラブルを装って空港を緊急閉鎖! 彬がその真偽を確かめようとして、TVニュースを観てる愛人に公衆電話で連絡する、その手元を港内の監視カメラでズームアップし、電話番号を読み取るというイチかバチかの賭けに出るのでした。さすが元カミカゼ!

もちろん、フライト時刻ぎりぎりで人質救出を成功させたチーフは、いよいよ便に乗り込もうとする彬の手首に無情の手錠を叩き込みます。まだ携帯電話が存在しない、昭和という時代ならではのサスペンスでこれは見応えありました。

しかしそれにしても、準主役の空港長が「娘はどうなってもいい!」ですよw これが現在なら娘も妻も「あなたを一生許さない!」って言いそうだけど、'70年代は違います。救出された娘は涙を流しながら「お父様、お母様……怖かったけど、もう大丈夫よ。安心して」と笑顔を見せ、空港長はひとこと「良かった」ってw 先に土下座して謝りなはれ!w

良くも悪くもザッツ・昭和! 『太陽にほえろ!』でも'70年代は山さん(露口 茂)や長さん(下川辰平)が家族より職務を優先し、家族もそれを受け入れ、じっと我慢するのが美徳として描かれてました。

ところが'80年代になってから『太陽~』に登場したトシさん(地井武男)の場合、小学生の息子をオトリ捜査に利用したせいで「私はあなたを許しません!」と奥さんにキレられ、関係を修復出来ないまま離婚しちゃうという、対照的な描き方をされてました。世の中の価値観が変わった……というより、女性が本音を言える時代になったって事でしょう。

そんなワケで、色んな意味で昭和という時代を、他の番組よりも強く色濃く感じさせる『大空港』第1話でした。

セクシーショットは、いつになくボインぼよよんなファッションで登場された、神坂刑事役の片平なぎささん。『ゆうひが丘の総理大臣』の中村雅俊さんとここで共演し、後に『あさひが丘の大統領』でタックル先生を演じられるワケです。


 

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『手錠をかけろ!』#01

2021-05-04 13:47:07 | 刑事ドラマ'70年代


「COMIC デカ」というムック本の存在をご存知でしょうか? 不覚なことに私はつい最近まで知りませんでした。

すでに「VOL.7」まで発売されており、その号に'70年代末期の刑事ドラマ『手錠をかけろ!』第1話を収録したDVDが付録されてると知って、これは是非レビューしたい!と思ってネットで取り寄せました。

そしたら届いた本がどう見てもマンガ雑誌で、そもそもムックと雑誌の違いって何なのかね?(誠意って、何かね?)っていう、かねてからの疑問を解決すべく調べてみたら、本の内容は雑誌に近いけどあくまで単行本(書籍)なのがムックであり、雑誌の「magazine」と書籍の「book」を組み合わせて「mook」という呼び名が生まれたんだそうです。

その特徴は、本の内容が1つのテーマに特化してること、そして発売が不定期で販売期間が決められてないこと。だから売り切れなければ長期間店頭に並んでる。

なるほど! だから例えば月刊「映画秘宝」は雑誌だけど別冊はムックだったりするワケです。懐かしの「刑事マガジン」もマガジンを名乗りながら形態はムックでした(復活熱望!)。

この「COMIC デカ」には叶精作さんの『女刑事Q』、柳沢きみおさんの『特命係長 只野仁』、ほんだあきとさんの『奥さまは仕事人』、てしろぎたかしさんの『まかない刑事』といった刑事系マンガが掲載されてますが、あんまり興味ありませんw 子供のころ『ドーベルマン刑事』を読んだりはしたけど、私は刑事ドラマのマニアであって刑事マニアじゃないですから……

で、本題のドラマ『手錠をかけろ!』です。

『手錠をかけろ!』は1979年の秋シーズン、フジテレビ系列の木曜夜8時枠で全10話が放映された、国際放映&フジテレビの共同制作によるフィルム撮りの刑事ドラマ。

このシーズンは『鉄道公安官』『大空港』『ザ・スーパーガール』『探偵物語』『噂の刑事 トミーとマツ』『特捜最前線』『怒れ兄弟!』『太陽にほえろ!』『七人の刑事』『Gメン'75』『熱中時代 刑事編』『俺たちは天使だ!』『西部警察』etc…と、各局で刑事や探偵が活躍するアクションドラマが毎日何本も放映されてたパラダイスの時代。

そんな中でこの『手錠をかけろ!』はまったく目立たぬ存在でw(私感)、今の今まで私は一度も観たこと無かったです。

ちなみに本作の後番組が杉良太郎主演の『大捜査線』で、恐らく他局で杉サマが主演中だった『遠山の金さん』が放映を終えるまで、その繋ぎとして1クール限定を前提に制作されたのが『手錠をかけろ!』だろうと云われてます。

東京・青山警察署捜査課のエースである主人公=村田刑事を演じたのは、トーク番組『スター千一夜』の司会やブルース・ウィリスの吹替えでもお馴染みだった俳優の、荻島真一。

ほか、直属の上司である矢ノ浦課長に松村達雄、「チョウさん」こと鬼沢部長刑事に小池朝雄、同僚の小松刑事に赤塚真人、「テラ」こと寺泉刑事に中田譲治、「タキ」こと滝田刑事に渡辺寛二、「ボウヤ」こと立花刑事に阪本良介、署長の北小路に高橋昌也、そして部署不明の美人婦警=三杉ケイコに夏樹陽子、といったレギュラーキャスト陣。

この番組でしか見たこと無い俳優さんも混じってはいるけど、実力派が揃った渋いメンツで安定感バツグン! ただ……

肝心の、主役である荻島真一さんに、まぁこれも私感だけど「華」があまりに無さすぎて、一言で言えば「引き」が弱い。当時は女性に人気があったのかも知れないけど、それにしたって刑事ドラマの主役としては、どう贔屓目に見ても弱い。

役作りにしたって、きちんとしたスーツ姿で眼鏡までかけて、口調もなんだか気取った感じで、もしこれが『太陽にほえろ!』なら本庁から来た嫌味なエリート刑事(その回だけのゲスト、それも三番手ぐらいのポジション)にしか見えません。

なぜこのキャスティング? なぜこの役作り? 逆に意表を突いたのかも知れないけど、どう考えてもこれじゃ視聴率は取れないでしょ?って、失礼ながらそんなことを考えながら第1話を観てみました。

そしたら、最後の方になって謎が解けました。そうか、そういうことか! あらためて番宣ポスターを見れば、すでに答えが載ってました。

上のポスター画像と、これから載せる画像をご覧下さい。そう、主役は荻島さん=村田刑事でもなければ、青山署メンバーの誰でもなかったんです!



☆第1話『ペンフレンド狙撃事件~函館』(1979.10.18.OA/脚本=鴨井達比古/監督=永野靖忠)

実は『手錠をかけろ!』は地方ロケ主体の番組で、毎回レギュラーの刑事たちが地方へ出張し、地元の刑事と組んで捜査するという『俺たちの勲章』型のフォーマット。

第1話は北海道・函館が舞台で、函館東署のはぐれ刑事=倉田に扮したゲストが、明らかに荻島さんより華のある元祖「御三家」アイドル=西郷輝彦さん! キャラクターもクールかつワイルドで村田刑事より断然カッコいい!

そして第2話以降も宍戸錠、宝田明、藤田弓子、中村敦夫、梅宮辰夫、篠田三郎、竹脇無我、藤田まこと、最終回に至っては藤岡琢也に志穂美悦子!と、そうそうたるスター俳優たちがゲストで登場し、地方の刑事を演じてる!

そう、この番組の主役は各回のゲスト刑事であり、レギュラーたちは言わばホスト役で引き立て役。ゲストより目立っちゃいけないんですよね! だから、言っちゃ悪いけど荻島さんが主演なワケです。これはなかなか画期的なアイデアかも!?


初回のストーリーは、東京で若い女性が改造拳銃で撃たれ重傷を負う事件が発生し、被害者と文通してたガンマニアの医大生=水谷(狩場 勉)に容疑が絞られ、そいつが別の文通相手である函館の美容師=悦子(林 寛子)に会いに行ったことが判り、村田刑事ら青山署メンバーたちが函館に向かう、という流れ。

そこで登場するのが西郷輝彦さん扮する函館東署の倉田刑事で、なんと奇遇なことに彼は悦子の実の兄だった!

