小沢民主党政権 来年の夏には成立
1.安倍首相の政権投げ出しについて、驚愕をもって論評されていますが、大きな政治の流れからみて、また「資本」=多国籍資本の企図からみて、驚くにはあたらない展開だといえます。
ただ、安倍首相の辞め方が、所信表明演説をして、その演説に対する各党の代表質問を受ける当日に、舞台を降りるという、あまりにも唐突で、前代未聞の辞任であったことには、唖然としました。
その安倍首相に対して、「何もやらなかった」「無責任」「おぼっちゃま」というような非難が投げかけられていますが、本当にそうなんでしょうか。
改悪教育基本法の成立、海外活動強化の自衛隊と防衛省への昇格、日米軍事一体化の軍事再編、改憲のための国民投票法などなど、10数回におよぶ強行採決によって、さまざまな悪法の成立があります。
やるべきことをやったが、あまりにもその手法が強引で、かつ稚拙であったことから、「御用済み」として「廃棄処分」の通告を、資本から受けたのではないでしょうか。
後継首相が巧みな手法で、国民の支持を回復しながら、資本の望む政策を進めることができるのであれば、自民党政権の継続ということもあり得ますが、現実には、小泉政権の置き土産が、これからも耐えがたい国民への「痛み」「負担」として襲いかかってくること、さらに安倍政権のツケがまわってくることから、自民党政権の長期継続はありえないと思います。
2.さて、自民党から民主党への政権交代誘導については、昨年(2006年)の8月7日に、拙ブログでイギリスのサッチャー・メイジャー・ブレアという流れを例にして、論評しています。
反新自由主義・反グローバリズムの統一戦線を http://blog.goo.ne.jp/harayosi-2/e/f9f394bf0ee88d8a9eb1db0e54d27748
民(私)営化、規制緩和、社会保障・社会福祉の縮減などの政策、すなわちプライバタイゼイションを、急進的に進めると、当然のこととして、貧困層・労働者からの反発は増大し、不満が蓄積され、政権交代時期が到来する。
そのことを見越して、「資本」=多国籍資本は、政権交代の受け皿である労働党に、ニューレイバー路線をとらせていたのであり、それが、保守党メイジャー政権の後に成立した、労働党ブレア政権である。
そのブレア政権には、新自由主義的政策を推進してきたことによって惹起した、社会的格差や貧困の増大、社会福祉施策の大幅な後退などに対して、貧困層や労働者への配慮・譲歩・救済などの施策をとらせるものの、「資本」=多国籍資本のための、英米協調のグローバリゼイション・新自由主義的政策は踏襲させたのである。
サッチャー、レーガン、中曽根路線と並び称された、1980年代からの、新保守主義的・反動的改革、すなわち、資本主義の先祖がえりのような、反動的で露骨な攻撃、現在の表現でいうところの新自由主義的改革の推進に、マスメディアが大きな役割を果たしてきた。それは、マスメディアを「資本」=多国籍資本の側に取り込み、プロパガンダ機関として動員するというものであった。
小泉政権末期となった現在、マスメディアの論調も変化してきている。「痛みをともなう改革」の、その「痛み」を高齢者・年金生活者をはじめとして、多くの国民が実感する状況になってきている。
小泉政権の5年間を批判的に検証したり、「格差社会」というような特集が組まれたりしている。このことは一種のガス抜きであり、新たな誘導であるといえるのではないか。
英国労働党にニューレイバー路線が用意されたと同様に、新自由主義的政策を推進することのできる小沢民主党が用意されている。
福祉国家政策を維持しようとする古い自民党をぶっ壊し、新しい自民党を、そして、政界再編を通じて、新自由主義的改革を競い合うことのできる民主党を、「資本」=多国籍資本はつくりあげてきた。
新自由主義的改革の結果として、貧困の増大や貧富の格差拡大、社会福祉・社会保障制度の後退で、障がい者をはじめとする少数者の生活や生命が脅かされている。さらに、今国会での医療制度改革関連法案の成立など、さらなる負担増や制度改悪・破壊が、すでに法制化されている。
予測される高齢者や貧困層、労働者や勤労国民の不満の増大に対して、「資本」=多国籍資本は備えを済ませ、そのガス抜きや新たな誘導に、マスメディアが動員されることになる。
2006年8月7日
3.そして、参議院選挙の公示日前日(2007年7月11日)、選挙期間中はブログでの発信も制限されるといわれていましたので、拙ブログに下記の記事をエントリーしました。
