goo blog サービス終了のお知らせ 

井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

紅葉の雑学7

2013年11月15日 | 日記
落葉広葉樹は気温の低下を感じ取り葉を落とす準備をする。この時に起こる葉の色の変化が紅葉(黄
葉)である。
紅葉は一般的に最低気温が8℃になると始まり、5℃前後で見頃になるといわれる。勿論これは一般論ですべての樹が同時に紅葉する訳でもなく、全ての樹が同時に見頃になる訳でもない。



イチョウの黄葉。
イチョウは雌雄異株であるが街路樹の殆どは雄株である。イチョウの実の外果皮が悪臭を放ち、道路が汚れるので雌株が嫌われるからである。
「桃栗3年、柿8年、柚子の大馬鹿18年」といい、「イチョウの気違い30年」と続く。それ程実生から開花結実まで時間がかかる。そんなイチョウの苗から雄株を選ぶとなれば、普通接ぎ木が利用される。
であれば、街路樹の多くは同じDNAをもち、黄葉も一斉に進むようにも考えられるが、実際にはこの写真のように個体差があり、中々不思議である。



ナナカマドの紅葉。
ナナカマドも普通見事な紅葉を見せてくれる。
樹木が気温の低下を感じとって離層をつくりはじめる。これは植物ホルモンの働きによるものだといい、それにも個体差があるようで、紅葉するのに早い遅いが生じる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紅葉の雑学6

2013年11月14日 | 日記


ミズナラの紅葉。
紅葉する樹ではクロロフィルの分解・回収がある程度進んだところで離層を完成させるが、ミズナラなど褐葉する樹では離層形成のタイミングが少しずれるようで、クロロフィルの分解・回収が不十分になりフロバフェンが合成される。
唯その辺のタイミングは個体により或いは条件により多少ずれることがあり、この写真のようにしっかり紅葉するものある。



イタヤカエデの紅葉。
イタヤカエデの場合はクロロフィルの分解・回収はスムースに行われ普通黄葉する。
アントシアニンを合成する酵素を持たないから黄葉するとされるが、中には若干の酵素をもって赤味を帯びるものもある。



ハウチワカエデの黄葉。
ハウチワカエデはヤマモミジ同様紅葉する樹である。
しかしこの樹は黄葉している。クロロフィルの分解・回収はしたが糖分の貯えが出来ておらすアントシアニンの合成につながらなかったものと見える。今年2013年のハウチワカエデは元気がない樹が多い。例年より北海道の紅葉に赤味が不足しているのはそのためではないか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紅葉の雑学5

2013年11月13日 | 日記


アカイタヤの落ち葉。
紅葉し或いは黄葉して落ちた葉は何れ褐色の枯れ色になる。
アントシアンやカロチノイドなどの色素は分解され、食害を防ぐためのタンニンなどからフロバフェンという褐色の色素が合成されるためで、この辺は樹種による違いはあまりない。



トチノキの褐葉。
どの樹の葉も落ちて時間がたてば褐色の枯れ色になるが、トチノキの葉は落ちる前から褐色の枯れ色になることが多く「褐葉(かつよう)」と呼ばれる。
葉は離層完成の前にクロロフィルの分解・回収を進めるものだが、トチノキではその働きが弱くクロロフィルを持った状態でフロバフェンの合成が進むものと考えられる。



ミズナラの褐葉。
ミズナラも褐葉をよく見せる樹である。黄葉も見せているから、クロロフィルの分解・回収が不十分ということもあるが、離層形成が不十分で葉を落とす前にフロバフェンの合成が進められると考えられる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紅葉の雑学4

2013年11月12日 | 日記


ヤマモミジの紅葉。
上の方の日の良くあたった部分は赤く色づき、あまり日の当らなかった部分は黄色に、中間部は橙色に色づいている。アントシアニンの量で葉の色づきが違ってきている。
このような紅葉を見ると、紅葉の寿命説や老化説が怪しく見えてくる。



エゾヤマザクラの紅葉。
サクラの仲間の紅葉はカエデの仲間の紅葉とは少し違っていて「桜モミジ」と呼ばれる。
サクラの場合、アントシアニンやカロチノイドなど色素の量だけでなく、葉の厚さなどが色合いに影響しているもののようである。
桜紅葉では普通の紅葉の楽しみ方の他に、散って地面の散り敷いた落ち葉を楽しむとうのもアリだと言われている。





ツリバナの紅葉。
ツリバナの紅葉も独特なものがあって「桜紅葉」にも似ている。落ち葉が目立つ点も似ている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紅葉の雑学3

2013年11月11日 | 日記



紅葉、色も濃淡も様々だが押し並べて「紅葉」と呼ばれるくらいで、赤く色づくものが人々により強く愛される。

クロロフィルが分解され緑色が消えると同時に、葉に残された糖分からアントシアニンが合成されることで葉は赤く色づく。「紅葉の原理」である。アントシアニンの合成は酵素の働きによるもので、そういう酵素をもつものが紅葉し、持たないものは黄葉する。
紅葉は、昼夜の温度差が大きく晴れて日が良く当たるほど色づきが良くなると言われる。昼夜の温度差が大きくなることで離層の形成が一気に進み、日が良く当たることでアントシアニン合成の材料となる
糖分が多くなることが考えられる。
アントシアニンの合成で葉は赤く色づくが、アントシアニンとカロチノイドの比率で色合いは様々に変化する。



ニシキギは紅葉が美しいというので「錦木(にしきぎ)」と呼ばれるが、カロチノイドの量が少ないからか、紅葉の色合いが鮮烈である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする