井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

ツノハシバミ、変わった形の果実

2010年09月03日 | 日記
カバノキ科の仲間はみな風媒花で、下垂した雄花序をもっています。葉を開く前に開花します。
風媒花である点は共通ですが、種子散布となると事情は少し違います



ツノハシバミの雌花です。
雄花序の冬芽は裸芽ですが、雌花序の方は芽鱗に包まれて越冬します。
開花は、芽鱗の間から柱頭をのぞかせて受粉作業をします。
受粉がすむと芽鱗は落として開葉します。
赤くて可愛らしい花ですが、冬木立の中の小さな花ですから、見逃しやすいです。
柱頭だけで分かりにくいのですが、数個の花が花序を作っています。



ツノハシバミの果実です。
受粉を済ませた雌花は、花を保護していた小苞が筒状になって堅果を包みこんでいます。その筒状に伸ばした小苞の形から「ツノ」ハシバミと名づけられました。
種子散布でカバノキ科の他の仲間と違うのは、堅果が10~15mmと大きく、風散布にならないところです。
カケスやリス・ネズミなどによる貯食散布になるのでしょう。
この堅果は食べられます。近縁種のセイヨウハシバミはヘーゼルナッツとして広く知られています。



ツノハシバミの若い葉です。
幼木ではこのような紫褐色の斑が入ることが多いです。草本のミズヒキと同じ定形班で、細胞の中にアントシアンという色素を貯めこんであるといいます。
定形班の入っている葉だけでツノハシバミと分かる、数少ない種です。
ツノハシバミは、カバノキ科の中ではちょっと異色です。
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