最近のマスメディアの報道傾向で、資本(多国籍資本)の企図が見えたhttp://blog.goo.ne.jp/harayosi-2/e/3f06e9f4f8eb4595ca4eb9b0b5814e73
共産党、社民党、9条ネットなど、護憲勢力の前進を望む立場から、警鐘をささやかながらも鳴らしたのです。
参議院選挙を前にしての、新聞をはじめとするマスメディアの報道傾向は、民主党に風を送り、与野党逆転を誘導しています。
小泉政権のさまざまな悪政のつけが、痛みとして実感されるところに到り、大衆の怒りが増大しています。さらに、後継の安倍政権の実態は、無茶苦茶とか、お粗末としか、言いようの無いもので、国民の支持を大きく失っています。
こうした状況を踏まえて、資本とりわけ権力を手中にしている多国籍資本は、政権交代やむなしとして、その受け皿としての小沢民主党を用意したといえます。
そして、格差解消など内政部分の一部手直しや、弱者救済などはさせるものの、対外政策については、アメリカと一体となってのグローバリズム・新自由主義的な世界展開は継続させる、という企図が見えたといえます。
2007年7月11日
4.参議院選挙の結果について、主体的にこの選挙にかかわってきた一人としての、悔しい思いを込めた実感を、拙ブログにエントリーしました。
参議院選挙結果は、マスメディアの誘導に沿ったものとなった http://blog.goo.ne.jp/harayosi-2/e/e728bbe6ca1acbb4d824f4d54fae4da3
次は、衆議院解散・総選挙、政権交代を誘導するのでは
このたびの参議院選挙は、マスメディアの誘導どおりの結果となりました。
さらに、引き続く世論誘導は、衆議院解散・総選挙、政権交代という方向に誘導するのではないかと思われます。
それは、小泉政権の悪政のツケ、置き土産がいくつもあり、耐え難い「痛み」が襲い掛かり、国民の不満や怒りがさらに増幅するからです。
高齢者を例にとると、
2008年4月からは、75歳以上の後期高齢者医療制度の創設で負担増となり、また、70歳以上の前期高齢者の医療費が2割負担になります。
そして、「17年税制改正」の経過措置・救済措置などが終了することによって、6月からは住民税や国保料がさらに大幅にアップします。
さらに、同じ理由で、8月からは高齢者の医療費の負担割合とその限度額などが、増大することになります。
高齢者を例に見てきましたが、このほかにも「ツケ」や「置き土産」が多々あります。そうしたことによる大衆の不満や怒りのはけ口として、「解散・総選挙」「政権交代」をマスメディアを動員して、誘導すると思われます。
国会での与野党の攻防、政権交代をかけた総選挙などと、マスメディアはこれらを、大々的に報道し、国民の目をくぎ付けにするのではないでしょうか。そうした政治状況の激流に押し流されるように、護憲勢力がさらに後退させられる危険性があります。
たとえ、政権交代によって、小泉政権の行き過ぎについて、多少の手直しがなされたとしても、小沢民主党は護憲政党ではありませんし、むしろ改憲政党というべきだと思います。
小沢一郎の「普通の国」とは、「普通に戦争のできる国」という意味であることは、すでにご承知のとおりです。憲法9条・25条を護り生かすのではなく、名実ともにそれを破壊することによって、小沢一郎の言う「普通の国」になるのです。
こうしたことから近々に、解散・総選挙が予測されます。共産党・社民党・9条ネットなど、護憲勢力の統一戦線作りが急がれます。そのための努力や発信を、ささやかながら続けていきたいと考えています。
2007・8・4 harayosi-2
5.後継自民党政権と小沢民主党の対決、政権交代をかけた解散総選挙などと、マスメディアは興味本位の報道を展開すると思われます。
そうした政治状況の激流に押し流されるように、護憲勢力がかすんでしまい、さらに後退させられる危険性があります。改憲の危機がさらに深化することになります。
そうしたことから、共産党・社民党・9条ネットなど、護憲勢力の統一戦線作りが急がれます。
ひきつづき、そのための努力や発信を、続けていきたいと考えています。
2007年9月15日
『護憲』という いわば「守り」のスローガンでは 「攻める」ことは難しいのではないでしょうか?
この「昔」のスローガンに 私は
一方で「第9条」の具体的な内容を示し、
他方で 福祉の切り下げなどの負担増に苦しむ人達に 「増税」に代わるどのような選択肢があるのかを提示する
という意味で とても新鮮なものを感じています。
これに匹敵する 素晴らしいスローガンを 皆で 考えてみては如何でしょう?