ところがこの兄妹、現在なぜか絶縁状態。実は悦子がまだ高校生だった頃、ボーイフレンドの男子生徒に強盗事件の容疑がかかり、彼は単なる見張り役だったのに倉田刑事の強引な捜査に傷つき、自殺しちゃうという悲劇があった。それ以来、悦子は兄に対して心を閉ざしてるワケです。

当然、今度はペンフレンドが殺人未遂の容疑者にされて悦子は激怒するんだけど、水谷の犯行を確信する倉田は意に介さず、悦子をオトリに使って水谷を誘きだしちゃう。

逆上した水谷は悦子を人質にし、改造拳銃を振りかざすんだけど、倉田はひるまず言い放ちます。

「お前に人は殺せない。お前に出来るのはせいぜい文通相手に嘘八百を並べることぐらいだろ? さぁ撃ってみろ!」

単なる小心者のガンマニア(誰がやねん!?w)に過ぎなかった水谷は、倉田の気迫に押されてあっさり投降。

「すまなかった。お前にあの男の正体を見せたかった……ただそれだけなんだ」

内心「ホンマかいっ!?」と思いつつw、兄の強引さの裏に隠された愛情を、悦子は初めて理解するのでした。めでたしめでたし。

……あれ? 主人公=村田刑事はどこ行った?w

もちろん、村田もちゃんとその現場にいて、青山署の仲間たちと一緒になりゆきをハラハラ見守ってましたw あっ、さすがに「手錠をかける」役目だけは彼が担いましたけど、そんなの誰がやっても一緒ですw


いかがですか、どう見たって西郷輝彦さんが主役でしょう? 第1話にして主人公が完全に埋没しちゃってる刑事アクションドラマって、なんと斬新な!w

だからやっぱり、ホスト役かつ引き立て役なんですよね。あくまで主役は各回のゲスト刑事。そんなコンセプトで創られた番組と見て間違いないと思います。

歳を重ねた我々世代からすれば荻島さんや西郷さんよりも、珍しく今回は二枚目に徹してらっしゃる小池朝雄さんや、課長らしからぬ軽妙さで場を和ませる松村達雄さん等、ベテラン勢の名演技に眼を惹かれます。やっぱ場数は踏むもんですよね。

あと、この回は左とん平さんや桝田紀子さん(『大都会』シリーズの看護婦さん)もゲスト出演されてます。



そしてゲスト・ヒロイン=悦子役の林寛子さん。子役からスタートされ、オーディション番組『君こそスターだ!』の第1回グランドチャンピオンに輝き、アイドル歌手として一時代を築かれました。俳優の黒澤久雄さんと結婚後は、毒舌キャラの主婦タレントとしてバラエティー番組でも大活躍。2人の娘さんもそれぞれ女優と歌手で芸能界入りされてます。(ちなみに娘婿はSOPHIAの松岡充さん)

今回の演技からも気の強さが滲み出まくってますがw、やっぱ美しいし輝いてらっしゃいます。西郷さんとの組み合わせはかなり豪華では?

Wikipedia記載のプロフィールによると、他の刑事ドラマへのゲスト出演は'77年放映の『特捜最前線』#019があるのみ。けっこうレアだったりします。



そしてレギュラー側のヒロイン、三杉婦警役の夏樹陽子さん。ファッションモデル出身で'77年の映画『空手バカ一代』ヒロイン役で女優デビュー。

'79年春シーズンに西郷輝彦さん主演の刑事ドラマ『刑事鉄平』(そんな番組があったこと、いま初めて知った!w) や『ザ・ハングマン』('81) にレギュラー出演されたほか、『華麗なる刑事』#26、『Gメン'82』最終回、『風の刑事・東京発!』#07等にゲスト出演。現在も女優としてモデルとして、さらにジュエリーデザイナーとしても活躍されてます。

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『華麗なる刑事』#01~#02 (追悼:田中邦衛さん)

2021-04-06 00:00:27 | 刑事ドラマ'70年代










 
あくまで二枚目を演じてるのに笑いを誘っちゃう田中邦衛さんと、必死に三枚目を演じてるのにカッコいいと言われちゃう草刈正雄さん。そんなお二人が織り成すなんとも不思議な空気感のアクションドラマ、それが『華麗なる刑事』を観た私の印象です。

実際、近年になって草刈さんは「邦衛さんの芝居に引っ張られ(影響され)すぎた」とインタビューで振り返り、反省しておられます。たぶん、そこに立ってるだけで味が出ちゃう邦衛さんが羨ましくて仕方なかったんでしょう。

一方の邦衛さんは邦衛さんで、そこに立ってるだけでカッコいい草刈さんが羨ましくて仕方なく、必要以上に二枚目を意識しちゃったのかも?

