ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『それは誠』『朝のあかり』

2024-07-02 23:42:57 | 
『それは誠』 乗代雄介 文藝春秋
 修学旅行で東京を訪れた高校生たちが、コースを外れた小さな冒険を試みる。その一日の、なにげない会話や出来事から、生の輝きが浮かび上がある。
 芥川賞候補作。ん~、あまり良さがわからなかった。私の好みではない。

『朝のあかり 石垣りんエッセイ集』 石垣りん 中公文庫
 自分の住むところには自分で表札を出すにかぎる――。銀行の事務員として働き、生家の家計を支えながら続けた詩作。五十歳のとき手に入れた川辺の1DKとひとりの時間。「表札」「私の前にある鍋とお釜と燃える火と」などの作品で知られる詩人の凜とした生き方が浮かび上がる、文庫オリジナルエッセイ集。
 視点が違うと言うか、詩人の紡ぎ出す言葉にしびれる。客観的に物事をとらえ、分析するのもいい。
「私はしあわせです。だけど、私のまわりの人たちがちっともしあわせに見えないから、私はふしあわせかもしれません」
「距離というのは、状況により遠くもも近くもなるゴムのようなものなのでしょう」
「春は来るのではない。生きてこちらが春に到達するのだという感じ方は残念ながら年のせいかもわかりません」
「喜びの深さは悲しみと同量だったのではにかと」
 大正生まれのりんが、職業婦人として働き、家族を支え、定年まで勤める。小学校を卒業し、14歳で銀行に勤めたりん。男社会の中でどんなに苦労しただろうかと思う。.4回も結婚した父親をどう見ていただろうか。
「男たちの既に得たものは、ほんとうにすべてうらやむに足るものなのか。女のして来たことは、そんなにつまらないことだったのか」これがきっかけで詩『私の前にある鍋とお釜と燃える火と』ができたとか。
「私は家族というものの親愛、その美しさが時に一人の人間を食いつぶす修羅を思いえがく。すがるという行為の弱さとすさまじい力」
 この本に出合えて、よかったとしみじみ思う。
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