ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『紛争地のポートレート』『統合失調症の一族』

2023-09-12 21:54:51 | 
 最近、仕事が忙しく残業続きで疲れている。おまけに転勤した人が持っていた仕事をまかされ、慣れないので大変。引継ぎも不十分なまま行ってしまったし。おばちゃんは、新しいことを覚えるのに時間がかかるのだよ。勤務中にスマホを触っている人に私の仕事を少し振り分けて欲しい。来年に退職する人の仕事が私にやってくるのは確実なので、今持っている仕事を振り分けて欲しい。今度の面接で絶対言おう。

『紛争地のポートレート 「国境なき医師団」看護師が出会った人々』 白川優子 集英社クリエイティブ
 「国境なき医師団(MSF)」看護師として、2010年から18回も紛争地・災害地へ赴き医療活動をしてきた著者は、圧倒的な暴力に翻弄されながらも、人間にとって最も尊い何かを握りしめて生きる人々を見続けてきた。医療支援に携わる中で、ずっと語りたいと思ってきた「紛争地の人間愛」を筆頭に、「活動中の暮らし」「MSFの仲間たちの素顔」などのエピソードをいきいきと描く。
 紛争地で看護師として働く作者が出会った人や交流を描く。過酷な生活の中で、イスラムの女性と交流したり、猫を飼うかどうかで会議をしたり、料理を作ったり。MSFの看護師と言えば、スーパーウーマンで志が高い人という気がするが、普通の一人の女性としての姿も見えてくる。
 又、縁の下の力持ちといわれるロジスティシャンという人たちがいることを知った。施設の管理・建設、物資の調達など。医療活動をするために必要な仕事だ。当たり前だが、この方たちがいなければ、医療活動もできないのだから。
 
『統合失調症の一族 遺伝か環境か』 ロバート・コルカー 柴田裕之訳 早川書房
 第二次大戦後、ギャルヴィン一家は空軍に籍を置く父親の都合でコロラド州に移り住む。ベビーブームを背景に12人の子宝に恵まれた一家だったが、1970年代半ばには子供のうち6人が統合失調症と診断された。厳格な父母によって育てられた容姿端麗で運動能力の高い息子たちは、なぜ次々に精神疾患に見舞われたのか?
 まず、表紙に圧倒される。らせん階段に並ぶギャルヴィン夫妻と10人兄弟。(後に2人の女の子が生まれる。)お母さんのミミは、ワンオペで12人の子どもを育てる。二人の子どもを育てるのに(しかも、ずいぶんとおとなしい、穏やかな子だった)四苦八苦した私には、考えられない。しかし、親がいない時に上の子たちが赤ちゃんをボールのように扱うエピソードにはぞっとした。10人のお兄ちゃんに幼い二人の妹ということで、ちょっと心配したが、やはり妹と下の弟たちは、兄たちに性的虐待を受けていた。また、上の兄たちは、牧師に性的虐待を受けていた。その上、兄たちのケンカが絶えない日々。兄たちに殴りあいをするように強制される弟たち。下の弟たちや妹たちは、どんなに辛い生活だったことだろう。ミミにも助けがあれば、病気にならなかった子どもと向き合えたのではないだろうか。
 一方、医学の歩みも語られる。女性というだけでなかなか研究できなかったり、製薬会社との研究が一方的に採算が合わないと打ち切られたり。それでも、研究をあきらめない研究者に頭が下がる。そして、ギャルヴィン一家と出会って、少しずつ判明したことがある。ミミの孫が統合失調症を研究するという最後に光が見えた気がした。
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