つまり、お互いに対するリスペクトとコンプレックスの裏返し。お二人とも競って「独特な間」を取るもんで、掛け合いのテンポも良いのやら悪いのやら、ホント独特としか言いよう無いんですよねw

だから、一言で表せば「ヘンな刑事ドラマ」w 観て泣くことは無いし、笑っていいのかどうかもイマイチ判らない、ほんと不思議な感じ。だからこそ個性的で面白い!

長銃身の44マグナムを撃つ時でも、草刈さんはわざとスマートに撃たないんですよね。地面に両ひざをついて踏ん張って、じっくり狙いをつけてから撃つんだけど、そのスキに標的が逃げちゃうよ!っていうw 世界一(当時)強力な拳銃を撃つんだから反動を押さえて慎重に、っていうリアリズムは解るんだけど、だったら普通の拳銃を使いなはれって話でw

で、一方の邦衛さんはメチャクチャ機敏に動いて、COLTローマン2インチをスタイリッシュに撃ちまくるというw

我々視聴者が草刈さんに格好良さを、邦衛さんには滑稽さを求めちゃうのに対して、お二人とも微妙にズレたことをしてらっしゃる。良くも悪くもチグハグな感じが今となっては面白いワケです。

本放映は1977年4月から11月まで全32話、フジテレビ系列の月曜夜8時枠でした。レギュラーキャストは草刈さん&邦衛さんを筆頭に、檀ふみ、沢たまき、新克利、加納竜、佐野浅夫、岸田森、有島一郎、第1話ゲストが中山麻理、第2話ゲストが長塚京三、奈美悦子……と実に懐かしい面々。多くの方が亡くなっておられ、先日ついに田中邦衛さんの訃報を聞く羽目になっちゃいました。

表舞台から去られて随分と経つから、覚悟はしてたんだけどやっぱショックだし、寂しいですよね。代表作は満場一致で『北の国から』って事になるでしょうけど、この『華麗なる刑事』や『大空港』等における刑事役も忘れられません。

ロス帰りのスーパー刑事こと高村一平(草刈さん)と対比するキャラクターとして登場する、鹿児島から来たハミダシ刑事こと南郷五郎が邦衛さん。ここでも『北の国から』と同じ「五郎」なんですよね。(ちなみに『北の国から』は'81年スタートだからこっちの方が早い!)

豪快かつ軽妙洒脱だけど本人の意識はあくまで二枚目で、たとえば『マジンガーZ』のボスみたいなキャラクター。って書いても分かってくれる読者さんは少ないでしょうか?w

とにかく何をやってもチャーミングで、それはもちろん邦衛さんが演じればこそ。確か山田洋次監督の映画『息子』だったかで、年がら年じゅう大声で愚痴ばっか喚いてるオッサンの役が邦衛さんで、現実にそんなのがいたら迷惑この上ないのに、邦衛さんが演じると可愛く見えちゃうというw 『北の国から』の五郎さんだってそうですよね。

もっと見たかったなあ……って誰もがそう思ってるはず。邦衛さんを嫌いだと言う日本人はいないんじゃないですか? どうか安らかにお眠り下さい。合掌。


 


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『燃える捜査網』#07

2020-09-27 01:11:23 | 刑事ドラマ'70年代










 
☆第7話『死者からの手紙』

(1975.11.21.OA/脚本=樽岡八郎/監督=江崎実生)

投身自殺した男が海南署の村上刑事だと知って、白鳥刑事(志穂美悦子)が驚いた! 村上は高校時代の親友=ヒロコ(市地洋子)の父親なのでした。

だから白鳥は葬儀に参列するんだけど、そこに高校時代のバレー部のコーチ=木嶋(大門正明)が現れたもんだからまた驚いた!

