ヨシュア記7章 アイでの敗北とアカンの罪
1.アイにおける敗北(7:1-9)
イスラエルはエリコで勝利を収めた後、さらに西へと向かい、次の攻撃目標アイへと進みました。アイの町の標高は、エリコよりも千メートルほど高く、そこへ至るルートは上り坂でした。そしてアイもまた城壁を構えた町でしたが、難攻不落と言われたエリコに比べるほどのものではありませんでした。実際、イスラエルの偵察隊は、全軍を派遣する必要もなく、三千人の兵で足りると見て、アイ攻略のために上っていったのです。
当時アイの人口は一万二千人、戦闘可能な要員は約三千であったとされます。しかし城壁があったのですから、戦力はそれ以上と見るべきで、事実、思いがけない反攻を受けて敗退する結果となったのです。イスラエルは、戦死者を出し、戦意をそがれ、戦いは始まったばかりなのに恐怖と絶望のどん底に陥っていったのです。
6節、「ヨシュアは、衣を引き裂き・・・、ひれ伏し・・・、頭にちりをかぶった」。そして言ったとあります。自分たちは、ヨルダン川の手前で満足していた、と。なんともこれからカナンの全土を占領するのだ、とヨルダン川渡渉を成し遂げたばかりであったのではないのか、と思うところです。しかしこれもまた人間の現実です。ただ、ヨシュアは、その失態の中で、神の元を離れず、神のみこころを尋ね求めていくのです。神の人というのは、そういう人を言うのです。何事も卒なく立派に物事を進める人ではなく、失敗の中で、なおも神に頼り、神の指示を求めていく人です。神はそのような人を決して拒まれることはありません。
2.主の応答、公正な神(7:10-1-15)
実際神は、遜ったヨシュアに答えられました。敗北には理由があった、と。イスラエルの慢心もさることながら、アカンという人物が神に属したものを盗んだためであった、と。エリコは、カナン攻略の最初の町として、全く神のものとして献げられた初穂の町であり、神だけのものでした。しかし、アカンという人物が、そのような聖戦であることをわきまえず、主への奉納物、金、銀、よい着物を盗み、神のものを私物化する罪を犯していた、と言うのです。興味深いことは、ここで、主が「イスラエルは罪ある者となった(11節)」「聖絶の者となった」と言われた点です。約束の地、カナンは、まことに神のみこころに生きる神の民のものでした。ですから、たとえ民族的血統はイスラエル人であっても、神のみこころにそぐわぬ生き方をする、罪ある者なら、そこにいることは許されない、つまり聖絶の者となるのです。約束の地カナンは真のイスラエルのものでなければならなかったのです(1コリント5:6、7)。大事なことは、繰り返しになりますが、神の人というのは、このような時も悔い改め、神に寄り縋る人のことを言うのです。
3.罪の告白と赦し(7:16-26)
神が求められたのは、何よりもまず罪の告白でした(19節)。ただ罪の告白は進んでするものであって、強いられてするものではありません。アカンのそれは、罪の告白ではなく、不本意な強制された自白でした。神の赦しを得られなかったのも無理はありません(1列王8:47)。なお、罪人のアカンを見つけ出すためにくじ引きの方法が取られています。それは冤罪を生み出すようにも思われますが、これは神が定めた方法で、アカンの自白によって、この問題に関する限り適切な方法だったのだ、と言えるのでしょう。
ともあれ、この大変な罪のためにアカンとその全家族が滅ぼされました(25,26節)。神は罪を赦すお方ですが、罪を見過ごしたり、大目に見たりするような方ではありません。そしてこのアイ攻略の失敗は、約束の地カナンが、どのような性質の場所であるかを、イスラエルに深く考えさせるものとなったと言えます。これからの戦いは、ただ単に、イスラエルが自分たちの先祖たちの地を奪還するというものではなく、神の民を形作り、神と共にある相応しい土地に住むというものであったのです。教会を建て上げることも同じです。ただこの世の社会にキリスト信者の集まる場所を作るというのではなくて、まことに神を恐れ、神と共に生きる人々の集まる場所、義と愛に満ちた神を指し示す場所、を建て上げることなのです。世の人々が神の愛に安らぐ場所、そんなところをしっかり立て上げてまいりたいところです。では今日もよき一日となるように祈ります。
<クイズコーナー>
最初に、昨日のクイズです。ヨシュアがエリコ攻略のために鳴らした角笛は、何の角であったでしょうか?①水牛、②鹿、③雄羊、答えは、③雄羊の角でした。古代イスラエルのラッパの一種で、後に雄羊の角型を模倣した金属製のものへと発展していきました。では、今日の聖書クイズを一つ、聖書でアイと対になって出てきて、聖書学者のオルブライトなどから、「ふたごの町」と呼ばれた町の名は何でしょうか?答えはまた明日。
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では今日もよき一日となるように祈ります。
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