井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

花後の花茎の伸張が著しいショウジョウバカマ

2012年02月07日 | 日記
ショウジョウバカマの分布の仕方も不思議だが、花後の花茎の伸張の仕方は驚異的である。



ショウジョウバカマの果穂。ユリ科ショウジョウバカマ属。
15cm前後で花をつける株が、花後、花茎を60cmにも伸ばす。図鑑などでそう紹介されるが、北海道では1m近くになるものもある。
タンポポも熟した果穂をぐんと伸張させるが、ショウジョウバカマの伸張の仕方は驚異的。その花茎の伸張を「節間成長」といい、花序の直ぐ下にある「介在分裂組織」によって起こるのだという。



ショウジョウバカマの果実。
ショウジョウバカマの子房は3心皮からなり、果は三つに深くくびれる。
普通の花は、花後に散ったり萎んだりするが、ショウジョウバカマの場合花被片や雄しべが残存する。



ショウジョウバカマの種子。
果が開くと、線形で両端のとがった種子を吐き出す。糸屑状とも表現される。
雌しべ先熟で自家受粉を避ける仕組みをもち、果実が熟すころには果穂を大きく伸ばして種子を寄り遠くへ飛ばす。そんな巧妙なシステムを持つショウジョウバカマだが、実生の生存率は低く新天地開拓は容易ではないという。古い葉の先端に子苗をつける無性生殖をするのもそのためであろう。
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