当時、白鳥とヒロコは女子バレー部に所属し、厳しく鍛えてくれる木嶋に2人とも恋をしてたんだけど、ヒロコが木嶋とデートしてる現場を目撃して驚いた白鳥は、親友の幸せを願って身を引いたのでした。

初恋の人と再会できて胸がときめいたのも束の間、現在の木嶋がナイトクラブの専務で、ヤクザ絡みの潮商事と深く関わってる事実を日比木警部補(金子信雄)から聞かされて、白鳥はまたまた驚きます。しかも、自殺したとされるヒロコの父親=村上刑事は潮商事の汚職を捜査していた、つまり殺された可能性があるという! 驚いた!

「違う、違うわ。木嶋さん、そんな人じゃない!」

秘密捜査班は木嶋に疑惑の眼を向けますが、白鳥は彼の無実を信じ、それを確かめるため母校の体育館に彼を呼び出します。

「ナイトクラブ勤めなんて木嶋さんらしくない。そんなサングラスも木嶋さんらしくない!」

「キミにはそう見えるかも知れないが……しかしね、白鳥くん。過去なんて何の意味もありゃしないんだ」

「あるわ!」

そう言って白鳥は木嶋にバレーボールを渡し、数年振りに鬼コーチの千本ノックを受けるのでしたw

そんな折り、ヒロコの家に死んだ筈の父=村上刑事から封書が届いたから驚いた! その中身は、潮商事の汚職を証明するメモ書き。身の危険を察した彼が襲撃される直前に郵送したのでした。

だけどそれじゃヒロコが危ないやん!って思ったら案の定、彼女は潮商事のヤクザどもに拉致され、拷問を受ける羽目になります。

この拷問シーンにおいてヤクザたちは、ヒロコのブラウスを破いてブラジャー丸見え状態にするという、実に正しい拷問のあり方を示してくれます。捕まえた女性を一糸乱れぬ姿のままにするヤクザなど、いるワケがないんです! グッジョブ! エクセレント!

しかし、いくら拷問されてもヒロコは証拠メモを「焼き捨てた」と言い張ります。こうなったら丸裸にして色々やっちゃうしか手はありません。

一方、潮商事に潜入していた佐久刑事(谷 隼人)から連絡を受け、ヒロコがブラジャー丸見えになってることを知った白鳥は、木嶋の事務所に乗り込み、ヒロコから託された例の証拠メモを差し出します。

「どうして俺に?」

「これを持って自首して。木嶋さん、お願い!」

あくまでも木嶋を信じ抜こうとする白鳥だけど、残念ながら初恋の人はすっかり変わってしまった。結局、白鳥も拳銃を持った潮商事のヤクザどもに捕まっちゃいます。

ところが! いよいよヤクザどもが白鳥とヒロコを撃ち殺そうとした時、木嶋がとっさに2人をかばって撃たれてしまいます。彼もやっぱり普通の人間だったという事でしょう。

「木嶋さん!?」

ヤクザどもは、一番怒らせちゃいけない人を本気で怒らせちゃいました。そう、ついに白鳥刑事こと我らが志穂美の悦っちゃんが、女必殺拳で連中を皆殺しにしてくれる……のかと思いきや!

ここで唐突に、今までほとんど出番が無かった大神警部(千葉真一)が颯爽と現れ、必殺44マグナムでヤクザを皆殺しにしちゃうんですよね! これが今回一番驚いた!w 千葉さん、あんたもか!(『大捜査線』レビュー参照)

動かなくなった木嶋の手には、例の証拠メモが握られてました。ヤクザ連中に手渡す機会はいくらでもあったのに、彼は白鳥に言われた通り自首するつもりだったのかも知れません。

「木嶋さん……」

切なく涙を流す白鳥の肩を、まるで今までのいきさつを全部見てたような顔をして、大神警部が優しく抱き寄せます。そして千葉真一がしっとりと唄う主題歌『旅人ひとり』が流れてジ・エンド。

マグナムでヤクザどもを皆殺しにしてくれるのはいいんだけど、千葉さん、今回だけは引っ込んでて欲しかったですw せめて、志穂美さんがひと暴れするまで待って欲しかった!

