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井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

紅葉の雑学12

2013年11月20日 | 日記


カシワの褐葉。
カシワの葉は褐色に変化しても冬中葉を落とさず春になって新葉と入れ替わるので「ゆずりは」同様芽でたいものとされたりする。
葉を落とさないのは葉柄基部にたくられる「離層」が出来ないからと説明されたりするが、この説明は正確とは言えない。



カシワの枝先。
カシワの樹でも冬を前に多くの葉を落としてしまうものもある。
落葉の準備の第一段階は葉柄部分に2層の細胞層(離層)をつくり、維管束の通導(水や養分)を遮断することである。第2段階で酵素を分泌して2層の細胞層の結びつきを弱めて葉が落ちやすくする。
カシワの場合は第2段階の酵素の分泌が弱いケースが多く、葉が落ちにくいことになる。



カシワの離層。
カシワの葉の葉柄基部も、他の落葉広葉樹の葉と同じでみな同じ形になる。離層がつくられる証拠という意味ではカシワも一緒である。
カシワは海岸地帯に多く、潮風に対する強さを示す。葉を冬中つけたままでいることが多いのは、冬芽を潮風から守るためとも考えられる。冬芽に毛が多いのも同じ理由からといえる。
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紅葉の雑学11

2013年11月19日 | 日記


メタセコイアの紅葉。
メタセコイアは自生種ではないが、スギ科の落葉針葉樹である。
中国で発見され「生きた化石」として有名になった樹である。発見されてから日は浅いが成長がはやく、各地で並木が作られている。中でも「冬のソナタ」のロケ地となった「ナミソム」の並木は有名である。



メタセコイアの紅葉2
メタセコイアの紅葉、色素の成分などは落葉広葉樹の場合と違ってはっきりしない。
紅葉と黄葉の中間的というか、褐葉のフロバフェンも混じっているようにも見える。



メタセコイアの落枝。
メタセコイアの葉は一見「羽状複葉」にも見えるが、線形で扁平な1枚1枚が葉で、複葉に見える部分は側枝で、秋には側枝ごと落ちる。そうした生き方が効率の高さにつながっている訳でメタセコイアの側枝は「羽状複葉」的働きをしていると考えられる。
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紅葉の雑学10

2013年11月18日 | 日記


カラマツの黄葉。
カラマツは「落葉松」と書き、我が国に自生する針葉樹の中で唯一落葉する樹である。
白秋の「落葉樹」という詩に「浅間嶺にけぶり立つみつ」とあるように、カラマツの原産地は長野県とされている。
カラマツの黄葉、やや褐葉に近い。



カラマツの落枝。
秋に葉を落とすだけでなく、冬には小枝も落とす。カラマツの特徴は長枝と短枝とを上手く組み合わせて徹底して効率の高い樹形をつくるところにある。非効率な小枝は容赦なく落とす。
光合成の良さは材としての成長の早さを生み、CO2吸収能力の高さにつながる。



カラマツの落葉。
カラマツは典型的な陽樹で、山火事やがけ崩れの跡地などにいち早く進出する。パイオニア植物としてしばしば純林をつくる。
カラマツ林の林床には他の植物は生えにくいが、「(らくようたけ)」と呼ばれる「ヌメリイグチ」が生え、キノコ・ファンを喜ばせる。
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紅葉の雑学9

2013年11月17日 | 日記
落葉広葉樹は冬を前に葉を落とすが、紅葉(黄葉)は葉を落とす前のイベントである。
通常はクロロフィルの分解・回収が紅葉(黄葉)につながるのだが、樹種によってはそうした反応を見せないものもある。



ニセアカシアの落葉。
ニセアカシアはマメ科で根粒菌との共生があり空気中の窒素を固定できるから、窒素不足で困ることはない。通常の樹木では落葉の際クロロフィルを分解し窒素分を回収しようとするが、ニセアカシアの場合その必要がなく、クロロフィルを残したまま葉を落とす。



ケヤマハンノキの葉。
マメ科の植物の大部分は根粒菌と共生する「根粒植物」であるが、マメ科以外にも根粒植物がある。
カバノキ科ハンノキ属もその一つで、奥のシラカンバが黄葉している中でケヤマハンノキの葉は緑色のままで、やがてそのまま落葉する。



アキグミの葉。
マメ科以外の根粒植物、グミ科グミ属もその一つ。写真のアキグミもシラカンバなどが黄葉する中で、葉は緑色を保ち、やがてこのまま落葉する。
普通の落葉広葉樹と違って紅葉(黄葉)せずに落葉する樹木、マメ科などの根粒植物以外にもあるようで、何故そうなるのかの解明はされていない。


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紅葉の雑学8

2013年11月16日 | 日記


クロロフィルの分解・回収でカロチノイドの黄色が目立ってくるというのが「黄葉の原理」。
黄葉、黄色く色づくといってもその色合いは一様ではない。イチョウの黄葉の鮮やかさからするとイタヤカエデやシナノキの黄葉では純粋さが若干落ちる。

ハクウンボクの黄葉は黄色味が若干薄くなる。



ヤチダモの黄葉では更に白っぽくなる。



コシアブラの白葉。
コシアブラでは黄色味は更に薄くなり「白葉(はくよう」」とも言われる。カロチノイドの含有量がぐっと少なくなるようである。



イワガラミの白葉。
コシアブラの場合もそうだがイワガラミの白葉でも個体差があるようで、この個体の場合カロチノイドがゼロに近い。
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