
カシワの褐葉。
カシワの葉は褐色に変化しても冬中葉を落とさず春になって新葉と入れ替わるので「ゆずりは」同様芽でたいものとされたりする。
葉を落とさないのは葉柄基部にたくられる「離層」が出来ないからと説明されたりするが、この説明は正確とは言えない。

カシワの枝先。
カシワの樹でも冬を前に多くの葉を落としてしまうものもある。
落葉の準備の第一段階は葉柄部分に2層の細胞層(離層)をつくり、維管束の通導(水や養分)を遮断することである。第2段階で酵素を分泌して2層の細胞層の結びつきを弱めて葉が落ちやすくする。
カシワの場合は第2段階の酵素の分泌が弱いケースが多く、葉が落ちにくいことになる。

カシワの離層。
カシワの葉の葉柄基部も、他の落葉広葉樹の葉と同じでみな同じ形になる。離層がつくられる証拠という意味ではカシワも一緒である。
カシワは海岸地帯に多く、潮風に対する強さを示す。葉を冬中つけたままでいることが多いのは、冬芽を潮風から守るためとも考えられる。冬芽に毛が多いのも同じ理由からといえる。