今回のエピソードもたぶん、アクションやサスペンスよりも苦悩する主人公の姿を見せたかった。「ウチの悦子は芝居も上手いんだぜ」って、千葉さんは仰りたかったんでしょう。それが『燃える捜査網』という作品のコンセプト。

いやいや、それにしたって、美味しいとこだけ持って行くにも程がありますよ千葉さんw いくらなんでも今回は唐突でした。あの杉サマですら少しは段取りを踏んでから登場されますよw

そんなワケで、白鳥刑事が主役でありながら志穂美さんのアクションが見られなかったのは残念だけど、そのぶん婦警さんの制服姿やセーラー服姿、ブルマー姿までサービスしてくれましたから良しとするより仕方ありません。

こんな風に、看板スターを徹底的に立てるテレビ番組や映画っていうのも昭和ならでは。今どきのスターじゃこういうのは成立しないでしょう。同じスターでもスケール感がまるで違うんですよね。
 

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『燃える捜査網』#01

2020-09-25 22:22:11 | 刑事ドラマ'70年代










 
先日スタートした新番組『DIVER/特殊潜入班』はタイトル通り、潜入捜査を専門とするチームが秘密裏に活躍する、刑事ドラマというよりはスパイ活劇に近い内容。

古くは『キイハンター』から近作だと『絶対零度』シリーズまで、刑事物の中でも1つの伝統あるジャンルとして定着しており、時代劇みたいなタイトルの本作も、実はその中の1本。

『燃える捜査網』は1975年10月から翌'76年1月まで、NETテレビ(現テレビ朝日)の金曜夜9時枠で全14話が放映された、『ザ・ボディーガード』『ザ☆ゴリラ7』に続く東映&ジャパン・アクションクラブのタッグによるアクションドラマ。もちろん主演は千葉真一さんです。

荒唐無稽で底抜けに明るかった前作とはうって変わり、今回は人間ドラマを重視したシリアスな内容で、アクションはやや控えめ。とは言ってもそこは千葉さんですから、要所要所で空手アクション(なにせ当時はブルース・リー大旋風)を披露、とどめに44マグナムをぶっ放してくれます。

そんな千葉さんが扮するのは東京・根岸警察署で警務課長を務める大神史郎 警部。そして彼が秘密裏に指揮する「特別秘密捜査班」のメンバーは、根岸署経理課勤務の佐久 竜(谷 隼人)、青山署交通課勤務の白鳥アキ子(志穂美悦子)、その同僚の麻生 仁(佐藤蛾次郎)。それぞれ普段は制服警官として働き、召集がかかると休暇を取って極秘任務に赴くという設定。

ほか、彼らをバックアップする捜査課の刑事=日比木 警部補に金子信雄、指令を下す警察庁のエリート=高森 刑事部長に神山 繁、そして第9話からチームに加わる城 巡査部長に夏八木勲、というレギュラーキャスト陣でした。


☆第1話『女子中学生投身自殺』

(1975.10.10.OA/脚本=池田一朗&等々力 亘/監督=竹本弘一)

しかしこの第1話は、親友を殺された大神警部(千葉さん)がやや暴走気味に単独捜査を進めちゃう話で、のっけからスパイ活劇とは程遠いムード。白鳥刑事(志穂美さん)が「いつもの大神さんと違うわ」って言うんだけど、我々視聴者はいつもの大神さんをまだ知らないのでピンと来ませんw

大神警部の親友は雑誌記者で、飛び降り自殺した女子中学生の背後に売春組織が絡んでる事実をスクープしようとして殺された。彼は身の危険を感じて大神に相談しようとしてたのに、忙しくて応じてやれなかったワケです。

一応、白鳥刑事が身分を隠して死んだ女子中学生の姉(関根世津子)や父親(仲谷 昇)に近づいたり、佐久刑事(谷さん)が売春組織に潜入したりするスパイ活動は描かれるんだけど、結局は大神警部が組織のアジトに突入し、空手で手下どもを蹴散らしたあと44マグナムで幹部(蟹江敬三)をぶっ殺しますから、部下たちが潜入した意味はほとんどありませんw

千葉さんが今回見せたかったのは、アクションやサスペンスよりも、親友を死なせて苦悩する主人公の姿。つまり「俺だってちゃんと芝居できるんだぞ」って言いたかったんじゃないでしょうかw(ちなみに主題歌も千葉さん。歌だって唄えちゃう♪)

そんなワケで、これはスパイ活劇よりも正当派の刑事ドラマに近い内容で、かえって私好みかも知れません。初回は千葉さんのワンマンショーだったけど、志穂美さんのアクションやチームプレーがもっと観られたら、私はハマるかも知れません。
 


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