芥川賞作品を『文藝春秋九月特別号』で読む。芥川賞としては、すごく出来がいいのではないでしょうか!?単純によかったと思う。
『貝に続く場所にて』 石沢麻依
コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人と場所の記憶に向かい合い、静謐な祈りを込めて描く鎮魂の物語。
始めから美しい比喩に魅了された。しかし、盛り盛りの修飾語がちょっと鼻につくのも事実。聖人・聖女の名前と個人を特定できる持ち物、惑星の小径の冥王星など小道具が効いている。
友人は生きているのか、死んでいるのか。過去と現在を夢の中のできごとのように行き来する話についていけない人もいると思うが、私は、その空気感がよかった。
私的に。阪神淡路大震災の時、私は東京にいたが、家族や友達が大変な目にあった。その負い目みたいなものが、シンクロした気がする。
『彼岸花が咲く島』 李琴峰
記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。
もっと長篇にしてクロニクルのようにしたら、もっともっとおもしろくなるのではないかと思う。三人の少女、少年の青春物語とも読めるし、近未来小説とも読めるし、ジェンダー小説とも読めるし。膨らますことができる内容なだけに、もっと書いてほしかった。
アマゾンのレビューでは、なにやら叩かれているようだが、私はおもしろかった。
『貝に続く場所にて』 石沢麻依
コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人と場所の記憶に向かい合い、静謐な祈りを込めて描く鎮魂の物語。
始めから美しい比喩に魅了された。しかし、盛り盛りの修飾語がちょっと鼻につくのも事実。聖人・聖女の名前と個人を特定できる持ち物、惑星の小径の冥王星など小道具が効いている。
友人は生きているのか、死んでいるのか。過去と現在を夢の中のできごとのように行き来する話についていけない人もいると思うが、私は、その空気感がよかった。
私的に。阪神淡路大震災の時、私は東京にいたが、家族や友達が大変な目にあった。その負い目みたいなものが、シンクロした気がする。
『彼岸花が咲く島』 李琴峰
記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。
もっと長篇にしてクロニクルのようにしたら、もっともっとおもしろくなるのではないかと思う。三人の少女、少年の青春物語とも読めるし、近未来小説とも読めるし、ジェンダー小説とも読めるし。膨らますことができる内容なだけに、もっと書いてほしかった。
アマゾンのレビューでは、なにやら叩かれているようだが、私はおもしろかった。
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